baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 民主党の代表選挙

 突然の鳩山由紀夫の総理辞任で、民主党が喧しい。小沢一郎が自分の息の掛った人間を担ぎ上げ、反小沢派の意見が纏まる前に代表選挙を終えてしまうと言う思惑も、小沢が一番当てにしていた菅直人が小沢と距離を置く事を条件に立候補してしまったので、小沢は目算が狂って未だに方針が固まらないと言われている。しかしこのまま手を拱いていれば本当に小沢の引退の花道が用意されてしまうかも知れない。今回は沈黙を通し時期を見るのか、やはり誰か息の掛った人間を担ぎ出させて存在感をアピールするのか。
 しかし、こうして今回の突然の首相辞任と後継者の選挙騒ぎを見ていると、民主党も所詮は自民党の体質と同じ派閥が先ずありきである事が明瞭に見て取れる。次期代表、即ち次期総理の見識、政策ではなく、結局はどの派、誰に近いか、等が決め手のようである。その証拠に、立候補する人間は有力議員への挨拶回りばかりで、自分の政見を発表する事など端から考えていない。そして端的に言えば小沢に近いか距離を置いているか、が当面最大の判断材料であるようだ。そこには政策も何もない。ただ、権力の二重構造は良くない、とか金権政治とは訣別するとか、小沢一郎にある程度の逆風が吹いている。一方で小沢派は党内の最大派閥である事に変わりはないから、結局は未だ沈黙を守っている小沢一郎の動向次第という処があり、菅直人で無難に収まるであろうとは思うものの、選挙の行方には未だに予断を許さない部分も残っている。
 民主党の代表選挙は国会議員である420余名のみの選挙で決まるそうだ。一般民主党員はまったく蚊帳の外のようである。これも民意を汲むと言う本来の民主党の主張とは矛盾するように思う。自民党でも地方の党員に選挙権を与えていたから、民主党の非民主ぶりは相当徹底している。そして今回の菅直人の立候補は、貧乏籤になりかねない。それを見越して岡田克也前原誠司も敢えて動かないとも思える。しかしそういう見方をすれば、鳩山由紀夫普天間問題で孤立した時に、副総理の菅直人は一言の発言も行動もなかった。副総理として首相を支援したようにはとても見えなかった。この人も結局は鳩山とは連座せずに敢えて距離を置いて、大分以前から次期政権を狙っていたものであろう。一方、小沢に近いグループに押されて、樽床伸二衆院議員も代表選挙に立候補するそうである。しかし肝心の小沢は未だ幟色を表していない。今は小沢派と反小沢派の虚々実々の駆け引きが為されている最中なのであろう。何れにしても樽床総理は余りに唐突で、総理大臣には全く馴染まないから、樽床議員の代表選勝利はちょっと考えにくい。
 そんな民主党内のドタバタはともかく、今回の総理辞任は実際には参院選を睨んだ看板の掛け替えに過ぎず、何ら目新しい事は無い。それどころか、現政権にとっての重要法案が目白押しでありながら会期を延長しないから、もう殆ど残された時間は無い。結局は民主党は全てを参院選に焦点を当てて、国政などは二の次で参院選での勝利に賭けているものであろう。鳩山の辞任は政権運営に失策が多く国民の信任を失ったからなのだが、それに対する反省、新たな政見、政策などとは無関係に党内の力関係だけで新しい総理を選出する訳である。
 周囲の実力者は菅直人をも9月の任期終了時には屠る心算なのかも知れない。菅直人も、それを百も承知で敢えて立候補して長期政権にしようと目論んでいるのであろう。今日はテレビニュースも新聞も次期民主党代表選挙の話題一色だが、所詮は野党根性が骨の髄まで浸み込んだ無責任な、しかも小沢一郎金権政治体質からも脱却し切れていない民主党のドタバタ内紛劇である。