baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 あっけなく決まった次期総理

 民主党の新代表が、僅か数日の間にあっけなく野田佳彦で決まった。そこには政策論争は殆どなく、一にも二にも票集めに奔走した各グループの選挙戦の挙句である。僕は一般受けの良い前原誠司が決選投票迄勝ち残り、最後は反小沢で当選するだろうと思ったのだが、当初から立候補を表明し、余り具体的な事は言わなかったとはいえ野党との協調路線やマニフェストの見直しなどの根幹部分でブレのなかった野田佳彦が当選した。
 今回の民主党代表選で特に印象的であったのは、結局は小沢一郎を巡る戦いになってしまった事である。旧態依然の小沢一郎を巡り、親小沢か脱小沢かの次元の低い争いになってしまった。そこに鳩山由紀夫が同調した訳だが、小沢と鳩山の何処に共通点があるのかは全く分からない。二年前の衆院選マニフェストの擁護という共通項はあるが、その財源の目論見が破綻しているから、最早そこには全く説得力はない。それ以外に、まさか金権政治を共通項とする筈もないから、政策ではなく民主党立ち上げの時の仲間だったと言う鳩山由紀夫の一方的な心情からなのであろうか。実際には、愚鈍の鳩山と老獪な小沢では、金権以外には共通点は見い出せない。
 そんな小沢が昨年の代表選に引き続きまたしても敗退してしまった訳だが、この期に及んでも尚、野田佳彦に協力するかどうかはこれからの人事を見て決めると強がりを言っている。この強かさが小沢一郎の本領なのである。しかし人事云々となればもう政策でも何でもなく、単なる派閥の勢力争いに過ぎない。ただでさえ捻じれ国会で青息吐息の民主党なのに、未だそんなケチな派閥争いに打ち込んでいる余裕があるのであろうか。民主党という小さなコップの中の嵐は何時までたっても治まる気配は無い。今や脱小沢一郎民主党の喫緊の命題である。早く小沢一郎から脱却しないと、民主党はいつまで経っても頭数と札束頼みの旧い政治手法から抜け出せないであろう。
 今回の代表選では雑誌への寄稿文も含め、標語は結構だがそこへ到る具体論が見えない野田佳彦に対する危惧はあるが、野党との合意を尊重し、或いは敢えて不人気な増税を前面に打ち出して財政再建と復興を訴え、マニフェストの見直しも已む無しとする点で、中では無難な人選であったと思う。特に臨時国会運営を巡る野党との三党合意は、例え前政権の合意であったとしても民主党として遵守するのは当たり前の事である。以前にも書いたが、社長が代わったからと言って前社長時代の契約を全てご破算にする会社などあり得ない。そもそもそんな事をすれば裁判になれば全敗である。自分の親の借金は与かり知らぬ、プラス資産だけ相続したいなどという遺産相続はあり得ないのと同じである。権利、権力の承継とはプラスもマイナスも受け継いで初めて成り立つものであり、海江田万里の如く政権が変わったら新政権で見直すなどという身勝手な発想は根底から間違っている。八ッ場ダムの事を書いた時にも言ったが、民主党政権の悪い処の一は、時間を遡及して既決事項を変えようとする、およそ民主主義とは相容れぬ体質を持っている事である。新政策を今後に適用するのは結構だが、時計の針を戻して適用すればとんでもない軋みが生じてしまうから本来ご法度なのである。
 一方で、代表に選ばれた野田佳彦は改めて「怨念を越えた政治」と強調した。民主党の党内分裂は、政策論争の帰結ではなく怨念であったようである。誰は好き、誰は嫌い、誰がだれに阿ったから恨み骨髄、誰は自分に尻尾を振ったから能力はともかく引っ張ろう、こんな党運営であったのか。そうであったのなら、政権与党としては余りにも淋しい実体である。好き嫌いから一刻も早く脱却して、政策論争でグループが出来るようになって欲しいものである。
 それと、野田佳彦からは今のところ未だ外交政策についての具体的な発信がない。日本経済の再生を本気で唱えているのなら、TPP加盟問題は緊急に結論を出さなければならない最重要課題の一である。残された僅かな時間内で果敢な決断力が求められるのだが、野田佳彦にその覚悟と度胸はあるであろうか。領土問題についても、この二年間の民主党政権朝鮮半島や中国大陸への慮りから脱却して、日本の為に毅然とした外交を展開して欲しい。韓国が益々強める竹島の実効支配を看過し、ロシアの北方領土不法占拠を何時までも放置していてはならないし、中国の日々活発化する東シナ海での挑発行為には断固とした処置が求められる。二度と恫喝に尻尾を巻く真似はしてはならないのである。二代続いた腑抜け総理の後だけに、尚の事毅然とした外交姿勢が求められる。
 そんなドサクサに紛れて、明日内閣総辞職する菅直人朝鮮学校の授業料免除を実現する為の審議再開を、辞任の前日の今日になって新たに文科省に指示したと言う。正にイタチの最後っ屁である。明日新しい総理が選出されると言うその前日に、堂々と日本で反日教育をしている朝鮮人学校の授業料を無償化する為に我々の血税を注ぎ込むという、許し難い暴挙を推し進めるべく指示を出したのである。この一事からも、一層募る菅直人北朝鮮の癒着への疑惑を感じる国民は多いと思う。最後の最後まで物議を醸す菅直人である。