baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 菅新政権

 菅新政権が、いよいよ明日の発足を目前に形が見えて来た。「小沢さんには暫くゆっくりして頂くのが良い」との代表就任挨拶の如く、相当露骨に小沢外しを実行している。その為かどうか、NHK世論調査によれば民主党の支持率はV字回復で、アンケートの主体が異なるから本当は比較は出来ないのだが敢えて比較すると、つい10日程前に比べその支持率は項目により1.5倍から2倍に急騰している。
 鳩山由紀夫が総理として不適格であった事は元々顕著であったが、このアンケート結果を見ると小沢外しが僕の予想以上に一般の好感を得ているような気がする。党内では一番の実力者である小沢外しを敢然と実行した菅直人の読みが大当たりであったようだ。しかし、このまま小沢一郎が大人しくしているのか、或いは自らの影響力を駆使して巻き返しに出るのか。第二次検察審査会の結論次第では、民主党は大揺れする危険を未だ孕んでいる。また、小沢外しが何処まで真剣なものか、単なる見せかけかは、これからの国会での野党の追及次第では新政権の踏み絵になりかねない。
 枝野新幹事長は小沢一郎に未だ会って貰えない様である。予想以上に自分に対する世論の風当たりが強い事を目の当たりにして、流石の小沢一郎も多少たじろいだものか、体勢立て直しの時間を稼いでいるようである。勿論幹事長の引き継ぎはしなければならないから、世間体もありこの一両日中には会談は実現すると思う。辞任以来自分の派閥の会合で樽床伸二が集めた129票を自画自賛した以外には表に出て来ない小沢だが、枝野にはどういう反応をするのであろうか。公開されないから知り様もないが、強面で対応するか笑顔にするか、海千山千の政治家の対応に興味は津々である。
 NHK世論調査による民主党のV字回復は、ご祝儀相場の一面もなきにしもあらずだが、やはり対抗馬たる自民党以下の野党が相も変わらず頼りない事が一番の理由であろう。元々人気の細った自民党から更にそれなりの顔だった政治家が離脱して新党を立ち上げたりするものだから、最大野党は益々戦力分散の趣である。本来は、菅新総理とて鳩山政権のNo.2であり普天間移設問題を初めとする数々の迷走の共犯者である。亀井静香郵政・金融担当相が率先して進めている金融機関苛め、即ち昨年の中小企業を対象とするモラルハザード法、しかもこれは本来中小企業が切望している景気の回復策ではなく元々モラルの低い中小企業を資する悪法であると僕は今でも信じて疑わないが、と今般の郵政改悪法案、などに対しても共同正犯である。高速道路無料化や子供手当てなど、財源の伴わないバラ播き政策をも財務大臣として支持して来た事実は動かない。暫定税率廃止などのマニフェスト違反でも同じく共同正犯である。言い換えれば鳩山由紀夫の迷走政権運営と、小沢一郎参院選勝利を至上とした強権、金権政治を支持して来た張本人である。だから野党がもっとしっかりしていれば、総理が替わったからと言ってこうも極端に世論が替わる筈はないと思う。
 勿論菅直人は自分が前政権のNo.2であった事などはおくびにも出さずに、強かに党のカラーの刷新をアピールしている訳だが、僕達有権者にしてみれば目先に惑わされずに、新政権の本来の政策はどうなるのかをしっかり見極める事が肝要である。今回の参院選に向けたマニフェストでどれだけの軌道修正が出来るのか、今の処は未だ単に党の看板が変わっただけだから、これからの政策がどうなるのかをしっかり見届けなければならない。パチンコ屋の機械の入れ替え同様、入れ替えただけで急に玉が出る訳ではない。
 そんな中で、政策調査会長の復活は朗報である。小沢一郎が幹事長になって、政調会長を廃止し政策は党の独裁、陳情は全て幹事長室に集約し、予算配分も幹事長に集中して民主党に対する忠誠心を見極めながら幹事長が恣意で匙加減するという、露骨な権力集中と金権政治であった小沢民主党が、多少なりとも民主的に改善される可能性が生まれたと言える。
 そもそも菅直人は市川房江門下であるから、元々は社会主義的傾向が強い人と思って間違いあるまい。とは言え、年齢と共に人間が成熟し、理想論が現実論に軌道修正される者も珍しくない。菅直人が現在どの位置にいるのか僕は未だ知らないが、日本の宰相としてバランスのとれた政治家に成長していると思いたい。とは言え若い頃の理想が全く消失しているとも考え難く、その意味ではそう簡単に企業の業績向上を通しての経済回復を考えるとは思わない方が無難であろう。僕の持論である、企業の業績拡大により雇用を拡大し、中小企業の受注状況を改善し、国内の空洞化に歯止めを掛け、国内市場の拡大を図る、という経済回復策とは中々相容れない政策を選択する惧れは捨て切れない。
 何れにしても、表看板が変わったというだけで従来の民主党批判を納める程僕は純真ではない。じっくりお手並みを拝見させて貰い、参院選の投票には慎重の上にも慎重を期す事としたい。今日のNHKのアンケートでは回答者の8割以上の人が参院選では投票したいと言っているそうであるから、国民の政治に対する意識が非常に高くなったようで、差し当たってこれは民主党による政権交代の最大の功績であろう。投票率が上がるのは大いに結構である。その結果が衆愚政治に陥らぬよう、お互い政局をよくよく見極めて一票を大事にしたいものである。