baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 上総一宮へ

 この頃はすっかり怠け者になってしまった。今日も午前中に投票を済ませ、午後から房総へ行こうと思いながらも重いライディングギアに着替えるのが面倒で、マスターズを見ていようか、とか宿題をいつまでもしないでダラダラしている子供の様になってしまった。それでも天気が余りに良いのでずっと家にいるのは勿体ないと、やっと重い腰を上げて午後も大分遅くなってからGTRで出掛けた。目的地は上総一宮、目的は海産物の加工品の買い出しである。
 相変わらず道路は空いていたのだが、首都高速向島の方で事故があったらしく竹橋の辺りから渋滞してしまった。車同士の事故ほど傍迷惑はない。最近は少子化で教習所がどこも経営が厳しいと聞くが、その為に運転免許を簡単に出し過ぎるのではないかと訝しい。そう言えば午前中の投票所でも、大きな車を駐車出来ずに、何度も何度もユルユルユルユル切り返しをして周囲の通行を一切遮断してしまった中年女性がいた。あれ程下手なのだからもっと小さい車にすれば良いのに、良くも免許が取れたものと呆れ返った。
 渋滞を抜けて東関道へ出てからは、風も爽やかで快適であった。京葉から東金道路、東金九十九里九十九里道路へと乗り継いだ。東金道路を下りれば、大震災の傷跡も無くどこまでも長閑な千葉の田園風景が拡がる。九十九里道路は海沿いの有料道路である。道路は相変わらず空いていて、流石に対向車はあるものの僕の前後は全く車がいない。まるで北海道を走っている様である。海を見やれば好天に恵まれて水平線までくっきりと見え、遠浅の海らしく波頭が遠くから砕けている。サーファーが群れている場所もある。津波が嘘のような静かで雄大な景色である。景色を堪能しながら走っているうちに上総一宮のSAへに辿り着いた。ここがお目当ての、僕のショッピングスポットである。別にここでなくても他でも買えるのだろうが、何時からかお気に入りになっている。
 海沿いなので津波はどうだったか訊いたら、やはり襲われたそうである。売店は駐車場からさらに1m以上も上がっているが、売店のドアのガラスを破って店内にまで潮水が押し寄せ、一面泥だらけになってしまったそうである。幸い、大地震のあとは皆避難したので駐車場にも車はなく、それ以上の大きな被害はなかったらしいが、店内の商品は大分持って行かれたそうだ。広い駐車場もブルドーザーで泥を除けたと言う。
 お目当ての海産物加工品を買い求め、有料道路を出て更に市内のカフェまで走る。滅多に行かないが、上総一宮へ行く時は必ず寄るカフェがある。既に開店から24年経つ、瀟洒な赤レンガの外壁に庭一面に花が植えてある店である。今日は少し庭の手入れが行き届いていない感じがしたが、それでも花は一面に咲いていた。流石にここまでは津波は来なかったらしいが、直ぐ近くに川が流れていて、その川を津波が逆流して来たそう、近所の土地が低い処では浸水したと言うから、九十九里では旭市だけではなく何処も結構危険だったのであろう。ここでコーヒーにケーキを付けて一休みするのが、毎度のパターンである。花を観ながら至福の一時を過ごした。
 帰りも、名うての京葉穴川すらスイスイと走り抜けて快調だったのに、また首都高の神田橋の辺りで車同士の事故である。しかも事故車を過ぎた途端に前を、と言うか殆ど並走する車が確認もせずに僕の車線に突っ込んで来た。クラクションを鳴らしても全く動じない。僕は逃げ場がなくて急ブレーキを掛けながら側壁との隙間に辛うじて逃げ込んだが、追い越しざまに見返したら未だ若い夫婦者と見た。危機一髪だった事など全く気付いていなかったようで、到って平和な顔をしていた。総行程220km、総所要時間は買い物と一休みを入れて調度4時間であった。