baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 内閣改造と党役員人事刷新の菅政権

 菅直人が明日の閣議で各大臣から辞表を取り纏めた上で、内閣改造と党人事刷新を発表すると言う。今日の午後には党大会でこの方針を正式決定した。この党大会の様子をニュースで見たが、一部の小沢派議員の反発は凄まじく、到底党大会の雰囲気ではない。むしろ与野党の対決が激しい国会の委員会のようであった。森裕子などは「どうして発言させないのだ。これが開かれた党の実体か」などと怒鳴り声を挙げているところを放映されていたが、菅直人小沢一郎の亀裂は決定的な感じがする。かといって双方とも、今民主党を分裂させれば共倒れになるのだから痛し痒しであろう。
 内閣改造では、参院で問責決議をされた仙石由人と馬淵澄夫は更迭されるらしい。この二人がいる限りは月末から開催される通常国会での来年度予算の審議には応じられないとする野党に、一方的に押し切られた形である。後任の官房長官には枝野幸男が内定したようであるが、幹事長として半年前の参院選で大惨敗を喫した男である。それが半年で中枢に復帰すると言うのだから、全く説得力に欠ける。この男で現在の困難な状況の中で上手く政局を乗り切れるのか、そもそも民主党議員を国会で纏められるのか、甚だ疑問な人事である。何を言われようと反小沢色は揺るがないと言う、民主党政権としては珍しい確固たる決意表明であるのかも知れないが、何時も言うように小沢問題も時間が掛り過ぎていて、党代表のリーダーシップが全く発揮されていない点においては従来と何ら変わりはない。
 昨年の秋から噂されていた、与謝野馨の入閣も現実になるらしい。「立ち上がれ日本」を立ちあげた時は未だ威勢が良かったが、その後単独行動が目立ち、昨年の夏には「与謝野さんは党なんてどうでも良い。自分が入閣したいだけだ」と陰口をきかれる程官邸を訪ねて密談を重ねていたと言われる。そして年末の連立構想に到る訳だが、党に持ち帰ってはみたものの総スカンを食って頓挫してしまった。その間にも小沢一郎囲碁の公開対局をしてみたり、スタンドプレーが目立っていた。既に72歳と高齢であり、焦りがあるのだろうが、それにしても本質的な主義主張が全く異なる内閣に平然と入閣する神経は理解出来ない。消費税増税問題や財政再建に骨のある主張をしていただけに、残念な豹変だと思う。しかも、沈みゆく菅内閣で何が出来るのか、自身の政治生命に終止符を打ってしまう事にもなりかねない蛮勇と言えよう。
 菅直人にして見ても、与謝野馨を入閣させる意図が見えない。元々参院選では民主党過半数を取らせてはならないと言っていた人物である。財政再建や消費税増税問題で菅直人の政策は与謝野馨の持論に近い、且つ菅よりもこの面では遥かに造詣が深い人物を抜擢するのだから自分はやる気である、とアピールするのが目的かも知れないが、既に圧倒的多数を握っている衆議院で今更一票増やす意味は全く無いし、主義主張が異なっていた政敵を入閣させても国民にはアピールしないであろう。与謝野を入閣させたからと言って内閣支持率が急激に上がる程の旬のスターでもない。TPP加盟や消費税増税など党内を取り纏めるのも大変な案件を、外部から入閣したついこの間までは主義主張の異なった人物に任せると言うのだから無茶な話である。菅直人得意の単なるスタンドプレーとしか思えないが、それにしても無責任な組閣人事ではないか。
 野党に押されて仙石と馬淵を切る事で何とか通常国会を乗り切りたいのであろうが、そもそも財源がないのに衆院選マニフェストに拘ってバラ捲き政策をスケールダウンしてでも続ける民主党であるから、幾ら体裁だけ整えて予算審議を始めても関係法案はそう簡単には通るまい。民主党は、予算とその関連法案を通す事が国民の為であると懸命に野党の牽制に努めているが、その部分だけ取れば言っている事も間違ってはいないが、幻の財源を原資に、良い事づくめの約束をしたマニフェストが残っている限り、野党が民主党の予算案に賛成出来る道理がない。菅直人には、もう悪足掻きは止めて予算だけ通したら早く解散、総選挙をして欲しい。その時に国民がどういう断を下すのか、実は予想が非常に難しいではないか。それだけに、菅直人はやってみたら良いと思うのだが。