baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 民主党代表選

 今日は仕事で名古屋の取引先を訪問していた。代表選の結果が気になって、取引先を出るなり携帯でヤフーのニュースをチェックした。思いの外の大差で菅直人が再選されていて、ほっとした。別に菅直人を応援している訳ではないが、本ブログの読者ならご存知のように、小沢一郎が勝ったら厭だと思っていたからである。一応、民主党にも最低限の自浄能力は残っていたようである。もっとも国会議員の自浄能力は極めて危うく、実際に自浄能力があったのは地方議員や、特に党員、サポーターである。庶民の感覚の方が常識的のようである。
 現実には、党員、サポーター票は小選挙区制なので、実際の票差はポイント差程ではないらしい。国会議員票は殆ど半々である。この三ヶ月の菅直人の体たらくを見ていれば、二者択一を迫られても困ると言うのも分からないではないが、それにしても未だに小沢一郎と言う選択はなかろうと思うのだが。小沢は誰が見ても、「政治とカネ」体質がプンプンしている旧態依然とした金権政治家ではないか。実行力があるように見えるが、実際は腹芸も達者な、老獪な密室政治家ではないか。何にも増して、外交音痴の標本ではないか。もう時代遅れの政治家だと思うのだ。
 問題はこれからの菅直人の人事であろう。口先だけではなく、本当にクリーンでオープンな政治を目指すのなら、従来路線を踏襲して先ず小沢一郎には大人しくしていて貰わねばならない。また、次の衆院選では引退するとまで表明していかにも一線から身を引く様な事を宣言していたのに、舌の根も乾かない中にトロイカ体制などと言ってしゃしゃり出て来た鳩山由紀夫にも引っ込んでいて貰わねばならない。特に鳩山は、管と小沢の仲を取り持つ事にすら失敗した、党内でも全く無能な政治家がである事が分かったばかりである。挙党態勢に拘る余りに、これらの遺物を引っ張り出して来てははならない。また、今回の代表選の論功行賞をしてはそれこそ民主党が二分されてしまうが、かと言ってあれだけ政策に違いがある事がはっきりしてしまった以上、小沢派を要職に据えるのも余程ポストを考えないと政権運営に支障を来たすであろう。以前にも書いたが、衆参捻じれ以前に、政策が党内で捻じれてしまう。代表選でどちらに付いたかという事ではなく、政策が異なればやはり重要ポストに付かせるのは筋が違うと思う。
 帰宅してからラジオを聞いていたら、小沢派の衆院議員が出てきて敗戦の総括をしていた。実際には敗戦の総括と言うよりは、敗戦であったのに反省するでもなく、今後の政権運営についてあれこれ小沢の持論を述べていた。何だか勝ち組の話のようで、奇異な感じであったが、特に「何を言っているんだ、こいつは」と思ったのが約束についてである。彼は「マニフェストは国民への公約であるから守らなければならない、見直しはダメだと言っている訳ではないが、努力もしないで端から見直すと言いだした菅直人は間違っている、やるだけやってギリギリの処まで努力して、それでもダメな時は初めて国民にしっかり説明をして見直すのであって、今から見直しとは何事か」と言うのである。まあ、それも筋が通っているなら一つの考えではあろう。ところが自分の都合の良い処でだけそういう意見を言うから怪しからんのである。それが何かと言えば、普天間基地問題である。
 普天間基地移設については「小沢先生の仰るように、普天間基地についてはもう一度振り出しに戻して、みんなが納得のゆく移転先を米国と話し合わなければならない。沖縄はもう無理だ」と言うのである。民主政権がつい4ヶ月前に辺野古と決め、米国ともそういう約束をしたという事実はどうするつもりであろう。米国との約束は、それこそどうでも良いのであろうか。国民には「マニフェストを約束した」と言い続ける一方、米国との約束はついこの間の事なのにまるで何事もなかったかの如き口ぶりなのである。これが、米国が小沢一郎をもっとも警戒していた理由の一つであり、小沢一派の政権に対する主体性の無い無責任さなのである。
 普天間問題こそ、民主党政権は未だ何も努力をしていないではないか。米国との、国と国との約束を平然と反故にした鳩山由紀夫が、迷走に次ぐ迷走の挙句にどうにも行き詰まって政権を投げ出した訳だが、その時に結局辺野古案に舞い戻ったのはつい4ヶ月前の事である。そして改めて米国と辺野古に移設する案で僅か二週間前に合意したばかりではないか。米国にも、日本の安全保障にも、そして甘い期待を抱かされる沖縄県民に対しても、これほど無責任な放言はないと思う。こうして見ると、相も変わらず小沢一派はバラ捲きに拘り、甘言を弄して国民の人気取りに走るばかりで、本当に国の将来を見据えている訳ではないのである。にも拘わらず未だに小沢人気がある事が、僕にはどうしても理解できない。国の将来などはどうでも良い、取り敢えずは目先のバラ撒きが良いと言う人がそんなに大勢いるのであろうか。僕には、日本人がそこまで落ちぶれたとは到底思えないのだが。
 これからの人事で菅直人は、挙党一致という見掛けに拘る余りに旧態依然としたトロイカのみならず、動くミイラや頭のカラな小沢の提灯持ちを引っ張り出したり、ラジオ放送に出ていたような、政権運営に主体性のない無責任な小沢一派を要職に付けない事だ。もうこれ以上日本の政治の空白を続ける訳にはゆかないのだから、せめて次の総選挙までは一枚岩の政府を作り、即決即断内閣で国会運営に当たって欲しい。足下では今日も、政府の無為無策をあざ笑うように円高が亢進しているのである。