baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 新政権雑感

 新政権閣僚の記者会見は、中々新鮮だった。こうして見ると、多少の演出はあるとしてもやはり小沢一郎の権力の強大さは相当なものであったと想像出来る。ついこの間までと、閣僚の言う事がかなり違ってきている。一方で小沢一郎は拗ねているのか、再起を期しているのか、表に出て来ない。それが新生民主党にとっては非常に有利に働いていると思う。その小沢一郎が今日やっと枝野幹事長と面談したが、面談は僅か3分で終わったそうだ。3分位の事なら、唐の昔に工面できたであろうに、やはり今回の党主要人事、閣僚人事の露骨な小沢外しが面白くないのであろう。しかしその結果は民主党支持率のV字回復であった。
 例えば長妻厚労相である。ついこの間の国会答弁では、子供手当子育て支援施設への充実などではなく絶対に現金で、来年度からは一人当たり26,000円の満額支給と言い張っていた。ところが昨日は、財政難の折から満額支給は難しいかも知れない、全額現金ではなく保育サービスなどの充実という選択肢もある、と突然の変貌である。或いは脱官僚についても、菅総理は極めて重大な軌道修正をした。政治家と官僚が情報を共有しあって意思疎通を図り、官僚の知識や経験を十分に活かして政策を推進すると言う。小沢一郎の官僚嫌いを真っ向から否定する、僕に言わせれば正論である。普天間移設問題に対する反省もあろうが、こういうスタンスなら取り敢えずは何ら反対する理由はない。極めて保身的な官僚の独走も、全く専門知識を持たないと思った方が無難な政治家の独走も、何れも国民の為にはならないのだから、その両者の経験、知識をバランス良く活用するのであれば全く異論はない。
 更に、参院選が終わったら税制改革を本格的に議論すると言う。消費税率は4年間は上げないとマニフェストに拘って財政困難を顧みなかった鳩山政権とは大分ニュアンスが異なる。財政難を現実の問題として捉えるスタンスは、従来政権とは大きく異なるものだ。そして、税制を真剣に議論するのであれば、消費税率上げと法人税率下げは是非喫緊の課題として早急に具体化して欲しいものである。議論の為の議論であるなら時間の無駄だ。
 普天間問題も、鳩山政権が交わした日米合意を重んじると言う。具体案もないままに口から出まかせを言った前政権とは異なり、問題の難しさを認識した現実的な政策と言える。これが本当であれば、これから仙石官房長官は沖縄に日参しなければならなくなる。橋本龍太郎内閣の時の梶山静六官房長官は、それこそ沖縄に何度足を運んで民意を取り付けたか分からない。5月決着と言いながら、5月になってから初めて鳩山総理が足を運ぶようでは初めから話にならない。仙石官房長官には是非10月までの民意取り付けを目標に、沖縄日参を実現して欲しい。それが出来て初めて日米関係が振り出しに戻る。
 菅直人には、色々と思う処があったようである。ここ数日の菅総理の言動を見ていると、鳩山政権は短命と見、じっと機を見ていたもののようである。しかし、本当の菅色が見えて来るのはこれからである。取り敢えずは小沢一郎の国会での更なる説明である。例えば先日ダイエー創始者の中内巧の二男が相続税脱税容疑で逮捕されたが、本来億単位で脱税を図れば即逮捕であり、家宅捜索を受けるのが普通である。ところが何れも億単位の脱税行為でありながら、小沢一郎鳩山由紀夫も逮捕もされなければ家宅捜索も全く受けなかった。僅かに陸山会の事務所に家宅捜索が入っただけである。この一事からも、検察の、時の有力者に対する手加減が見て取れる。こんないい加減な話はないから、国会での証人喚問が相応しい。それを庇うようであれば、所詮菅直人も同じ穴の狢である。つまり、本当に小沢一郎の国会喚問を実現出来るのか、野党の追及次第では菅直人の踏み絵になるであろう。
 何れにしても景気対策を早く打って欲しい。国民新党のような、根本的な景気回復ではない単なる人気取り政策ではなく、抜本的な景気対策が早急に求められる。税制の抜本改革は正にその第一歩と言える。その為に国民負担が一時的に増えようが、意を尽くせば必ず理解して貰える筈だ。誰も孫子の代にツケを回して、自分だけは安穏に暮したいとは思うまい。口ばかりの総花主義やバラ撒き政策とは決別して、本当に日本経済復興に資する政策を集中的に、迅速に実行して欲しいものである。僕も取り敢えずは民主党批判は一旦収めて、お手並み拝見と行こう。