baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 舐められ切った民主政権の腰引け外交

 ハノイでの、外相会談で固めた菅直人温家宝との日中首脳会談が、中国側から一方的にキャンセルされた。中国側の意向確認などに手間取り、菅直人ASEAN+3の会議場のホテルで1時間も足止めされたと言う。これ程外交上の非礼もあるまい。恐らく意図的に馬鹿にされたのである。にも拘わらず翌日、中国の控室でまた短時間の非公式会談を行った。本来なら無視して当然の相手に、また揉み手腰折れで会談したものと想像される。菅直人も仙石由人も事あれば「冷静な対応」と口にするが、冷静な対応と馬鹿にされてもヘラヘラしているのとは違う。日中韓三ヶ国首脳会談の際の、温家宝菅直人を完全に無視した無礼な態度と、ヘラヘラと何が嬉しいのか満面作り笑いの菅直人を、ニュースで見て愕然とした人も多いのではないか。まるで役者が違うのである。感情的な対応は大人げないが、冷静に怒りを表明するのは当然の事であるのに、菅直人も民主政権もすっかり怯えてしまって怒りの表明すら出来ない。その言い訳が「冷静な対応」であるようだ。
 尖閣諸島の漁船衝突以来、日本は完全に中国に舐められてしまった。船長の釈放が腰砕けなら、ビデオの公開を躊躇するのも中国を慮り過ぎなのである。衝突現場のビデオは、別に真実を捏造する訳ではないのだから正々堂々と世界に公開して、如何に中国船が乱暴で理は日本にあるかを主張すべきなのである。にも拘わらず、公開すれば中国が臍を曲げる、今月日本で開催するAPECに悪影響が出る、と理不尽なのは中国なのにひたすら低姿勢である。どうしてそこまで馬鹿にされて、尚APEC胡錦濤が欠席したら困るとか、相手の都合ばかり気にするのであろう。
 何時も言うが、外交とはエゴのぶつかり合いであり、国益のぶつかり合いである。しかも声の大きい方が大体正しい事になってしまう。今の日中関係をみていれば、一方的に中国の声ばかりで、日本は「冷静に、冷静に.....」と何も言わない。冷静では無くて臆病なだけではないかと思われるし、実際民主政権の外交素人集団には手に余っているだけかも知れない。
 北ではメドベージェフが、ソ連時代を通じて初めて元首が、北方四島を訪問した。明らかに四島返還に逆行する行動であり、従来の日ソ合意を一方的に踏みにじっている。6月から鳩山由紀夫が二度もロシアを訪問しているので、その内容は殆ど報道されていないがまた何か馬鹿な事をしてしまったのではないかと危惧したりもする。希代の無知蒙昧、且つこの上なく鈍感な鳩山由紀夫の事だから、メドベージェフなりロシアの幹部を怒らせてしまったと言う事は充分あり得る。とにかくメドベージェフの唐突な北方四島訪問であった。鳩山は、自分が日本にいると民主党に迷惑を掛けるからなるべく外遊する、と言っているそうだが、冗談ではない、なるべくじっとしていて欲しいのである。鳩山由紀夫が外遊すれば日本国民が迷惑する。そして願わくば、首相を引いた時の発言を守って、政界から引退して欲しいのである。わずか4ヶ月でもうブレている。
 話は戻るが、こうした中国やロシアの強硬外交は、日米関係に鳩山由紀夫が亀裂を入れてしまった事が先ず最大の理由であろう。普天間基地移設問題は迷走を続けて、相も変わらず着地点が見えない。その過程で日米関係もギクシャクしてしまい、一時は総理が訪米しても大統領との公式会談が拒否される関係にまでなった。菅直人になってからは、多少は関係修復の努力が見られるが、肝心の米国がオバマ政権の中間選挙劣勢で余力がない。元々武力を持たない日本の外交は米国頼みであった訳で、その関係に亀裂が入れば周辺の列強は日本の足下を見て、自国の国益拡大を目指す。対等な日米関係などと、実力も弁えずに思い上がった事へのツケが回って来ている。
 こういう事態では日本政府としては、毅然として主張すべきは主張し、抗議すべきは抗議すると同時に、世界に対して自らの立場を説明しなければならないのに、肝心の国際世界に対する説明が全くと言っていい程お座なりである。今の様な対応をこれからも続ければ、世界は米国を始め領土問題は基本的には二国間問題と割り切るから、尖閣諸島にしても北方四島にしてもどんどん中ロによる実効支配が進み、気が付いて見たらどちらも日本から剥ぎ取られていた、と言う事になりかねない。いまは陰に隠れて表に出て来ていないが、竹島もしかりである。
 政府は、何も中国を怖がる事はない。別に日本が悪い事をしている訳ではないのだから、もっと毅然とした態度で、怒る時は冷静に怒らなければいけない。感情的になるのは勿論マイナスであるが、怒る時は怒らなければいけない。虚仮にされてヘラヘラしているようでは、日本人全体の恥である。対ロシアも同様、口先の抗議だけではなく、もっと実質的な報復を考えなければいけない。報復と言えば聞こえが悪いが、交渉の材料作りと言う意味である。資源開発や温暖化対策などでの共同事業を考え直すとか、投資を一時棚上げするとか、やられっ放しなのにヘラヘラしていては絶対に宜しくない。中途半端な対応が続けば、ドイツのネオナチの如く国内に極右集団が出現しかねない。そんな事にならぬよう、政府はしっかり腰を入れた外交を展開して欲しい。
 同時に、前原誠司は外相としての発言をもっと勉強すべきである。石原慎太郎の発言とは重みが違うのだから、立場を考えて上手な発言を心掛けるべきである。石原慎太郎なら、明快で痛快であれば、余分な言葉はなくとも別に国を代表している訳ではないからそれで良い。しかし外務大臣は立場が違うことを肝に銘じるべきである。大体前原誠司は、八ッ場ダムの工事中止発言の時からそうであるが、言葉足らずで人を怒らせるのが得意である。