baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 政局に明け暮れる日本の政界

 菅直人が大方の期待を裏切って、なりふり構わぬ延命を図っている。どうしてここまで権力に拘るのか、傍からは見当も付かないがとにかく当人は誰が何と言おうと、一日でも長く総理の椅子に座る事が無上の願望であるらしい。昨日も岡田幹事長、輿石参院議員会長が思い付きの如く降って湧いた1.5次補正予算の成立は野党の協力がなければ難しいと諫めたが、全く聞く耳を持たずにけんもほろろに追い払ったそうである。もう頭にあるのは己の延命のみ、国政では全て延命の目的の為に変幻自在に思い付き政策を口にして、本来の為すべき政治などは唐の昔に置き忘れてきたようである。
 菅直人は、取り敢えずは8月までの延命を図る為に第二次補正予算は自分の責任で、と言い続けていたが、与野党双方から8月の退陣では遅すぎると反発が強まると、今度は1.5次補正予算で今年度予算で積み残した緊急を要するものだけを先に国会に提出するよう指示し、同時に国会の会期も3ヶ月、つまり文字通りなら9月22日までの延長を考えていると言う。要は、ああだこうだと手を変え品を変え、1.5次などと言う前代未聞の悪知恵をひねり、一日延ばしに延命を図ってあわよくば9月まで生き延びてホワイトハウスのゲストになりたいのであろう。岡田克也枝野幸男が幾ら「総理は決して延命は考えていない」「気候が良い中にお遍路に行きたがっている」などと側面援助しても、もう一人としてそんな虚言を信用する人はいないだろう。
 いまや日本の政治は政局だけで、毎日空転に明け暮れている。一旦は口だけとは言え「辞める」と言った総理大臣が、総理の椅子に恋々として一向に何時辞めるのかを明言せず、果ては前総理と現総理の「ペテン師」「嘘付き」の誹謗合戦である。不信任案がほぼ可決されそうだった流れから言えば「菅直人がペテン師」の方が遥かに信憑性が高そうであるが、相方の鳩山由紀夫も相も変わらず頭の悪いボンボンだから、弟の鳩山邦夫をして「兄貴はまた騙されたのか。(菅直人に騙されるのは)もう三回目だな」と言わしめたそうである。鳩山由紀夫は資金力があるから民主党内の一大勢力を率いているが、今回の一事を見てもこの人から金を取ったら誰も従いて行くまい。
 総理大臣をそうコロコロ変えるな、誰がやっても五十歩百歩ではないかと言う意見もある。それはそうだが、ここの処の2代続いて日本の総理は幾ら何でも酷過ぎる。前総理の事はさておき、菅直人も突然の思い付きのような発言で世間を、政治を右往左往させる。素人のくせに細かい施策にまで一々口出しする。そして直ぐに苛付いては、官僚を呼び付けて怒鳴り上げる。何を説明しても理解しないだけではなく、直ぐに怒鳴られるので総理の処へは行きたくないと、官僚が異口同音にこぼしていると聞く。
 今般の1.5次補正予算についても、幹事長以下、政権幹部も事前に何も聞かされていなかったと言う。参院選惨敗の原因となった突然の消費税増税発言もしかり、菅直人は他人を信用しないから大事な事は直前まで誰にも言わないのか、或いは生来のオッチョコチョイなのか。しかし先ずは周囲からしっかり理解と協力を得て初めて何事も迅速な実行が可能となる。それが寝耳に水の一人芝居だから、結局は実現に時間が掛り、挙句に時間が掛り過ぎて廃案になる政策も増えてしまう。
 突然、独断的に何かを指示するのは決してリーダーシップではないのである。実際問題、現代の複雑な国政の舵取りを一人で全て仕切れる訳はないのだから、こういう資質の人には何も任せられないのは明白である。菅直人は元々、暴力革命を誹謗する極左暴力集団である全共闘アジテーターとして相当優秀だったそうである。そしてアジ演説の後、デモになると必ず忽然と姿を消していたと言うから、決してオッチョコチョイではなく意外に深謀遠慮ながら、甚く口ばかりの要領の良い人間だったのであろうと思われる。
 困るのは、政局に明け暮れ、菅直人の辞任の目途となった復旧・復興と原発事故問題だけで徒に日が過ぎて行く反面、国内外の問題についてはここの処政府が何をしているのか何も聞えて来ない事である。TPP問題はどうするのか、約束の期限までに本当に日本の方針が決められるのか。あるいはロシアや韓国が日本の政治の混乱を良い事に、益々実効支配を強めている北方四島竹島は放っておいても良いのか。東シナ海のガス田共同開発は、話し合いを再開する事になったと言うが具体的に再開に向けた調整は進んでいるのか。普天間問題はもう待ったなしの処まで来ているが、偏に北澤俊美だけに任せて置いて良いのか。菅直人が延命すればするほど、外交問題では日本が追い込まれて行く。
 為替は昨今は80円が当たり前になってしまっているが、本当にこれで良いのか。輸出決済の手取りレートは既に80円を割り込んで久しいのである。僕には80円が妥当だとは到底思えない。今日もたまたまドル建ての見積もり書を作ったが、折角メーカーが必死にコストダウンして安く見積もって来ても、ドル建てにすれば去年の見積もりから大幅に値上がりしてしまう。この引き合いも結局はまた韓国勢に持って行かれてしまうのであろうと、半ば諦めながらの精の出ない見積もり作りであった。奇しくも昨日、日産の志賀俊之が昨今の円高について政府に対する悲痛な苦言を呈したようだが、今の日本政府の無策がこのまま続けば、国内の製造業は完全に疲弊してしまい日本を見捨てるか討ち死にするか、遠からず辛い選択を迫られよう。野田佳彦も、財務大臣になりたてで円が初めて80円を切りそうになった時には、泡を食って介入に走ったのに、今は蛙の面に小便の体で為替には全く鈍感、ただ菅直人の顔ばかり見ている。これだから素人大臣は困る。回りが騒がないと、自分では何も気付かないのである。
 原発問題にしても、今後のエネルギー政策をどうするのかを早く決めて、既に止まっている17基に加えこれから一年以内に止まって行く残りの原子炉の再稼働に早く道をつけないと、製造業は更に追い詰められる。全部止めるなら止めるで、その時の需給バランスや電力コストを公表して、早目に覚悟を決めさせる必要がある。枝野も海江田も、原発政策は従来通りで浜岡以外は動かすと言うが、具体的には原発再稼働に向けた動きは何もない。口ばかりで実際には何もせずに、何時までもダラダラ無為に時間を浪費するのが一番いけない。
 民主党は政権をとった時から、単なる素人集団である事に加えて外交にはとんと疎くて、僕はマルドメ(まるでドメスティック)政権と呼んでいたが、加えて既にレームダックになり少なくとも海外からは相手にされなくなった菅直人が政権に必死懸命にしがみ付くものだから、もはや外交など全く一顧だにされなくなってしまっている様である。こんな事では国益が大きく毀損されてしまうのだが、外交のみならず内政でも最早その場しのぎの日替わり政策になっている。切り札の不信任決議案が鳩山由紀夫がまんまと騙されて潰れてしまった今、もう菅下ろしの切り札がないのは分かるが、それにしても菅直人の並みはずれた図太い神経と飽くなき権力欲は、もはや凡人の僕には適当な形容詞が見付からない。それでも「菅直人よ、国の為に早く辞任してくれと」言い続けるしかない。