baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 またまた「思い付き菅」

 菅直人が今度は突然、静岡県浜岡原発の全面停止要求を発表した。何時もの、思い付きに基づく衝動である。この男は本当に何か思いつくと、一旦立ち止まってもう一度考える事が出来ないようである。国のリーダーとしては、その資質は危険としか言いようがない。突然戦争を始めるかも知れない性格である。突然思い立って谷垣禎一に副首相就任を依頼して袖にされた事も、何ら反省材料にはなっていないらしい。想像に絶する厚顔無恥、痴愚魯鈍であるのみならず、オッチョコチョイでもあるようだ。
 浜岡原発が特別危険だという確証があるなら止めれば良い。理由が判然としないので、その結論に対する論評は控える。しかし、浜岡原発と他の49基の原発との違いは何処にあるのだろう。どうして浜岡だけ全面停止なのだかの説明が全くない。菅は、駿河湾震源域とする大地震の可能性のみを理由に上げたが、原発はどこも海沿いにあるから浜岡だけが特別である理由にはならない。駿河湾地震の可能性だけでは全く説得力がないし、他の原発の地域住民はどうでも良いのかと言う事になる。もっと具体的に、斯かる結論に到った理由、他の原発との相違点を説明し、衆人の理解を得る必要がある。そもそも海江田万里が昨日浜岡を視察して、「5月上旬に結論を出すから暫く待て」と記者会見で発言したばかりなのだから、なにも泡を食って今日の、それも夜になってからの異例の時間に突然発表する必要はなかった。そんなに慌てずに、もっと内容を練った上で、落ち着いて説得力のある明快な発表をすれば良かったのである。理由もないのに慌てふためいての突然の、しかも中途半端で消化不良の記者会見は、オッチョコチョイとしか言いようのない仕振りである。
 そんな急な発表だから、地元の市長にも全く根回しがなかったようで、市長は戸惑いを隠せない。当然であろう。原発があれば桁違いに莫大な補償金が毎年地元に落ちるし、地元の雇用も一定枠が保証されている。それが突然反故となれば、自治体運営の根幹である歳入が大幅に落ち込む。御前崎は知らないが、自治体によっては他に目ぼしい産業がなく、歳入の殆どを原発に頼っているところすらある。失業者の問題も出て来る。根耳に水の市長が困惑するのも頷ける。もっとも菅直人にはそこまで緻密に物事を考える習癖はなさそうである。反対に県には原発のメリットは殆ど無いから、静岡県知事はこの決定を歓迎している。分かり易い両者の反応である。
 菅直人は日頃原発には造詣が深いと豪語しているそうである。一般に物事を浅く知った人間は自分はその事について非常に知識があると錯覚し、本当にその事を極めた人は、極めれば極めるほど奥が深くて到底おいそれと造詣が深いなどとは言えなくなる。或いは頭の悪い人は物事の難しさが想像出来ないから、簡単に物事を理解した積もりになれる。菅直人のキャリアーを見れば、逆さにして振っても彼が原発に造詣が深い筈がない。東工大では全共闘アジテーターとして鳴らしていたのだから、勉強などしている筈がない。精々市民運動家か政治家として常識程度の学習をした事があるのであろう。
 何とも軽薄な首相であるが、民主党を与党にしてしまったのだから、そういう男が首相になってしまったのも間接的には国民の責任である。しかし、総理だからと言って何をしても許される訳ではない。国民が混乱しないように、また最大公約数の国民が納得するような準備と説明は絶対に必要である。今回の遣り方も余りに稚拙で、事の善悪を判断する以前に菅直人不信が先行してしまうのは、僕だけではあるまい。来る日も来る日も稚拙な政権運営でストレスが溜まる一方なのに、何時までも政権交代の筋書きが見えず、本当に困ったものである。