baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 海上風力発電

 昨日大騒ぎした広告は「はてな」が自動的に掲載するようにしたものであった。広告が勝手に載ったのは昨日、「はてな」からはその説明のメールが今日になって入って来た。順番が逆であろう。読者のアドヴァイスで今朝上手い具合に消す事が出来たが、広告を掲載するのなら自分で取捨選択したい。間違っても勝手に載せられるのは僕の性に合わない。夕べ散々苦労させられただけに、今回ばかりは「はてな」に少し腹が立った。
 丸紅が、デンマーク政府が筆頭株主として74%を出資する大手エネルギー会社が持つ英国の海上風力発電事業に、260億円を掛けて49.9%を出資し、ノーハウを蓄積して将来的には日本でも同様の事業に進出するというニュースがあった。中々に目の付け処が良いと、快哉の思いである。
 日本での再生可能エネルギーの決め手は、海上風力発電であると言うのが僕の従来からの持論である。地熱は能力が小さい割には井戸を掘るのに石油井と似たようなリスクが伴い、しかも基本的には寿命がある、地熱が枯渇してしまう、と聞いた。条件が整っている場所ならばそれでもクリーンエネルギーとしての意義はあろうが、所詮は補助発電である。太陽光は今何故か脚光を浴びているが、晴天の昼間しか発電の出来ない極めて不安定なエネルギー源であり、発電能力にも限界がある。しかも日本では大規模に太陽光発電を企業化しようとすれば、同じく大規模に緑を犠牲にしなければならない。日本では何処を見渡しても砂漠や土漠はないから、畢竟緑の犠牲との差し違いとなる。だから僕の意見では、太陽光発電は屋根の上とか本当の空き地とかで補助的にやって、緑を犠牲にすべきではない。大掛かりな空き地があるなら無機質なソーラーパネルを設置したりせずに、木や花を植えて緑の公園にすべきだと思う。或いは大規模農場誘致を考えるべきである。
 風力発電は一見日本向きのようで、やはり実体はそれ程でもない。風力発電に必要な環境は、単に風が強いだけではなく、風車の裏側に風が吹き抜けるだけの広さがないと発電には向かないと聞いた。つまり、やはり広い土地が必要なのである。ところが日本の地形は、海の近くまで裏山が迫っているところが多い。そして騒音公害と低周波公害がある。海岸であれば、裏山がなくても民家が迫っているから、騒音や低周波公害が大問題となる。特に低周波は離れた場所に突然現れて来て人間の精神に悪さをするから、1km以内に民家があるようだと甚だ難しい。隣近所は何ともないのに、自分だけ睡眠障害や頭痛に悩まされたりすれば何が原因だか特定が難しいので、低周波公害は大変厄介である。人里離れた山の上を選べば、これまた緑を犠牲にする事になる。スペインのアンダルシア地方で林立する発電風車を見た事があるが、褐色の不毛の斜面に見渡す限りの風車であった。それでも100基ぐらいしかなかったと思う。それ程広大な不毛の土地があって、初めて大きな犠牲を強いる事無く可能となるのが地上の風力発電ではなかろうか。
 消去法で行くと、解はやはり海上発電だと言うのが僕の持論である。海風は陸上に比べて安定しているし、広さは文句がない。海上に浮遊物を作るのはそれこそ日本の十八番である。造船が韓国にやられて四苦八苦しているのだから、日本のドックに大型の浮遊構造物を発注すれば一石二鳥である。漁業への影響は勿論配慮が必要である。しかし海上構造物はわざわざ漁礁の上に作る必要はないのだから、それほど大きな問題とはならずに解決可能だと思う。騒音や低周波が海産物にどんな影響を与えるか、だけは慎重にアセスする必要がある。それでもある程度水深の深い処に作れば、悪影響があれば魚が寄って来ないであろうし、貝や海藻が採れる場所ではないから、これも解決可能であると思う。
 再生可能エネルギーに共通する問題として発電能力が小さい事が上げられるが、一原子力発電所に原子炉が3基あるとして1ユニットとしての発電能力を比較すると、100基位の風力発電機を一ヶ所の浮遊物集合体に設置すれば、素人計算では一原発の20〜25%位の発電能力が確保できるのではなかろうか。その位纏まれば、能力的には代替エネルギーとしての現実性がでてくるのではなかろうか。
 残るはコストの問題である。送電は大した問題ではないと思う。やはり発電設備のコストが問題であろう。当分は既存の発電方式とは比較にならぬ高コストになると思う。更に、海上に構築すればメンテナンスなどの運転コストも高く付こう。これ等は当分は不可避な事として、暫くは政治で補うしかないと思う。ただ、本格的に再生可能エネルギーに取り組むなら、スマートグリッドスマートメーターの普及は抱き合わせの重要課題であろう。どんなに技術が進み設置場所を選択しても、所詮は自然相手の発電であるからその安定性においては原発や火力発電には遠く及ばない。その欠点をカバーするのがスマートグリッドであり、また事業所や家庭でのエコ発電を後押しするならスマートメーターが必需であろう。
 北海道をツーリングした時の想い出では、オホーツク海沿いを走った時には、海から吹きつける風が強くてバイクを斜めにしないと真っ直ぐ走れなかったし、襟裳岬に行った時にはスタンドを掛けた300kgのバイクが倒れるのではないかと心配になる程の強風であった。風力発電には最低6m/sec.の風が必要だと言うが、北海道の東側は洋上に風力発電基地を幾つか作れそうである。本州でも洋上であれば太平洋側、日本海側、適地は幾らでもあろう。後はコストとの戦いである。海上風力発電、是非早く実用化して欲しいと思う。そして太陽光発電は環境の為にも、補助的な発電に留めておくべきだと思うのである。