baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 民主党代表選

 民主党代表選も、残すところ後一週間となった。小沢一郎のメディアでの露出度が今迄になかった位上がっているのに対し、菅直人は公人としての姿をアピールしようとしている様である。しかし、現実には今日に到るも景気対策円高対策が発表される訳でもなく、特段仕事をしている様には見受けられない。事実、今日はエクアドルの大統領との会談などをメディアに公表しているに過ぎない。政治の空白は疑うべくもなく、この様子では代表選が終わっても民主政権が続く限りは政治空白が続くのかも知れない。世論調査では相変わらず菅総理支持が60〜70%であるのに対し、小沢一郎支持は20%に満たない。仮に小沢一郎が勝利すると、発足時から支持率が20%を割る政権は前代未聞ではなかろうか。
 関経連の代表が数日前に、直嶋正行に早急なる円高対策を申し入れたそうである。これに対し直嶋は「円高は至急対策を講じなければならない問題だと認識している」と応じたそうである。しかるに、未だに何ら新たな政策は発表されず、今日も対ドル84円という円高水準に張り付いたままである。民主党の至急と言うのは、一ヶ月単位なのか半年単位なのか、悠長な事である。何にも増して直嶋経産相無為無策は幾ら批判しても足りないが、そもそも彼は民社党出身であり、若い頃に経済を勉強するチャンスがなかったのかも知れない。だから、円高がどういう事なのか、日本経済にどういうインパクトを与えるのかが、全く理解できていないのであろう。しかしその無能な経産相をそのまま放置している総理大臣の無策ぶりは情けない。その間にもスズキ自動車は一旦決定した国内投資計画を取り止めて、インドでの投資を加速してインドでの生産台数は日本を上回る規模にすると発表した。鈴木修会長兼社長の痛烈な政府批判である。
 翻って、鳩山由紀夫の節操のなさには心底腹が立つ。鳩山由紀夫が自ら辞任する時に、「政治とカネ」を主な理由に小沢幹事長にも辞任を強いたのではなかったか。その問題人物の小沢一郎を、舌の根も乾かない中に日本の総理に担ぎ上げようと躍起になっている鳩山前総理。こんなに国民を馬鹿にした話も無いものである。そこには定見の片鱗もない。鳩山由紀夫普天間基地問題で嘘ばかり付いてオバマ大統領を怒らせ、最後には全く相手にされなくなったが、日本国民にも欺瞞ばかりである。斯くの如く低レベルの代表選の、小沢一郎菅直人の論戦を見ていると、大風呂敷とはったりの小沢に対し、まるで具体論のない菅直人である。僕は小沢一郎は、万が一代表になってもまた幹事長に治まって金だけ一手に握るのかと思っていたが、どうやら今回はそうでもないらしい。しかし、どちらが総理になっても日本の再生には希望が持てそうもない。
 菅直人は、雇用、雇用、雇用と連呼しているが、どのように雇用を改善しようとしているのかが全く分からない。企業に対して、試用期間の給与を一部補てんしようというアイディアがあるようだが、バラ捲きでは全く効果が無い事が未だに分からないのであろうか。企業から見れば半年分位の人件費を補填されても、将来の業績に見通しが立たぬ限り、その後の人件費や社会保険料を固定費として負担するのでは全く算盤が合わない。そして企業に明るい将来を見せるには、短期的には円高を是正する事、中長期的には法人税を国際水準まで下げると共に、インフラコストを下げて日本製品の国際競争力を取り戻すしか方法は無い。「一に雇用、二に雇用、三に雇用」などとお題目を唱えているだけで改善するほど、雇用状態の改善は簡単ではない。菅直人には具体論が欠けており、政策実行力にも疑問が大きい。
 対する大風呂敷ではったりだけの小沢一郎は、相も変わらず財源なきまま衆院選マニフェストを守ると言う。子供手当満額支給やら高速代無料化やら、バラ捲きには経済効果は殆ど無い事が既に明らかになっているのに未だにマニフェストに拘っている、頑迷な事である。更に、この人の反官僚感情は異常である。身内の政治家にまったく行政能力も知識も経験もないのに、どうやって政治主導で日本と言う大国の行政を行うと言うのであろうか。無責任極まりない主張である。例えば、民主政権がもう少し官僚を大事にしていれば、例え野田財務相が無知蒙昧の無能大臣であっても、財務審議官辺りがもう少し利口に立ち回って、ここまで酷い円高も多少は是正出来たのではないかと思うのである。
 更に、小沢一郎の無責任の真骨頂は、国有財産の債権化である。彼に依れば国有財産は約600兆円あるそうで、その内の200兆円位を債権化して売却すれば簡単に財源が出来ると言う発想である。こんな無責任な話はない。そもそも、国有財産の600兆円は莫大な財源に思えるが、その中には道路や鉄道路、治水用地や保護林、自衛隊用地や宮内庁の用地、国立公園などが含まれる。そこから200兆円もの用地を売却出来るのかは甚だ疑問だが、その疑問は横に措いてもこれ程酷い話はない。
 国有地の売却は、企業で言えば資本金を取り崩す事である。これ以上借金は増やせないが、運転資金が回らないから資本金を取り崩す。その財源は国債の償却に使われるのではなく、マニフェストのバラ捲きの財源になる訳だから、借金は減らずに資本金が毀損される事になる。企業で言えば、借入金の対資本金比率が悪化する、程度問題ではあるが倒産寸前の企業に特有の財務体質に陥る事になる。こんな無責任な話はない。僕には、僕等の代で日本の財産を売却し、借金だけを子孫に残す事など絶対に許せない。小沢一郎と言う人は、自分の大風呂敷から出た公約を守る為には、こんな酷い事を平然と言う男なのである。そこには、日本の将来を明るくしようなどという発想は全く見られない。
 こうして見れば、どちらが代表選に勝とうが、民主政権である限り日本に未来はない。これだけ政策の異なるグループが民主党をほぼ二分しているのであるから、幾ら代表選が終われば挙党態勢などと言っても、一つに纏まるとは思えない。衆参捻じれ以前に、党内の意見が纏まらない。となれば、他の政党に早くしっかりと立ち直って貰い、一刻も早く解散、総選挙を行うしかない。そして、有権者は今こそムードに流された安易な投票をしてはならないと自覚すべきである。改革は常に必要であるが、如何に改革するかという具体論までもしっかり見極めなければならない。民主党マニフェストの様に、耳触りは良いが、全く具体性に欠け、或いは実現しようとすれば百害あって一利もない公約に騙されてはならない。民主党マニフェストが如何に欺瞞であったかは、1年経ってやっと明白になった。有権者は同じ過ちを繰り返してはならないのである。
 民主党代表選と言う、目糞と鼻糞の争いはどうでも良いが、有権者がしっかり現実を見据え政策を評価して有効な一票を投じないと、遠からず日本は崩壊すると危惧されてならないのである。