baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 内閣不信任案否決

 昨日提出された菅直人内閣の不信任案が賛成152、反対293の圧倒的多数で否決された。昨日までは小沢派と鳩山派が賛成に回りそうで、これでいよいよ菅内閣も御名御璽かと喜んだのだが、政治家はそれ程単純ではなかった。鳩山由紀夫が連日の菅直人との面談で、近い将来の辞任の言質を取り付けて急遽不信任案反対に回り、賛成派も済し崩しで反対に回ってしまったので、結局は冒頭の大差になってしまったものである。小沢一郎も本会議を欠席するだけで賛成票は投じず、何とも尻すぼみのドタバタ劇になってしまった。この期に及んでの民主党の標語は被災地の早期の復旧・復興ではなく、「自民党には政権を渡さない」であった。政権延命のネタにされたり、全く顧みられなかったり、なんとも気の毒な被災地、被災者である。
 本ブログの読者ならもうご存じの通り、僕は今回の内閣不信任案可決、衆院解散・総選挙に物凄く期待していたので、心底がっかりである。そもそも菅直人の辞任にしても、即辞任ではない事が中途半端で何とも心許ない。震災復興に目途を付け、第二次補正予算に目途が立ったら辞任すると言っているが、震災復興には何年も掛るし、第二次補正予算も現状では野党は参院で葬り去る腹積もりだから、実際問題としてはどの時点を以て目途が立つと言うのか判然としない。現に早速、岡田克也鳩山由紀夫の間で辞任時期の解釈に齟齬を来たしている。しかし、菅や岡田の思惑はともかく、一度自らが辞任を口にしたからには、菅直人は一刻も早く辞任すべきである。レームダックの総理在任が長引けば長引くほど、特に対外的には百害あって一利無しである。近々辞める事が分かっている総理の言葉を聞く外国人など、今日を限りにもはや一人もおるまい。
 せめて不信任案を否決する替わりに菅直人には即刻退陣して欲しかった。菅直人の危機管理能力の無さは既に大震災と原発事故の対応ではっきりしている。特に原発事故対応では、自分が良い格好をする為に嘘八百を並べた事が、二ヶ月経った今白日の下に曝されてしまった。東電も清水社長が、首相が具体的な施策にまで一々口を出していたので、海水注入も首相の理解が得られるまではストップせざるを得なかった、と内情を明かしてしまった。僕が、いや日本中が予想していた通り、菅直人が素人の生兵法で余計な口出しをして事態を複雑にし、悪化させていたのであった。この一事のみならず、度重なる不手際や口ばかりの復興対策では、内閣不信任案は当然の動きである。
 民主政権は大震災を格好の材料に、延命を図っているが、僕が何時も言うように内にばかり目をやっていては国外で酷い目に遭う。尖閣諸島問題、竹島北方四島、等々領土問題では日本が暫く足踏みをしている間に、敵はどんどん実効支配を強めたり、周辺海域での活動を活発化させたりしている。中国との共同ガス田開発でも、日本がモタモタしている間に、一方的にガスを抜かれている。今のペースでは共同開発が調印出来る頃には、ガス田はもう殆ど空になっているのではないか。TPPにしても、日米安保50周年にしても、一向に進展が見られない。そして極め付けは普天間移設問題である。何時も言うが、外国は震災だからと言って同情したり、待ってくれたりは絶対にしない。口では甘い事を言い、実際に震災に当たっては支援してもくれたが、本音は日本が弱っていて、外に眼が向いていない今がチャンスだと思っている事は間違いない。ロシアや韓国の動きを見ていれば、彼等が実利を得ようとしている事は明白である。米国だって、日本が頼りにならぬと見限れば、何時でも次善の外交を始めよう。
 一方、民主党は今回のドタバタ騒ぎで、小沢一郎菅直人の溝が一層深まった。岡田克也小沢一郎を今回の欠席を理由に除籍処分、それに同調した小沢派議員には党員資格停止を考えているらしいが、輿石東は早速岡田のアイディアには反対している。早く人事を一新しないと、政権の混乱は益々拡大し、民主党は政治どころではなくなると危惧される。週刊誌には「亡国の反日政権」などと書かれるほど反日、左翼的政策が多い現政権である。そんな危うい政権が、政治すら出来なくなってしまえば日本はもう破滅するしかない。民主政権下ろしは今回は空振りになってしまったが、一刻も早く政権奉還を実現させて欲しい物である。もっとも、自民党はもっと足下を固め、次期総裁候補に対する国民の人気を高める算段を講じないと、魅力のない野党第一党では中々現政権転覆は果たせまい。小沢一郎との連立も、国民に対してはプラス、マイナス、どちらに働くか微妙である。与野党何れも人材不足で、情けない日本の政治の実情である。