baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 今や危険な政治家、枝野幸男

 枝野幸男がまた行き過ぎた発言をしている。九電が、社内のやらせメール問題の最終報告書で、佐賀県知事の発言は無関係との報告をした事に対して、恐らくは報告書も読まぬまま「信じられない」、と経産大臣としては口を挟み過ぎの発言を、それも出先の中国で行った。強大な影響力を持つ閣僚として、余りにも拙速な発言である。彼の頭の中ではプロセスなどはどうでも良く、結論だけが既に出来上がっているのである。
 九電のやらせメールはお粗末極まりなく、議論の余地のない、許されざる破廉恥行為である。九電社内にはコンプライアンスという意識の欠片もなかったようで、信じられない体質である。今時この程度のコンプライアンス意識であれば、普通の私企業なら倒産していても不思議ではない。実際、不二家にせよ雪印乳業にせよ、社内コンプライアンスの不徹底が原因で実質倒産に追い込まれている。今日の会社経営に於けるコンプライアンスの重要性はそこまで増しているのに、メールでやらせを指示する感覚は常識では理解出来ない。信じられぬほど体質の旧い企業であったのだ。これも電力会社という独占企業が、如何にぬるま湯のなかで生きて来たかという傍証である。
 しかし、だからと言って佐賀県知事公聴会の発言者のバランスに言及したのが直ぐにコンプライアンス違反に繋がると結論付けるのは飛躍が過ぎる。県民には当然色々な意見があるのだから、公聴会で発言のバランスに気を配るのは当然の配慮である。偏った意見ばかりが出るのでは、公聴会の意味がない。相容れない意見を双方から汲み上げ、妥協点を見出す目的で公聴会を開く訳だから、その配慮は決して誤っている訳ではない。むしろ原発問題では左翼系市民団体を中心に反対派の声が大きく、放っておけば左翼系の動員で会場が反対派に席巻されかねないから、殊の外バランスには気を遣う事は容易に想像できる。県知事がそういう気を遣ったからといって、それがコンプライアンス違反のやらせメールの原因と決めつけるのは余りにも暴論である。
 それを枝野幸男は「信じられない」と吐き捨て、恰も知事発言がやらせメールの原因だと決めつけている。24歳で司法試験を通ったのだからIQは低くない筈なのだが、なんとも頭が悪く想像力が乏しい。自分の狭量な思考からはみ出す事は全く理解できない人は時々いるが、この人もその典型のようである。しかも菅直人に影響されたのか、先日の東電に対する金融機関からの借金棒引き発言の如く左翼思想にかぶれた発言が多い。本件で枝野幸男がここまで感情に走るのは、事が原発絡みであり、且つ佐賀県知事が具体的には原発擁護派の意見も入れるように配慮した事が気に入らなかったのは明白である。
 そして、真鍋利応社長が辞任しない事に対しては「続投以前の問題」と、何だか言いたい事が不鮮明ながらも癇癪を起こしている様である。身内の鳩山由紀夫を騙し、国会での不信任案可決を辛うじて免れた菅直人がその後3ヶ月半もああだこうだと居座り続け、国中を辟易させたのにその首に鈴も付けられなかった前官房長官が、今度は相手が一介の企業の社長に過ぎないとなると経産大臣の威光を振りかざして脅したい放題である。
 僕は社長の辞任が妥当かどうかをここで論じる材料は持ち合わせない。社内の組織や権限移譲がどうなっていたのか、やらせメールがどのレベルからの指示であったのか、などの正確な情報が不足しているからである。コンプライアンスの意識が希薄な点については、間違いなく社長の責任は免れない。しかしそれが即辞任に値するかどうかは、正直分からない。だが、今の段階で経産大臣が口角泡を飛ばしてとやかく言う程の事ではあるまいと思うだけの事である。
 枝野幸男の生い立ちを見るとそれほど左翼思想が強いとは思えなかったが、最近の言動は相当な左翼被れであると同時に、およそ弁護士出身とは思えない非論理的な、感情的で思考飛躍の発言が多い。枝野幸男は国を滅ぼしかねない危険な政治家になってしまった。人間、権力を笠に着るようになったらお終いである。