baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 完全に当事者能力を欠いた民主政権

 菅直人率いる民主政権は、危機管理能力も皆無なら、そもそも当事者能力も完全に欠如しているようである。僕のような素人でも現在の円高と株安には早急に対策を講じなければならないと、本ブログでも再三書いているのに政府、日銀とも不作為の罪を重ねるばかりで今日に到るまで何ら手を打っていない。ついには市場に流れ込んでいる投機マネーに完全に舐められて、円は15年ぶりの円高に踏みこんでしまった。昨日深夜のニュースでは、ニューヨークで円が一時84円03銭位まで買い進まれてしまい、今日の東京市場も84円台で推移している。あろうことか菅直人はその間も、渡邉喜美言う処の「殆どチンピラの喧嘩」に明け暮れて、9月14日の民主党代表選に向けて新人議員との懇談会に余念がない。今日で既に3日目である。菅陣営は新人議員に懸命に出席を呼びかけ、小沢陣営は欠席を呼び掛けているそうだ、何とも長閑な事ではないか。こうして見ると、菅直人には事の軽重が全く分かっていないし、今が国家の一大事と言う意識も全く無いようである。
 宮崎県で口蹄疫が見付かった時の農水省の赤松大臣、山田副大臣の対応のお粗末さは目を覆うばかりで、本ブログでも相当辛らつに批判した。しかし、今回の菅直人率いる政府と日銀の対応のお粗末さは、あの時の比ではない。日本経済全体が激震に襲われているというのに、政府として何ら対策を講じる事無く無為に時間のみが経過しているのである。菅直人日銀総裁との遅きに失した会談が、緊急ではなく数日先にセットされた事も驚きであったが、いざ蓋を開けてみれば当初言われていた面談から電話に切り替わり、それも僅か15分で何の対策も決まらぬまま終わってしまった。それに勇気づけられた市場は、安心して円を買い続けられる事になった。
 直嶋正行経産相は出張先のベトナムで、今頃になって危機感を表明しているが、円高の被害を真っ先に蒙る産業界を代表している自覚は全く感じられないタイミングである。異常な円高の恐ろしさが、今頃になってやっと少し分かって来たものか。経産省では円高の産業界に与える影響を現在集計中だそうだが、今頃になって何を言っているのか理解に苦しむ。泥縄の典型ではないか。集計結果を見て、総理に対策を進言するそうだが、火が燃え盛っている家の前に消防自動車を止めて、取り敢えず家の設計図を探している様なものである。余りの現実感の欠落、浮世離れしたスローテンポには、これが日本の大臣かと情けなくなる。
 そして肝心の野田佳彦財相が昨日夕刻記者会見したが、こちらも担当大臣とは思えない、全く迫力を欠いた批評家の様なコメントだったので海外市場の円買いが勢いづいてしまった。昨年の、当時財相だった菅直人の失言の記憶が未だ新しいから、失言を惧れる余り何を言ったら良いのか分からなかったのであろうが、世界第三位の経済大国の日本の財務大臣としてはお粗末極まりない。本来なら、日本の財務大臣の発言は米国の財務長官の発言同様、世界の市場を動かせる程の影響力があると言っても過言ではないのに、今の日本の財務大臣の発言には三文の値打もない。その野田が今日の午前中にもまた記者会見したが、おっかなびっくりの腰が引けた大臣コメントには確固たる意志の片鱗も感じられず、到底現在の行き過ぎた円高是正に有効なインパクトがあるとは思えない。直嶋にしても野田にしても、国の根幹をなす分野の閣僚とは信じられない愚鈍さである。
 こと程左様に民主政権の閣僚は、経験がない、ビジョンがない、知識がない、決断力が無い、どうして良いのか分からない、の無い無いづくしで、目先に大問題が発生してもどうして良いか分からないから放っておくのである。総理大臣からしてそうなのだから、もうどうしようもない。今や我々には衆院解散、総選挙しか残された道はあるまい。誰が民主党代表になっても、こんな烏合の衆では日本の国政の舵取りは無理である。くどいが、円高は単に輸出にブレーキが掛るのみならず、日本の産業空洞化に拍車が掛り、益々雇用環境が悪化する一大事なのである。
 因みに、円高については、もう事ここに到っては断固とした直接介入しかない。海外からの批判は浴びるかも知れないが、取り敢えず断固たる姿勢を見せなければ、益々投機マネーに甘い汁を吸われ、日本経済は奈落の底に落ちて行く。それを何時やるのか、タイミングはとっくに過ぎているのだから、後は決断のみである。問題は大臣が為替介入のメカニズムを理解しているかどうか、ひょっとすると今頃一生懸命勉強しているところかも知れない。