baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 チリの鉱山事故から全員生還

 チリの銅鉱山崩落事故から70日、世界中が見守る中で昨日から始まった、構内に閉じ込められた33人の作業員の救出が、日本時間の本日お昼頃に全員無事救出裏に成功した。さらに救出作業の為に構内に下りた決死的な救助隊員6名も、全員が無事に帰還した。正に奇跡と言っても言い過ぎではない。620mに及ぶ救出用のトンネル内部は殆どが岩石そのままに剥き出しで、何時二次崩落が起きても、或いは落石で救出用カプセルの運航に支障を来たしてもおかしくない状況での救出であったそうである。
 この事故で凄かったのは、事故から17日間、作業員の安否も不明なら作業員と地上との通信も一切途絶えていたのに、作業員全員が希望を捨てずに規律正しく行動して、2週間半もの長丁場を無事に乗り切った事にある。救出の保証もない薄暗い地下坑道の中で17日間もの間、パニックにも陥らずに冷静に過ごしたその精神力と規律は、正にこの奇跡の原動力であった。その素晴らしい統率力を発揮したのは現場監督の、54歳のルイス・ウルスアという人物だと言う。
 この現場監督は、事故直後から未だ救出のアテもないのに、緊急用の食料や水分の一人当たりの割当量を決め、ツナの缶詰めが一人当たり2日にスプーンで二口、ミルクがカップに半分に制限したそうだ。しかし、作業員がそれに反発する事も無く、また絶望することもなく、諾々とその指示に従ったそうである。その結果、事故後17日目になってもまだ食料と水分には余裕があったと言う。更に、全長2kmに及ぶトンネルのなかに居住区を確保し、個人々々にスペースを割り当て、更なるトンネルの崩落に備えて常に交代で見張りを立てたと言う。素晴らしい危機管理能力であり、そのリーダーシップである。その極め付けは、自分は船の船長と同じである、船を脱出する時は乗組員全員が脱出した事を見届けてからだと、最後の救出を自ら申し出たそうである。
 総理大臣以下、民主党の閣僚では足下にも及ばぬリーダーシップと危機管理能力である。こういう生死を分ける緊急時に本当のリーダーとなり得る人の資質は、部下に対する日頃の心配りを忘れない、自己犠牲を厭わない、他人の嫌がる事を進んで引き受ける、事だと言う。もちろん決断力と冷静な判断力が必須である事は言うに及ばない。逆に日頃から部下をこき使い、或いは何事も手柄を一人占めするような管理職には部下は絶対に従いて来ないものだそうである。指示が迷走し、常にブレるようでは尚の事である。民主党の人間には絶対に無理であろう。
 個々の作業員の、絶対に救助されると言う信念にも目を見張るものがあった。地上に吊り上げられ、カプセルから出して貰った直後に、跪ずいて神に祈りを捧げる姿も見られた。こういう人智を超えた緊急事態には、信仰心というものも相当の力を人間に与えるもののようである。信仰がなくとも強い精神力を持っていれば同じ結果を得られると思うが、それ程の強靭な精神力を皆が持ち合わせる事は中々難しいであろう。苦しい時の神頼みで、やはり信仰心があればこう言う時には一途に神頼みで精神の均衡を保つ事が出来る様である。
 何はともあれ、一人の犠牲者も出さずに、閉じ込められた作業員と救助隊が一体になって無事全員が生還出来た事は、この上なくめでたい事であった。