baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 ビオラケースが届いた

 先日このブログに書いた、ネットで注文したビオラケースが届いた。注文を決めた後に後述する確認事項がが少しあって時間が掛ったのだが、とにかく無事に届いた。米国からのUPSで正味4日で届いたから、予想以上に速かった。日頃僕が仕事で付き合っている南米とは桁違いである。そのケースは円高のお陰で、100ドル近い送料を払っても未だ、半値とまでは言わぬまでも日本で売られている値段からはそれに近い値段であった。


 これが外観である。想像していたのと少し違う処があるのは、ネットでは小さな写真を見て、解説を読んで買うのだからこれは致し方ない。安い買い物だったから、概ね及第である。中はご覧の通りで、湿度計も付いていて中々豪華である。替え弦を入れるプラスチック・チューブもセットになっている。ビオラはヴァイオリンと違って大きさに決まりがない。僕のビオラはかなり大きいサイズなので、実物が届くまではそこが少し気懸りだったのだが、解説通り問題なく納める事が出来た。

 色々あったと言うのは、実は問題があったのである。注文する時に、ストラップがリュックの様に背中に掛けられるなら注文します、と条件を付けたら、V−型ストラップが付いているので背中に背負えますと言う返事が来た。それで、注文を確認したのである。ところが届いた荷物にはV−型ではなくて写真の様に一本だけストラップが付いて来た。約束が違うと文句を言った処「誤解を与えて申し訳ありませんでした。ご注文のケースのストラップはお送りした物でした。」と言う返事が帰って来た。それは疑いもなく嘘であって、確認の返信からも単に入れ間違えた事は明白である。この辺が普通のアメリカ人の仕事振りである。これが仕事なら絶対に許さないが今回は趣味の事ではあり、例え追送しろと言っても送料が馬鹿にならないので先ず応じて来るとは思えないから、アメリカから物を買うリスクと思って諦めた。それでも日本で同じケースを買うよりは余程安いのだから、諦めも付くというものである。それにしても、日本の輸入品価格は異常に高い。僕もある意味で同業なのだが、輸入業者のマージンが高すぎるのである。
 ところで写真に弓が二本写っているが、下側の黒い弓は実は安物のカーボン弓である。自分で買ったのではないのだが、事情があって元々の木製の弓がカーボン弓に入れ替わってしまった。その事は仕方が無い事なので良いのだが、ここで言いたいのはカーボンの事である。弓に求められる特性は、軽さと弾力性である。昨今はその特性に合う木材が少なくなって来ていて、安物の、特にビオラの様なヴァイオリンよりも圧力が高い弓には、木製の良いものが無くなっているからカーボン製の弓が出回り始めた。しかしカーボン・ファイバー製の弓と言うのは僕に言わせれば誤りである。プラスチック製の弓と言うべきなのである。
 カーボン・ファイバーは、言ってみれば鉄筋コンクリートの鉄筋である。非常に軽いのだが、鉄よりも引っ張り強度が強い。しかし折れにはいたく脆い。そういう特性の素材である。楽器の弓には軽さと弾力を持たせる為に、それに合ったプラスチックを成形している。ただ、これだけ細くて長い弓はプラスチック、それも軽量であれば、強度が保たない。それでカーボン・ファイバーを入れる。そのカーボン・ファイバーも強いのは一方向だけなので、平面上に色々な角度で敷き重ねて、それを丸めた物をプラスチックで成形するのである。だから、カーボン・ファイバーの弓と言うのは間違いで、FRPではないが強化プラスチック弓と言うのが正しいのである。ところが昨今のカーボン・ファイバーブームで、何でもかでもカーボン・ファイバーを売り言葉にする。僕には違和感のある風潮である。
 ところで、やはり僕にはプラスチック弓は扱い辛い。軽さは良いのだが、その人工的な弾力がどうも馴染まないのである。