baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 都知事選

 都知事選がだんだん近づいて来た。名古屋市長選、愛知県知事選で既存政党の候補が惨敗しただけに、都知事選の行方は興味津々である。特に民主党は、自党の衆院議員の石井芳弘をわざわざ市長選に立候補させた挙句に落選したのが相当なショックであったらしい。流石の小沢一郎一派も、この件では執行部批判をする元気もないようである。そうは言っても、民主党と同じ轍を踏んだ自民党も威張れたものではない。しかも都知事選の候補者が何時まで経っても絞れないでいる。
 前宮崎県知事の東国原英夫が一時色気を出していたが、流石にお笑い芸人出身には東京都の知事は荷が重いと思ったか、最近は大人しい。青島幸男の惨めな前例もある。結局は高齢で、週に3日も登庁しない現役の石原慎太郎にまた縋るのであろうか。猪瀬直樹という声もある。しかし、慎太郎あっての猪瀬であって、慎太郎抜きでは無理であろう。テレビで見る限りでは、都知事としては器が小さいし言う事にもさして新鮮味が無い。石原伸晃と言う声もあるが、こちらも未だ未だである。増してや親子で続けてとなれば、人物云々以前に反発も強いであろうから時期尚早と言わざるを得ない。こうして見れば、中ではその主張にブレが全く無い石原慎太郎に未だ安心感があるが、毎日登庁しないし、その政治思想の2割位は余りにも極右で付いて行けないと感じている。都政だから極右でもそれ程のリスクはないが、やはりベストの人選ではない。
 そんな中で共産党から、前参院議員、党政策委員長の小池晃が立候補を表明した。所詮共産党の人間などに都知事を任せたら酷い目に会うのは、東京では美濃部亮吉都知事時代にいやと言うほど味わった。1967年から79年まで三期も都知事を務めた美濃部亮吉は、社会党共産党の共同推薦であったと記憶するが、一般受けのするポピュラリズムに徹して、財政には全く無頓着にバラ捲き政策ばかりに走ったから、美濃部都政のツケは重く、その莫大な借金を次の鈴木都政時代に返済し続けた苦い経験がある。正に「戦後都政の暗黒時代」を現出したのである。財政のみならず、教育も美濃部都政の時代に混乱の極みに陥り、その後遺症から未だに抜け出せていない。当時の東京都の日教組の横暴ぶりは犯罪にも匹敵するものであり、都立高校の混乱ぶりは今に到るももはや常態化してしまっているが、これも美濃部都政以来の悪政の帰結である。それでも美濃部亮吉小池晃に比べれば、人間的には未だ魅力があったし、企業の反対を押し切って実施した環境対策など善政もあったのが救いであった。何れにしても小池晃に当選の目は無いから、こちらは心配ない。
 民主党では蓮舫の名が噂されている。知名度では誰にも引けを取るまい。東京都にはインテリ中間層が多く、多少奇を衒った人選をするからあながち油断は出来ない。しかし地方自治とは言え都政のようなモンスター自治体の長は簡単ではないし、侮って貰いたくもない。予算にしても新興国一国の国家予算を凌ぐ規模である。とても元グラビア・アイドルの、日本語の正しい言葉遣いも知らない、国会議事堂内でファッション写真を撮る様なセンスの人間には勤まるまい。しかし、そんな心配をしなくても、ご本人が凋落一途の民主党からの候補者として今立つのには乗り気でないらしいから、今回は余り心配しなくても良さそうである。みんなの党は、居酒屋チェーンの「和民」の会長、渡辺美樹に食指を伸ばしていると言う。党首の渡辺喜美と姓が同じなら、名前も一字違いだからと言う訳ではあるまいが、政治の素人を引っ張り出せば下手をすれば美濃部亮吉の二の舞となる。都政と居酒屋経営とは全く次元が異なるであろう。
 これから色々な駆け引きの紆余曲折を経て、もう暫くすると候補が決まるのであろうが興味は尽きない。少々天邪鬼の気がある東京都民に対しては、余り早くから立候補を宣言すると却って票が集まらないとも言われているから、みな名乗りを上げるタイミングを見計らっているのであろう。誰か若くて器の大きい、そして政策にブレのない、国政を引っ張る様な都政を実現する政治家はいないものであろうか。残念ながら見渡す限りはそんな逸材は目に付かない。国が閉塞しているのみならず、リーダーの人材も払底しているようで、フラストレーションが溜まる一方である。