baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 インドネシア近況

 インドネシアでは相も変わらず汚職のニュースの途切れる事がない。
 今日も、国会議員官舎の10戸の増築と210戸のリノベーションに国庫から総額4,790億ルピアが国営建設会社に支出され、内訳が分からないので良く分からないが、リノベーションについては別の国営建設会社に1,350億ルピアで下請けに出され、それが更に320億ルピアで9社の民間建設会社に孫受けに出された。しかも工期が大幅に遅れたと言う。どんなに高級な家でも集合住宅10戸なら精々数百億ルピアで出来るから、結局4,000億ルピア、即ち発注金額の8割以上の国費が消えてしまった事になる。数字の信憑性はともかく、余りにも酷い話なので本件は表沙汰になったが、もう少し上手に控えめに、だから表沙汰にならずにやっている話は他に幾らでもあるという事である。リノベーションの終わった官舎への引越しを要請したところ、その余りの安普請に引越しを拒否する国会議員が続出して表沙汰になったようである。日本人には想像も出来ない数字なのだが、インドネシアに少し住んでいればそれ程驚かなくなる話である。
 また、今日の新聞の一面に出ている記事だが、莫大な残高を有する警察官の銀行口座を調査する様にとの指示が国会から警察に出されたと言う。これは昨年の6月に週刊誌が素っ破抜いた、警察幹部が保有する多数の高額残高を有する銀行口座の記事が火種となっている。その記事に基づき警察が調査したが、3件の口座を除き、他は全て合法的な残高であったと報告された。その3件というのは何れも、現在別件の汚職絡みで裁判中、または告発済みの警察官の物で、早い話が既に悪事が露見した警察官に更に罪を被せて、他の幹部は白を切るつもりなのであろう。そもそも悪事で稼いだ金を公然と本人名義の銀行口座に入れるところから、罪の意識が如何に乏しいかが分かると言うものである。こんな、子供が考えても分かるリスクを警察幹部が平然と犯すところに、この国では汚職と言う文化が如何に深く根付いているかという証左である。
 例えば、上記3人の中の一人で現在裁判中の幹部警察官は、南ジャカルタにある、50万ドルを越す、当地では大変な豪邸を購入するに当たって、一部の代金をトラベラーズチェックで払ったと言う。そのトラベラーズチェックから足が付いて、更に新たな汚職容疑が追加されそうな雲行きである。警察官たるものが、トラベラーズチェックで支払いを起こせば必ず足が付く事を知らない筈はない。この程度では罪にはならないと思っていたに相違ない。因みに現在の国家公務員の給与や、増してや警察官の給与は正確には知らないが、大統領の給料が月額3,000〜4,000ドルだと思うので幹部警察官でも精々月に2,000〜3,000ドル程度であろう。その程度の給与で家族も養っている人間が、50万ドルもの豪邸を買うとは俄かには信じられない。役人が、裏金(汚職)を貰う約束で便宜を図ったのに約束の金を払わずに逃げた、と民間人を訴えたという嘘のような話が実際に起きる国である。汚職は文化という僕の持論は、残念ながら一向に改善される兆しがない。因みに、この役人は流石にその場で逮捕された。
 マンダラ航空が先週、突然運行を停止し、債務の一律45日繰り延べを申請したそうである。マンダラ航空と言うのは新興航空会社の中では比較的古い会社で、僕が駐在している時から既にあり、僕も何度か乗った事がある。ガルーダに比べて機体の保守も悪く、余り乗りたい航空会社ではなかったが、ガルーダが満席だとか時間が中途半端な時に中部ジャワからの帰りなどに使った記憶がある。過大な債務と経営陣の内輪もめが原因だそうである。