baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 何時まで続く、政治の空白

 今日の未明に来年度の予算が衆院を通過した。しかし、その予算の財源を確保する為の関連法案は未だ採決に付されないどころか、相変わらず成立の見込みが全く立っていない。民主党はあの手この手で公明党を引き込もうとするが、公明党は来月の統一地方選や遠からずあると思われる衆院選で不利になるのを恐れて距離を保とうとしていて、未だに協力の姿勢が見えない。
 そんな折に、相変わらず党内が揺れ動いている。先ず、会派離脱を表明して造反している小沢一郎寄りの新米16人が予算採決の本会議を揃って欠席した。小沢一郎も今日、先日の党員資格停止処分に対する不服申し立てをしたらしい。外に対してはこの党員資格一時停止を以て政治とカネの問題にはけじめを付けたと言いたいのだが、党内は未だ決着には程遠い。新米16人については、リーダー格の渡辺浩一郎を6ヶ月の党員資格停止処分にしただけで、他の15名は厳重注意処分に付しただけとなった。従来の党議違反に対する処分は党員資格停止という例しかなく、民主党の倫理規則でも党員資格停止か離党勧告、ないしは除籍だそうだから今回は異例の甘い処分だったと言える。それも偏に衆院再可決に備えて一票でも温存しておきたいからだ。ところが、それに対してすら輿石東などは「何か事情があるのかも知れないから良く意見を聞いてから判断すべきだ」などと時間稼ぎとも単なる牽制ともとれる発言をしていたようである。何とも状況認識に欠け、党内のこと、いや、小沢一郎とその取り巻きの事しか頭にない悠長な輿石東である。
 こと程左様に、今の民主党は来年度予算の成立と、党内の規律を統制するのに精いっぱいで、他の事には全く手が付かないでいる。例えば普天間基地移設の問題は何処へ行ってしまったのか。11月のオバマ来日までに沖縄を説得しなければならないのに、僕の知る限りは2月に一日枝野幸男が沖縄訪問したぐらいで、それ以外は全く何もしていない。これでは11月までに辺野古への移設を纏めるなどと言う芸当が出来る筈がない。或いは6月までにTPTの協議に参加するかどうかを決めるとしているが、野党のみならず与党内にもTPTに反対する農業族議員が沢山いるのに、一体どうやって国論を纏めるつもりなのか。TPT協議への参加は遅くなればなるほど我が国の意向は反映出来なくなるので、一刻も早い協議参加が望まれる訳で、その意味では6月からの参加では遅すぎるぐらいなのに今のままではそれすら既に覚束ない。或いは小人数の海賊に妨害されたと言って調査捕鯨からいとも簡単に撤退して国際社会から小馬鹿にされてみたり、北方四島竹島問題などでは何ら手を打てないでいる。
 勿論来年度予算が成立しない事には国が立ち行かない理屈だから、目先は予算成立に必死になるのは已むを得ない面もある。その予算も赤字国債の増発を認める関連法案が通らないと財源が無いし、子供手当てなど予算は確保しても実施できないのでまるで意味の無い予算成立となる。そんな片肺予算の成立に汲々とし、党内の乱れを是正するのに精一杯で他の事には全く手を付ける余裕が無い菅政権なのだが、菅直人は昨日の国会答弁で任期一杯の4年間は政権を手放す心算はないと言い張っている。国民を騙して政権を取った事が今や明白になったのだから、騙される国民が悪いと言うのは一面の真理ではあるが、国民の所為にだけするのはフェアーではない。やはり民主党政権も禊をすべきである。
 これだけ政治の空白が続けば、今は表に見えないけれども既に国益の毀損は山ほどある筈である。言ってみればこの5ヶ月、仙石由人以下に対する問責決議案問題で内閣改造を行い、政治とカネの問題で小沢一郎に振り回され続け、政治らしい政治は何も出来ていない。嘗てないほど世界の動きが急な現代で、これ程政治の空白が続いて良い筈がない。しかもこの国会の混乱ぶりと来年度予算の危うさを理由に、再度の国債格下げが取り沙汰されている。恐らく遠からず下げられるであろう。そうなった場合のわが国経済に与えるネガティブ・インパクトが計り知れない事は以前書いた通りである。「そういう事に疎い」菅直人はそんな事は知った事ではなく、なんとしても一日でも長く総理の椅子にしがみ付いていたいようだが、普天間問題にしてもTPTにしても内政のみならず対外公約している事案であるから、約束は守る努力をして貰わなければ日本の国辱となる。鳩山由紀夫の様に何の当てもないまま、ひたすら先延ばしを繰り返して貰っては困るのである。
 こうして見れば、民主党政権には既に全く当事者能力が無くなっているのは明白である。民主党には、これ以上政権にしがみ付くのは諦めて一刻も早く解散総選挙の決断をするしか途が無い。男らしくそろそろ腹を括ったらどうか。それが一番日本の為であり、少なくとも過半の国民の切望するところである。