baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 NZ大地震

 ニュージーランドで2月22日に直下型の大地震が発生してから既に一週間が経った。日本からも多数の緊急救助隊が翌々日には現地に駆け付け、24時間体制で日本人被害者が生き埋めになったと思われるビルで懸命の救助作業を続けている。しかし、未だに28名と言われている邦人行方不明者については全く手掛かりが掴めていない。その理由の一つにニュージーランド側の、家族に遺体と面会させない頑なな方針がある。気が動顚している家族にいきなり遺体と対面させると誤りが起きるので、事前に歯形やDNA鑑定などで身元の確認が終わるまでは誰にも会わせないと言うのだ。しかも、その遺体確認に大そう手間取っていて、もう7日も経つのに身元が判明した遺体は未だ6体しかないと言うのだから、無責任な事は言えないが随分時間が掛っているのは間違いない。
 まぁ、世の中には色々な考え方があるからニュージーランド側の考えが頭からおかしいとは言わないが、余りにも杓子定規で、わざわざ日本から現地入りした留守家族には気の毒な話である。更にはせめて身内が生き埋めになっていると思われる現場を見たいという家族に対して、二次災害を懼れる警察はCTVビルの崩落現場どころか、現場が見える処にも行かせてくれないらしい。遺体探しも出来なければ、倒壊現場を見る事も出来ない。せめて遺品でも見せて貰えれば、何か手掛かりになるかもしれないと言う、藁をも掴むような切ない気持すらも受け容れて貰えない様である。身内の無事と諦めとが交錯する狂おしい気持ちを抱え、来る日も来る日も居ても立ってもいられぬ思いであろう。お気の毒な事である。
 確かに事故で亡くなった人間の遺体には正視に堪えないものもあろう。しかし、客観的に誤認の危険があるものはしっかりDNAや歯形などの客観的事実の照合が終わるまで引き渡さなければよいのであるから、どうしてそこまで頑なになるのであろうか。増してや白人とアジア人である、かなり区別は付き易い筈である。恐らくは、大した理由もない、白人特有のマニュアル優先の融通の利かなさだと思う。えてして白人社会は一部の優秀な頭脳を持つ上に立つ人間と、言われた事だけを忠実にこなす、仕事の場では余り自分では考えたり判断したりする習慣を持たない下の人間で構成されている。今回はその典型ではないかと勝手に想像して、日本からわざわざ出かけた家族に同情している。
 不明にも僕は知らなかったのだが、ニュージーランドは、活断層だらけの地震国だそうである。それだけに、耐震工学は日本にも比肩する程進んでいたと言う。それなのに何故あそこまで被害が大きくなってしまったのか。一つにはクライストチャーチという大都会の直下、それも深度5km程度の極めて浅い地層で起きた直下型地震であった事、クライストチャーチ自体が堆積砂層の上にあり地盤が極めて弱い事、その為あちらこちらで地盤が液状化してしまった事、旧い建物の保存を優先するあまり耐震補強工事をしていない、特に横揺れに弱い石や煉瓦の建物が沢山あった事、などが上げられている。しかし多数の日本人が巻き込まれ、下敷きになっていると思われる語学々校の入っていたCTVビルは未だ築40年程度の比較的新しい建物で、保存の対象とは思えない。恐らくは古い耐震基準の建物であったにも拘わらず補強工事を怠っていたものであろう。昨年市当局が検査をして当面の使用には差支えないとの判断を下したばかりだそうであるから、今後市当局の責任問題に発展するかも知れない。
 何れにしても一刻も早く、邦人28名全員が見付かって欲しい。そして僕達も、自然災害の恐ろしさを改めて肝に銘じておこう。関西や新潟の人達と違って、関東の人間は少し油断しているかも知れないと言う自重もある。