baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 反日デモ盛んな中国

 中国で尖閣諸島問題を契機に反日機運が高まり、ここのところ連日反日デモが起きているそうだ。その煽りで日系スーパーや、日本製品を売る店が暴徒に襲われ破壊されたりしている。不愉快なニュースではある。しかし、真剣に反応するレベルの話ではないと思う。これらの動きに対応して、日本でも右翼が中国大使館にデモをかけたりしているようだが、これも迷惑な話である。日本では右翼のデモになど殆どの人は気にも留めていないだろうが、こんな些細なニュースでも中国では過剰反応を惹き起してしまうからである。
 中国は共産党一党独裁国家である。国中の総ゆる意見は共産党の見解に統一される。教科書は、全てが共産党礼賛のバックボーンに裏付けられていて、歴史もその例外ではない。だから南京大虐殺などは中国側の一方的な数字で徹底的に教育され、中国人の骨の髄にまで浸み込んでいる。テレビでは抗日戦争中の日本軍の残虐ストーリーは今でも日常茶飯事に流される。誰でも何時もあんな物を見ていれば、厭でも日本人が嫌いになる。子供の頃、テレビ映画と言えば米国物、そして西部劇なら白人が正義でインディアンが悪者、戦争物なら米兵が正義で常に強くて、ドイツ軍は常に無様な敵になっていた。だから知らぬ間にドイツ軍が鉄砲で撃たれると痛快、アメリカ人が撃たれると心配になったものだが、同じレベルで既に中国人には反日精神が埋め込まれている。
 一党独裁だから、原則は共産党批判は許されない。治安警察が発達しているから、うっかり悪口を言うだけでも引っ張られかねない。だから共産党、ひいては政府の批判をする事も日常的ではなく、一般人には思いもよらない。インテリを標榜する学生には批判精神も多少はあるのだろうが、知識が偏っているし、そもそも偏向教育を施されているからまともな判断など出来る筈もない。誤った知識と、子供の頃から浸み込んだ反日感情と、そして俄か成金になって今迄の劣等感が裏返って、ちょっと高揚した愛国心がないまぜになってデモを行っているのであろう。
 政府も、一党独裁とは言え、民衆パワーは恐い。特に最近の目覚ましい経済発展の結果、貧富の格差が途方もなく拡がってしまった。共産党の精神など遥か彼方に置き忘れて来てしまったが如くである。貧富の格差が拡がれば、民衆、特に大多数の、富には殆ど関係の無い人々の不満は高まる。外国人が金持ちなのは已むを得ないと思っていたが、目の前にいる同胞が桁違いに金持ちで、しかも自分たちが信奉している共産主義とはどうも相容れないのではないか、という疑問が湧いてくる。そうなれば不満の矛先は政府に向かうから、政府としては頻繁にガス抜きをして、矛先を他に振り向けなければならない。それが東シナ海尖閣諸島であり、南シナ海南沙諸島であり、ノルウェイに対する恫喝であり、反日デモである。
 中国のお家事情は大方そんな処であろうが、日本は言うべきは言い主張すべきは主張しておかないと、知らぬ間に中国のペースに嵌ってしまう危険は大きい。しかし、そこだけ押さえておけば、後はそれ程気に懸ける程の事はあるまい。気に懸けたところで、所詮外国の国内の問題であり、どうする事も出来ない。しかも、反日感情の次元が非常に低い訳だから、まともに取り合うまでの事もない。精々既にやっている日本文化の紹介などを通じて、両国の友好を図るぐらいしか法途はあるまい。勿論、今後の成り行き次第ではどうなるのか予断は許されないが、中国にはそういうリスクが非常に大きい事を改めて認識し、急いでリスクの分散を図るしかなかろう。急に金持ちになった田舎者としては、日本も一時世界の顰蹙を買った時代がある。日本の学生も暴れた時代がある。動機や振舞いこそ多少異なれども、所詮は似たようなものである。