baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 普天間移設についての政府案

 普天間基地の移設先についての政府案がやっと固まったようである。とは言いながらもこれが政府案という確たる発表がないので細部は良く分からない。というよりは、政府案自体が細部は成り行き任せなのであろう。いかにも鳩山流である。 その政府案も元々の日米合意を何としても変更しようという鳩山由紀夫民主党のつまらない意地に拘っただけのもので、実質はほぼ原案に戻っている。外交信義を反故にして、時間とエネルギーを無駄に費やしている典型である。
 鳩山由紀夫は「辺野古の海を埋め立てるなどという、地球に対する冒涜は許されない」と何時もの綺麗事を吐いているが、埋め立て方式に変えて杭打ち方式にしたところで環境破壊には変わりはない。杭打ち方式だとコストが50%アップし工期も大幅に延びる事ははっきりしているが、埋め立て方式に比べてどちらが環境に優しいかは環境アセスメントをしてみないとはっきりしないらしい。しかも杭打ち方式は地元の工事業者では施行出来ないので、折角の大規模事業も地元への恩恵は大幅に減少する。鳩山由紀夫は思い付きの綺麗事を並べるのは得意だが、その言葉には慎重に色々な問題を検討した結果という裏付けが完全に欠如している、つまり単なる素人の思い付きに過ぎない、という事が今や明白になっている。本件もその一例に過ぎない。
 徳之島への海兵隊の一部移設は、米国が簡単には承諾しまい。「沖縄県民の負担を減らす」という、これまた口から出まかせを言ってしまった手前、何とか形を付けねばならなくなった挙句の苦肉の策である事は見え見えである。米国にしてみれば、駐屯地を分割する事には不便こそあれ何のメリットもない。そもそも、何故そこまで米軍が不便に甘んじなければならないのかというロジックが全く見当たらない。日本の内政には出来る範囲で配慮はしてくれようが、不当な提案は蹴ってくるに決まっている。官僚を上手に使えないから、そんな基本的な事も分からない。
 もっとも訓練基地の移設程度なら、ひょっとすれば米国も受けるかもしれないと素人考えながらも思わないではない。但し、地元が合意するのが大前提である事は当然である。米国も砂川闘争の二の舞だけは絶対に避けるであろう。そこで現実はどうかと言えば、現在のように島民の75%が反対集会に参加しているようでは、地元の説得は不可能と言わざるを得ない。勿論米軍特需を期待する人が絶対にいる筈なので、100%反対という事はなかろうが、現在の状態で既に島の生業が成り立っているのであるから、やはり反対を覆すのは沖縄以上に困難であろう。
 結局はキャンプシュワブの沿岸部への移設という当初の計画に立ち戻るしかないのだが、民主党政権が確たる代替案も無きまま口から出まかせの県外移設などと繰り返し言ってしまったから、地元住民感情は期待に膨らんでしまい、折角当初は受け入れ派が多かったのに今は反対派が多数を占めてしまった。こちらも身動きが付かなくなってしまっている。従い当面は辺野古の住民説得を続ける一方、現状維持で普天間が継続使用されるのであろうが、危険な事この上ない。普天間は日米共に認める、住宅密集地の真ん中にある世界でも最も危険な航空基地である。民主党政権が無責任極まりない本件の見直しを言いださなければ2014年には移設が完了する予定であったものを、普天間周辺住民の気が休まるのは何時まで延ばされるのであろうか。
 僕が一番怪しからんと思うのは、あれだけ5月決着と繰り返し断言していた鳩山由紀夫が、「決着と言うのは、よしっ、これで行こうと皆が一つの方向を目指すことだ」などと訳の分からない予防線を張り始めた事だ。決着というのは決着であって、辞書を引くまでもなく「物事の最終状態」という意味である。つまり決着を付けるという事はそこで結論が出る、それ以上の議論はない、という状態である。それを鳩山は日本語にもなっていない強弁で得意の先延ばしを図ろうとしている訳だが、先には「私には腹案があります」と、恐らく意味が違う事を言ってみたり、どうやら鳩山由紀夫は日本語が不自由なのではないかと最近思えて来た。先代の首相は漢字が読めなくて国民の失笑を買ったが、読み間違いを正せば言わんとする事はそれなりに筋が通っていた。ところが現在の首相は日本語が理解できていないようで、真面目な顔をして大嘘を付く。それも、自分も気付かづに結果が嘘になる事を、意味を取り違えて平気で発言しているのではないかと思うのだ。これは漢字が読めないよりも遥かに始末が悪い。
 その大いに危うい首相が今月4日から沖縄を訪問すると言う。また綺麗事を並べ、思い付きの理想論をまるで確たる裏付けがあるかのように語り、沖縄県民に出来もしない絵空事を約束して、今以上に自縄自縛になってしまうのではないかと不安である。沖縄県民には、鳩山由紀夫は日本語が大いに危うい、という事を是非頭に留めておいて欲しい。そして、沖縄県の人々には誠に申し訳ないとは思うけれども、沖縄の突出した負担の代償は他の形で要求し、現実的な解決策として普天間基地の移設は是非受け入れて欲しいと切望する。地図を拡げて見れば、やはり沖縄は絶妙な位置にある。そして、この問題を一刻も早く文字通り決着させないと、日本は益々世界の外交の場から孤立してしまうと同時に、日本の安全保障にも重大な負の影響が及んで来る。