baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 日本に戻って

 僅かジャカルタ2泊+機中1泊の旅であったが、日本に戻ってみれば色々と面白い事が起きていた。
 その(I)は高速料金の見直しである。先日前原国交相が発表したばかりの高速料金の新制度に対して小沢一郎が文句を付けたのである。6月から始まると予定されているこの新制度は、衆院選時のマニフェストを何処かへ置き忘れた小沢一郎独裁政党が、来る参院選に勝つ為に形振り構わず政策変更をした結果であるという批判は以前書いた。その為に、高速無料化に反して、実質は値上げになるケースが大部分の新料金体系が発表され、同時に浮いた財源で高速道路の整備をするという民主党の地方票集めの政策が発表された訳だ。小沢の金権政治の標本のような制度見直しであった。
 ところが今度は高速料金の実質値上げは国民が認めないと小沢がまた横になり、持論を持たない鳩山がそれを受けてしまったので面白い事になってしまったのだ。鳩山由紀夫という人はどうしてこうも自分のない、雰囲気に流される人なのだろう。こういう人に国を委ねる事自体が大間違いであった訳だが、まさかここまで自主性のない人だとは誰も思わなかったろう。同時に、そんな人を代表にせざるを得なかった民主党にロクな人材がいなかったという事は容易に見て取れる。あっさり小沢の横槍を鳩山が呑んでしまった事で気色ばんだのが前原誠司である。民主党が昨年末の予算案策定の際に高速道路整備をゴリ押しした時に、既に民主党マニフェスト違反を指摘していたのだが、結局小沢に屈して今回の高速料金見直しを策定したのだから、前原が黙っていられないのは当然であろう。
 その火に油を注いだのが昨日の鹿児島での小沢発言である。曰く「国交省の官僚を説得できない結果、ああいう制度になった」と批判したそうだ。これに対して前原は即座に「事実誤認も甚だしい。発言する時はちゃんと調べてから発言される方が良いと思う」と、強烈なしっぺ返しを喰らわした。そして、これ以上の見直しは行わないと言う事で鳩山の同意を取り付けた。鳩山総理の対応は日替わりである。
 小沢としてはこれからの国会審議で、民主党議員にも反対させて見直しを迫る考えであろう。しかし、小沢には政策とは国の政治の方針であるという認識は全くないようだ。飽くまでも小沢の言う「国民の理解が得られない」というのは「民主党に票が集まらない」と同義であって、何が日本の将来に良いのかと言う議論はまったくなされていない。どういう形の高速道路の料金体系が日本の経済や環境問題、インフラの地方格差の是正にとって一番良いのかという議論が全く無いのである。しかも、そこにあるのは政府の独立性とか内閣の権限が一切感じられない、小沢民主党の独裁である。そして、道路は整備しろ、料金は上げるな、という財源も考えないバラ捲き・人気取り政策の要求である。つきつめて考えれば、日本は中央アジア並みの国家になってしまったのかと嘆かわしい。
 その(II)は事業仕分け第2弾である。今日から独立行政法人の見直しが始まった。見直しする側は相変わらず元グラヴィアアイドルなど、スタンドプレーは得意でも経験不足で世間知らずの若造ばかりだから、受け答えする独法側も気の毒だ。しかし、独法に問題が多い事は事実である。虎ノ門界隈のビルの入居者を見ると、なんと政府の外郭団体の多い事か。しかもその内容は世間にはまず知られていない、どころか法人名を見ても何をする法人だか見当もつかない処も多い。明らかに役人の天下り先を作っているとしか思えない。しかし、どうしてそこまで役人を天下らせるのか、という議論なしにはこの問題は論ずべきではない。役人の雇用制度に根本的な問題があるのである。この事は大分以前にも書いた。簡単に言えば、国家公務員を天下りさせずに民間の定年と同年齢まで国が雇用すれば、国家公務員の給与に要する年間費用は膨大な増額になるのである。つまり、天下りが効率的とは思わないが、天下りを禁じるだけでは膨大な数の国家公務員の雇用問題が起こり、ひいては優秀な人材が国家公務員にはならなくなるという問題も発生するのである。
 今日も、JICAの理事が12人もいて多すぎるだとか何だとか、重箱の隅を突くような難癖を付けていたが、それを言うなら並行して国家公務員の雇用制度と給与制度全般を見直さなければ片手落ちである。そんな高等な事を考えろと言っても今の仕訳人達には想像すら及ばない、小学低学年に微分方程式を出題するような話であろうが、そこまで考えるのが本当の意味の政治である。そこまで考えて歪みが出ないような形で不効率を排するのが本来の政治である。そして、その程度の事は分かっている筈なのがベテラン政治家である小沢一郎鳩山由紀夫であるのだが、残念ながら彼等から聞かれるのは反官僚の個人的感情の発露ばかりである。優秀な官僚には極めて頭脳明晰な人が多いから、そのレベルに達していない人達が偉そうに応対してこっぴどく官僚に劣等感を抱かされたという事は想像に難くない。しかし個人的感情で日本の将来を危うくする事だけは慎んで欲しいものだ。