baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 世界的な諸物価の高騰

 昨日、またインドネシアに舞い戻ってきた。その飛行機代が、石油の値上がりのお陰で4月から燃油サーチャージが値上がりし、成田ージャカルタだと片道数千円の値上がりになりそうである。折から、パリで開かれていたG20財務相会議が終わった。今回は食料や石油の高騰の原因を調査すると言う課題を採決し、次回6月の財相会議までに値上がりの要因を分析するそうである。小麦、大豆、とうもろこし、砂糖、コーヒーなど、食料の値上がりは凄まじい。中東の民主化運動も、元を糾せば食糧価格の高騰に端を発している。何れの値上がりも何パーセントなどという単位ではなく、何倍という単位であるからその値上がり率は甚だしい。そして極く最近の中東の政情混乱に伴ない、石油がまた更に上がり始めている。
 しかし値上がりしているのは単にG20が問題にした食料や石油に限らず、以前本ブログでも書いた綿花や、銅などの一次産品全般に及んでいる。綿花は僕も多少仕事に関係するので気になるところなのだが、安い時はポンド当たり30セント台、通常で60〜70セント前後なのである。その綿花価格の一般的な基準となるニューヨークの先物が、先週末についに200セントを超えた。従来の通常価格の3倍であるが、その値上がりもほんのこの一年位の間の事である。特にここ数ヶ月が甚だしい。
 諸般の値上がりの原因には、勿論地球の異常気象が上げられる。昨年のパキスタンの洪水や、最近の豪州の洪水、或いはアフリカの旱魃などが農産物の生育に打撃を与えたのは間違いない。東京では最近やっと河川が綺麗になって来たが、環境問題に自覚してから既に40年が経過している。今から世界中が環境保護にやっきになっても、順調に行っても効果が目に見えるのは今世紀半ばになるのである。ところが世界のCO2排出量の40%を占める米国と中国の二ヶ国が未だに利己主義な主張を展開して世界の世論に乗って来ないので、実際このままでは地球の将来は覚束ないと言える。つまりこれからも未だ未だ異常気象は続き、大災害や農産物の不作といった人智を超えた事態が頻繁に起きるのであろう。そして農産物の価格も乱高下するのであろう。或いは新興国の需要急増も上げられよう。特に中国の需要は凄まじく、中国が買い漁り始めると、あっという間に何の値段でも上がってしまう。
 しかし、僕に言わせれば値上がりの最大の犯人は間違いなく投機筋である。米国、欧州、日本、何れも景気刺激対策に大幅な金融緩和を実施している。日本はもう大分経つが、米国の金融緩和は今まで聞いた事が無いほどの緊急手段である。そしてこれら先進国では、現在の金利はただ同然である。市場には金が溢れていて、しかも銀行に預けても利ザヤが取れないので、行き場を失った金が商品相場に流れ込んで来るのは当然の帰結である。その上、投機筋が動かせる金額は半端ではないから、色々な商品の世界的な価格高騰になってしまう。そこに多少なりとも洪水や旱魃と言った値上がりの要素があれば投機筋は上手に値上がりムードを煽る、そうして価格が上がったところで彼等は上手に売りぬけるから莫大な利益を手にしている筈だが、中々表には出て来ない。結局最後に被害を蒙るのは一般市民なのである。
 投機は合法ではあるが、利潤追求の方策としては寄生虫のようなものと言える。自分で汗を流すではなく、資金力に物を言わせて相場をある程度コントロールしてあぶく銭を稼ぐのである。僕は幾ら市場開放とは言え、こういうダニのような投機筋が、大金を動かして相場をコントロールする事が妥当だとは思わない。先日も書いたが、彼等の大手は、新興国一国の年間予算よりも大きな金額を一晩で動かせるのである。欧州ではやっと多少規制の方向に向き始めたようであるが、一番悪質な投機屋が集まっている米国やタックスヘブン諸国も含めた国際的な枠組みを作って、過度な投機はもっと積極的に抑えるべきである。極く一部の人の利益の為に、世界中の貧困層や、今では貧困層に限らず一般にまで悪影響が出るのは決して宜しくない。その結果、世界の政情不安まで惹き起すとなれば尚更の事である。