baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 熱海のカフェテリアに

 2週間程前に小唄の発表会に誘ってくれた識り合いが新たにオープンした熱海のカフェテリアを初めて覗きに行った。元々は天気予報を見て、明日行くつもりでいたのだが三連休最終日の交通渋滞も酷そうなので、急に心変りして三連休の中日に出掛ける事にしたのだ。だが今日は風が強くて、優柔不断に出掛けるかどうか迷っていたので出るのが遅れてしまった。勿論出掛けるならバイクである。バイクは風の強い日には高速道路だと一車線ぐらい振られてしまうので、強風の日は余り面白くないのである。
 結局家でお昼を食べて、1時過ぎに出掛けた。今日はそれ程渋滞はなかろうと強風の中を敢えて出掛けた訳だが、予想は見事に裏切られてとんでもない渋滞である。東名高速の入口まで普通なら15分位で着いてしまうのだが今日は40分掛り、さらに川崎から厚木まで渋滞17kmとの表示、僕は厚木からまた厚木小田原道路を使う訳だから、こりゃ小田原までどれほど混んでいるか知れたものではないと思い、そのまま第三京浜まで走り第三京浜−横浜新道を使う事にした。
 第三京浜はそれ程混んでいなかったが、黄砂が本当に酷かった。真正面でもちょっと遠くがもう霞んでしまっている。中国の旱魃を早く何とかして貰わないと日本は堪ったものではない。しかし黄砂の問題を除けば実は環八から第三京浜に入るアプローチ、また保土ヶ谷で首都高から横浜新道にはいるアプローチ、どちらも短いけれどもバイク乗りにとっては飽きの来ない面白い道路なのでそれはそれで結構である。しかも高速料金が圧倒的に安いから、その意味でも腹は立たない。しかし横浜新道を出たら1号線も大渋滞、結局2時間ちょっとと踏んでいた熱海まで3時間以上掛ってしまった。
 それでも数ヶ月ぶりの湘南の道で収穫三つ。一つは西湘バイパスにETCが付いた事。西湘バイパスは小銭が要て、料金所が何箇所かあって、本当に面倒な自動車専用道だったのだ。それがETCになってなんと便利になったことか。次は真鶴道路の小田原寄りが無料になった事。知らなかった僕は135号線を右折しようとしていたのだが、ふと見ると昔の真鶴有料道路に下りて行く道に135号線の表示。半信半疑でそちらに合流してみると、迷う事無き海沿いの昔の真鶴有料道路。何だか儲かった気分になった。そしてもう一つは1号線の原宿が立体交差のトンネルになった事。下りは旧態以前だが上りが昔ほどの大渋滞ではなくなった。
 熱海を少し過ぎて来宮駅を目印に、135号線から急峻な道を登る。あの辺の道はよく分からないので、方向音痴も手伝って登り過ぎてしまい 西熱海GCからまた下りはじめた。それでも場所が良く分からないので電話を入れ、やっと場所が分かった。急な坂道に囲まれた住宅街の一角で、僕のように大型バイクの取り回しがもう目一杯のロートルには相当きつい。今日はGTRを使わなくて本当に良かったと思った。
 お目当てのカフェテリアは一見普通のお宅で、オーナーのお出迎えを受けて靴をスリッパに履き替えて上がらせて貰う。店内はまだ開店早々だからどこもかしこもキレイで、しかも何気なく置いてあるスペインかドイツ製の瀬戸物の人形や青い目の人形、売物だそうだが無数の洒落た茶碗セット、等々隅から隅まで瀟洒な洋風の雰囲気である。そして庭仕事ですっかり減量してしまったオーナーの、丹精込めたイングリッシュガーデン。そこに据えてある緑にペンキを塗った木製のテーブルとチェアー、庭の真ん中には同じ色で塗ったアーチが置いてある。そのうちバラでも纏わり付くのだろうか。未だ少し肌寒いのにもう色取り々々に咲いている花にも、オーナーの庭を愛する優しい気持ちが溢れている。そして、そこに何気なく置かれたキューピットのレリーフ、全て識り合いの趣味だと言う。俄かには信じ難い。ランチも出すらしい。そのランチも識り合いが自ら材料を買い出して料理するのだそうだ。この識り合いは、男なのだ。それも以前は一緒に仕事をした仲間、その時にはとてもそんな一面があるとは思えない人だった。ガーデニングに、カフェのオーナーに、そして時には小唄に、素敵な時間を過ごしているようだ。うんっ、負けられないぞ。
 次回はもう少し暖かくなって、風の強くない日に行こうと思う。テラスの木製チェアーでどことなく海の香り漂う風に吹かれながらゆっくりと味わうコーヒー、思い出すだけで幸せになれる空間である。