baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 北方領土問題

 尖閣諸島での中国の海賊行為を引き鉄に、北方領土問題が俄かに険悪になって来た。それもこれも、元はと言えば「友愛」と「対等な日米関係」などと言う能天気な標語を掲げて外交に打って出、普天間基地の移設先を「国外、最低でも県外」と、何ら裏付けのない思い付きの公約を掲げて普天間基地問題を取り返し不能な処まで毀損し、日米関係にまで亀裂を入れてしまった稀代の無能宰相、鳩山由紀夫が政権を樹立してからの事である。
 日米関係の揺らぎを見透かすように、昨年の9月7日に中国が尖閣諸島で日本側の対応と米国の反応を探る暴挙に出た。漁船と言うが、大方の専門家の見方では船は普通の漁船ではなく、乗組員は民兵である。その暴挙に体を張って対応した海上保安官愛国心を無視した菅直人首相、仙石由人官房長官の腰砕け外交は、外国に恫喝されれば直ぐに頭を垂れる日本の弱腰外交を、はっきりと世界に喧伝してしまった。更には、米国は領土問題には直接手を下さない事も証明されてしまった。
 これを見たロシアも黙ってはいない。ロシアと言うのは昔から卑怯な国で、日本が第二次大戦で敗退する事をしっかり見極めた、終戦の僅か1週間前になってから、日ロ不可侵条約を一方的に破棄して満州に侵攻して来た。そして戦後、8月も末になって南千島に上陸して来たまま、北方領土をも占領して今日に到っている。戦争で負けて領土を獲られるのは地続きの欧州では歴史上珍しい事ではないが、相互不可侵条約を一方的に破棄し、終戦後2週間も経ってから上陸して来て占領した結果の領土拡張は、国際法上も無効である。
 そんなロシアの本性も露わに、尖閣諸島での日本政府の弱腰と米国の優柔不断を見極めて、メドベージェフが11月に北方領土に飛来した。歴代の大統領では初めての事であったと言う。しかし武力のない日本は打つ手もなく、どうしようもない。ひたすら外交ルートで抗議はするが所詮は何ら実効性はなく、ロシアはその間にも急激に実効支配を強めている。1962年の日ロ共同宣言など何処吹く風になってしまった。
 菅直人が今月7日に、昨年のメドベージェフ大統領の北方領土訪問を「許し難い暴挙」と非難した。「友愛」などと夢を見ていた鳩山由紀夫よりは遥かに増しで、しっかり国益を代弁したと言えるが、これに対してロシア側は一層反発し、大統領が9日に「北方領土を含む千島列島はロシアにとって戦略的な領土」として国防相に対して軍備増強を指示したと言う。中国が取った恫喝外交を真似たものと見える。日本は恫喝しておけば結局は遠くから「キャンキャン」吠えるだけで何も出来ないと見越しての事であろう。鳩山由紀夫に到っては、5日の根室での講演会で、「4島返還は考え直す必要があるかもしれない」と言ったと言う。何処まで日本の国益を毀損すれば気が済むのであろう。反逆罪にも値する男である。そんな男が、菅直人が首相になってから二度も首相特使としてロシアを訪問している。目的不明だが、オバマを激怒させた男である。鳩山由紀夫がメドベージェフをも激怒させたのではないかと、酷く不安である。
 米国は敢えて黙視しているのかも知れない。自国の相対的な影響力の低下が現実となり、東アジア、東南アジアの平和維持により日本の関与を望んでいるのかも知れない。今の傾向が続けば、日本国内にも自衛隊の増強や憲法9条改訂の世論がより高まる事を期待しての事であるとも思えるのである。しかし戦後の平和と、他国に自国の独立を護って貰う事に慣れてしまった国民の、軍備増強に対するアレルギーと無理解、その希薄な愛国心は米国の想像を超えているのではなかろうか。
 世間が尖閣諸島北方領土に目を奪われている隙に、韓国も竹島の駐屯兵を増員し、一層の実効支配を強めている事は殆ど話題にならない。日本政府は何ら対抗策も打たぬまま、手を拱いているだけなのである。平和は良いが、自国の領土も守れないようでは、本当の平和とは言えないのではないか。日本は最早、意気地のない腰抜けではないのか。