baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

ポスト民主党政権

 民主党政権の惨憺たる15ヶ月については僕もこの15ヶ月散々書いて来た訳だが、それでは誰が交代するのかと言えば、これが相も変わらずパッとしない。規模的に言っても自民党抜きの政権は当面はあり得ないが、自民党単独で政権運営出来るかどうかは分からない。民主党がバラ捲きマニフェストと、無駄を省けば出て来るという財源の話をデッチ上げて散々国民を騙した挙句に、頭から冷水を浴びせてその期待を見事に裏切ったから、昨年の衆院選の時の様に国民が冷静さを失って投票する事はもうあるまいが、かと言って自民党の支持率回復は民主党に失望した層が消極的に戻って来ただけのもので、決して自民党の人気が上がった訳ではあるまい。相対的に民主党が酷過ぎただけで、その間に自民党がポイントを稼ぐような出来事は何もなかった。
 実際、この15ヶ月と言うもの、自民党はすっかり野党慣れしてしまい、民主党にケチを付けるのは上手になったが主体的に国政を引っ張るという風格は微塵も感じられなかった。国会での質問も上げ足取りや新聞記事をネタに執拗に政権の弱みを突くものが多く、本質的な議論にはならない。勿論答弁する閣僚が素人揃いである上に、政治主導などと身の丈知らずの良い格好をしたものだから、柳田前法相ではないがバカの一つ覚えみたいな事ばかり言ってみたり失言してみたりで、まともな答弁にならないから自民党議員の所為だけではないのだが。
 そんな情けない自民党がやっと次の選挙に向けた公約作りの作業に取り掛かったと言う。少し遅きに失していると思うが、離党者が相次ぐなど足下が固まらず、自民党もこれ程早く政権交代の芽が吹くとは想像していなかったものであろう。菅直人に解散、総選挙の選択肢は全くなかろうが、民主党小沢一郎の政倫審喚問で何時分裂しても可笑しく無くなって来ている。しかも政倫審喚問だけでも小沢の首に鈴を付けられないのに、野党は証人喚問を要求しているのだから、今の執行部の実力では現在のドタバタは当分尾を引くであろう。元々代表選で戦い、勝利した現執行部が小沢、鳩山と距離を置いた時から、遅かれ早かれ分裂すると言う予感はあった。分裂すれば厭でも解散、総選挙しかなかろう。
 昨今は小沢と鳩山の蜜月は僕等一般人の目にも顕著で、何時も言うが老兵がお互いに傷を舐め合っている風情である。鳩山は首相を降りる時に、次の選挙には立たないと言っていたが、今日地元で初めて正式に前言を翻し、次回も立つと宣言した。夫人に尻を叩かれたものかも知れないが、徹底的に小沢に塩を送り続けるものと見える。鳩山ほどの無知蒙昧で愚鈍な総理大臣もいなかったから、彼の動向などどうでも良いものの、半年程度で一身の進退を180度覆す訳だから、単に無知蒙昧なだけではなく骨の髄から物事への定見を欠く性格のようである。しかしこれらの一連の動きも、民主党分裂と無縁ではなかろう。
 自民党は国民が納得できる、そして民主党の如き欺瞞ではない公約をしっかりと作って次の総選挙に備えて欲しい。単なる人気取りではなく、将来の日本を見据えた青写真の下での公約を公表して欲しい。その中には、痛みが伴う事も必ず含まれる筈である。しかし、不人気な政策も避けて通らず、真っ向から国民に痛みを分かち合うように説得すべきである。同時に、この一年半の間に民主党が票集めの為に摂った誤った政策は、是正すべきである。税制改革も、民主党の案にはそのバックボーンが全く見えないので、改めてもっと突っ込んだ議論を重ねて欲しい。但し既に始まってしまった事を元に戻すのは、八ッ場ダムの例を引くまでも無く徒に混乱を招くから、混乱を招かない範囲で、将来を見据えた修正に留めるべきである。時計の針を逆戻りさせるような愚は、二度と犯さないで欲しい。
 そして何よりも焦眉の急となっていて一刻の猶予もならない、年金、医療、介護、の道筋をしっかり付け、雇用を増やし経済の活性化に繋がる政策、TPP加盟を初めとする市場開放の波にこれ以上乗り遅れない政策をしっかりと打ちだして欲しい。あれもこれもで大変なのは百も承知だが、日本は今それ位大変な時期を迎えているのだから仕方が無い。