baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 名護市々長選

 名護市の市議選投開票が12日に終わり、名護市への普天間基地移設に反対する稲嶺進市長派の市議が27名中16名という圧倒的過半数を占めた。益々普天間基地移設が難しくなった訳だが、この結果を受けて北澤防衛相が本日、市議選の結果がどうであれ日米合意に基づく政府の方針に変更はないと発表した。政府としてはそれしかないから嘘ではなかろうが、何とも名護市民の神経を逆撫でする軽い発言である。
 名護市地元との対話も殆どやらず、その努力もせずに、既定方針堅持とだけ声明されても地元は一層硬化するであろう。自民党普天間基地を名護市に移設する案を固めるまでには、時の官房長官の梶山晴六が四十回近くも沖縄詣でを重ねて地元と意見の交換をし、やっと合意を取り付けた経緯がある。それに対して民主政権は一体どれだけ地元との意見交換をしているであろう。誰も触りたがらないだけではないか。
 そもそも鳩山由紀夫が怪しからん事は明白である。鳩山は成算もないのに普天間基地問題に手を付けて、甘い言葉を重ねて収拾不能になるまで引っ掻き回した挙句に責任を取ると称して辞任してしまった。後は野となれ山となれの無責任極まりない行為であった。しかし、鳩山政権最後の方針で日米合意が為され、8月末には二案併記ではあるが名護市への移設で日米合意した。これまた成算もないのに、無責任極まりない合意ではある。反面、日米安保の重要性を鑑みれば、何時までも結論無しでは引っ張れない。
 問題は、その過程に措いても民主政権は殆ど地元との対話努力をしていない事である。年が明けてからやっと平野博文官房長官が二度地元を訪問したが、これも子供の使いで、真剣さも足りないし最後まで相手にされなかった。平野の使いでは上手く行かなかったので、鳩山自らが、対米公約の期限ぎりぎりのゴールデンウィークに入ってから、初めて地元との対話に乗り出した訳だが、その鳩山由紀夫も一度目の面談は何とか受け入れられても二度目は受け入れられなかった。大体鳩山由紀夫は沖縄名護市民のみならず、米オバマ大統領にも二度目の面談は受け入れられなかった。これらの事実は、鳩山由紀夫の言葉の軽さを如実に証明している。菅直人が政権を樹立してからも、名護市との意見交換はそれ程為されているようには見えない。防衛副大臣が一二度面談した程度ではなかろうか。それも、基地を引き受けて貰う見返りの具体的提案も無きままだったのではないか。
 名護市民の心情は察するに余りある。それに引き換え、民主政権の無責任さは眼を覆うばかりである。しかし、日本の安全保障を考える時、特に昨今の中国の露骨な覇権主義や、北朝鮮の相も変わらぬ挑発的な態度と朝鮮半島の緊張の高まりを目の当たりにすれば、沖縄の米軍海兵隊基地の必要性は益々高まる一方である。そして普天間が世界でも一二の危険な航空基地であり、沖縄大学への米軍ヘリ墜落の記憶も未だ生々しい事を思えば、名護市の海を埋め立ててV字型に滑走路二本を建設するしか現実的な代案が見付からないのが実態のようである。そうであれば、民主政権は自らが火を付けてしまった本件を日米合意の線で纏めるべく、もっともっと真剣に、頻繁に、地元と意見交換を行い、理解を得る努力をするべきではないか。
 口ばかりで誰も触りたがらないようでは、普天間基地の恒久化は免れない。その結果大惨事でも起きた時には、鳩山由紀夫の責任は万死に値する。鳩山由紀夫は首相特使などと良い気になってロシア訪問などしている場合ではなかろう。そもそも鳩山ほどの外交音痴もいないのだから、中途半端に外国訪問などはせずに普天間問題を自ら治める努力をすべきであろう。もっとも、もう信用が失墜している鳩山では実際には何の役にも立たないであろうから、鳩山由紀夫云々などと言うレベルの低い話はさて措いて、政府として総力を挙げて普天間周辺で大惨事が起きる前に何とかより安全な名護市への移設を実現するしかないのであろう。そして、名護市民には、国民全員が連帯してその代償を償わなければならない。