baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 乱立する野党

 普天間基地移設や郵政改悪法制化など未だ目先の問題があるとは言え、5月になり愈々参院選が目近なものに感じられる。予想に反して自民党以上に金権政治だった民主党政権は自浄能力にも欠けており、参院選での昨年のような圧勝はもう望むべくもあるまい。実際昨年の衆院選直後には80%もあった内閣支持率が今や20%台に落ち込んでいる。アンケートによっては既に20%という数字も出ている。つまり、この半年余で全有権者の60%近くが民主党に失望した事になる。別の言い方をすれば、それだけの有権者が良く言えば民主党に騙され、悪く言えば衆愚政治に加担したという訳だ。勿論止むを得ない事情もある。このところの自民党が余りに情けなく、民主党は分からないけれども自民党よりは増しであろう、という票が相当あったと思われる事だ。
 実際、この頃の自民党はまるで頼りない。谷垣禎一の性格もあろうが、自民党の存在感が全く感じられなくなってしまった。国会での野党質問にしても、与謝野馨の「貴方は平成の脱税王」という小気味良い指弾以外は何かしら突込みにも物足りなさを感じ、いかにも頼りないのである。そんな雰囲気を感じて離党ラッシュである。早くは渡辺喜美みんなの党、今年になって鳩山邦夫、そして与謝野馨の立ち上がれ日本、舛添要一改革クラブ改め新党改革、更には参院選に出てくるのかどうだか知らないが東京は杉並区長の山田宏日本創新党なども出来た。みんなが夫々民主党はだめだ、民主党政権が続けば愈々日本がダメになる、自分達が反民主党の受け皿になる、と異口同音なのだが、何れも流れを見るに敏なだけで政策面ではどうなのかという疑問には明快な答えが出てこない。
 鳩山邦夫は自身にも鳩山由紀夫と同じ母親からの多額の贈与問題を抱えており、平成の坂本竜馬を気取って自民党を飛び出してはみたものの周囲から手が伸びて来ない。薩長連合の向こうを張って、与謝野馨舛添要一を連合させようとしていたようだが、今のところその目論見は上手く行っていない。その与謝野は平沼赳夫と新党を立ち上げた訳だが、政策ではこの二人には結構な乖離があると聞く。もう一人の舛添は政党助成金を貰うために改革クラブに入った後に名称を変更して自分が代表になる筋書きを作ったが、改革クラブ所属議員五名のうちの二名がこの遣り方に同意せず、今のところ新党設立に最低必要とされる所属国会議員5人の確保すら未だ出来ていない。しかも、こちらも郵政問題を筆頭に政策面では必ずしも一枚岩ではないらしい。山田宏に到っては未だ地方政治家であり知名度はとても全国区ではない。
 要するに皆しっかりした反民主党の受け皿を新たに作らないと今の自民党だけでは覚束ないという認識では一致しているものの、政策論争どころか新党の確たる政策も未だ出来上がっていない段階で新党立ち上げだけを先行させたものである。総選挙の90日前だか何だかに政党登録をしておかねばならないという法律があって、その為に新党立ち上げを急いだという事は理解できる。しかし、どうして新党なのかという明確な説明を、早く政策を通して有権者に伝えないと、有権者としては現状ではどこを選んだら良いのか全く分からないのではなかろうか。代議士の名前だけで投票する人もいるのかも知れないが、普通は政策を確かめなければ中々人物だけで投票する勇気は沸いて来ないものだ。
 こうしてみると、一応それなりにしっかりしているのは「みんなの党」ぐらいで、それ以外の新党はそれぞれ看板役者は抱えているが党としての政策が不明なら、集票力も全く未知数である。結局は自民党の票が更に分散するだけで、民主党にはさしたる打撃にはならないのかも知れない。翻って与党側はと言えば、民主党衆院選に比べれば獲得票は大分減るであろうが、その他の泡沫政党である国民新党は郵政票を予定通りしっかり取り込んだし、社民党も組織票を中心に大きなブレはないであろう。従い、与党の集票は民主党がどこまで民主党離れを食い止められるかに掛かっている訳だが、実は小沢一郎は金権で着々と組織票を固めている。
 そんな事態を憂慮して、舛添要一は新党の連帯を呼びかけたが、これまた何処も乗ってこない。何処も新党を立ち上げてはみたが、結局は様子見のようだ。先ずは鳩山政権が潰れるのを待っているものか。5月政局がどう動くのかは、はやはり普天間問題の進展が大きく影響するであろう。民主党政権が長引けば長引くほど日本へのダメージは甚大となり、回復にはダメージを受けた期間の何倍をも要するであろうから僕は気が気ではないのだが、一向に打倒民主政権への道筋が見えて来ない。ふと無力感に苛まれ厭世的な気分に襲われる。