baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 ブラックベリー騒動

 アラブ首長国連邦ブラックベリーを規制すると言う。インドなどが追随する意向を表明している。理由はブラックベリーの暗号センターがカナダに集中していて、自国でブラックベリーの通信を検閲できず、テロリストに悪用されるという事のようである。同じテロリストに神経を尖らせているインドネシアでは、暗号センターが自国内に設置されているという理由で、ブラックベリー規制はしないと昨日発表した。暗号センターが自国内にあるかないかの違いが、どういう影響を及ぼすのか僕は知らないが、日本と異なりブラックベリーが猛烈な勢いで普及しているインドネシアでは、実際問題として規制するのは大きな社会問題に発展するであろうから、現実的な対応であると言える。ただ、ブラックベリーの暗号はそれほど高度で、解読が非常に難しいもののようである。
 何れにせよ怖いと思うのは、今や市民の通信は全て検閲の対象になるのが常識であった事である。日頃何の疑問も無く交信しているe-メールやSMSが、実は、少なくとも海外では、常時監視されていたのである。日本では個人情報に対する保護が必要以上に強調されて、肝心な事が中々分からず義理まで欠きかねない今日、実は世界的には個人情報など全て情報機関には把握されている訳である。これほど不気味な事もない。特高の再来のような恐怖を感じるのは僕だけではあるまい。確かにテロリストの無差別で卑劣な攻撃は、事前に察知して阻止出来るに越したことはない。しかし、だからと言って市民の日常生活まで無差別に監視されることには強い抵抗がある。
 昨今は中国の軍事力増強のみならず、いざと言う時の中国のサイバー攻撃に対する脅威も米国を初めとする西側では議論され始めている。実際中国を起源とするハッキングは、ペンタゴンを含む重要施設で過去幾度も検出されているそうである。中国のような中央集権国家が、そういう無体なルール違反を国家を挙げてやるかも知れないという現実は理解できるし、ついこの間の、米国でのロシアのスパイ摘発事件などはその良い例であろう。そして、摘発されたロシアのスパイは最終的にはロシアでスパイ容疑で拘留されている米国人と交換されるらしいから、冷戦が終結したと言いながらも未だに他国には気を許してはならないと言う外交の基本は他国では常識なのであろう。
 翻って我が国の実態はどうなのであろうか。スパイ天国という事は以前から言われている。北朝鮮やロシア、中国に限らず、イスラエルや韓国などからも日本のみならず第三国の情報収集目的で多数の諜報員が潜入していると言われている。島国で、特に中東系の人達が目立つ国柄である事と、日本でテロを起こしても余りインパクトが無い事、第三国に対するテロの足場としては日本はそれほど便利では無い事から、テロリストが日本に潜入している形跡は感じられないが、実は相当無防備なのかも知れない。特に通信傍受などはどうなっているのであろうか。自衛隊が相当規模の通信施設を持ち、日本近辺を行き交う通信を傍受している事は知られているが、自衛隊は市民の通信も検閲しているのであろうか。個人的には疚しい事はないが、やはり日常生活を覗かれているのであれば良い気持ちはしない。一度日本の、防諜や通信傍受の実態を知りたいものである。