baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 野田政権近評

 野田佳彦が政権を樹立してから一月半少々が経過した。鳩山、菅が酷過ぎたから余程の事がない限りこれ以上は酷くなり様がないので、野田佳彦は随分と楽をしている。それでも今の処はまあまあ上手く立ち回っているのではなかろうかと思う。その証拠には、ここに来て米国の普天間移設問題に対する米国の圧力が急激に増している。勿論米国々内の政治情勢もあろうが、やはり何と言っても鳩山、菅では何を言っても無駄と見切られていたのは間違いない。それが多少は骨がありそうな野田佳彦が出て来たから、米国はここぞとばかりに圧力を掛けて来ているものであろう。鳩山由紀夫の「トラスト・ミー」事件以降大統領との面談すら適わなくなった日本が、やっと二年ぶりに米国に一丁前に扱われたのだから、それはそれで大いに結構な話である。野田佳彦には、一旦見込まれたからにはもうこれ以上先延ばしする事無く、この問題にしっかり道筋を付けることが日本の将来の為にも絶対に求められる。
 TPP協議参加に関連し、前原誠司玄葉光一郎石原伸晃がそれぞれ無意味な事を言っている。前原誠司は、協議に参加したからと言っても何時でも離脱出来る、と言い、玄葉光一郎は、一旦協議に参加したら理屈はともかく簡単には離脱出来ないと言う、そして石原伸晃も同じ事を言う。何れも国内向けの発言だと言うのは分かるが、それにしても何とも素人臭い発言をするものと呆れてしまう。 所詮交渉事に、絶対に纏めなければならない交渉事などあり得ない。逆に言えば、だからこそ交渉をする訳である。そして交渉決裂は別に珍しい話ではない。だから前原誠司が言っている事は誤りではないが、何も声を大にしてわざわざ言う事ではない。一方、玄葉光一郎が言いたいのは、冷やかしで交渉には参加出来ない、参加するからには交渉を妥結させるつもりで参加しなければならない、と言いたいのだと推測するが、これも当たり前である。卑近な事を言えば、どこかの店に入って値切るだけ値切って、店が最後に渋々受けて来た途端に「まっ、止めとくわ」と言ったらもう二度とその店には入れなくなる。店なら他にもあるからそれでも良いが、外交ではそれは絶対に拙い。
 しかしどちらも、与党の政調会長外務大臣という要職にある人間が、記者団に対して大声で言う話ではあるまい。外交々渉と言うのは何時も言うけれども国と国とのエゴのぶつけ合いである。だから交渉のテクニックとして、手の内は出来る限り見せるべきではない。それを言うに事欠いて、記者団を相手にこういう発言をするなど、呆れ返るド素人ぶりである。言っている内容は大した内容ではないから、それ程直接のマイナスはなかろうが、相手に不気味さを与えるに越した事が無い交渉の席に着く前からベラベラと内情を明かすようでは、何時まで経っても民主党は何とも情けない未経験集団である。民主党が政権を獲ってからもう2年以上にもなるのに、未だに一向に学習していない。それに輪を掛けるように、訳の分からない発言をしたのが石原伸晃である。彼が何を言いたいのかは正直まるで分からない。前原誠司玄葉光一郎がお粗末な掛け合いをやっていたのだから、その事自体を批判するのならポイントも稼げたものを、自分も同じ土俵に下りてしまったのだから何をか況やである。この男は親父と違って相当頭が悪そうである。
 野田内閣の組閣を見た時に、僕はこのブログで危ない閣僚を名指しした。そうしたら鉢呂吉雄は直ぐに辞任せざるを得なくなったが、小宮山洋子一川保夫安住淳は何とか今日まで首を繋いでいる。小宮山、一川はすっかり大人しくなった。一時は大臣になれて舞い上がってしまったが、多少落ち着いたものか。しかし、特に小宮山は元々が危険思想の持ち主だから、相変わらず要注意である事に変わりはない。安住淳は大きな不可がないだけで、円高対策ではまるで存在感が見えない。やはり財務相は幾ら官僚上がりとは言え素人には余りに荷が重いのであろう。
 そんな中で鉢呂吉雄の後釜に座った枝野幸男が、しょっちゅう露出するだけに腹に据えかねる事が多い。この男は元々は市民派の弁護士であったのであろう、言う事が天下国家ではなく常に市民の目線である。それが悪いとは言わないが、そういう小者は閣内に入ってはいけない、大変な間違いである。そもそも野党にいて、無責任に与党批判をしているのが余程似合う器なのである。それが間違って与党になり、更に間違って経産相などという重要なポストに就いてしまった。一国の経済と産業を舵取りし、将来の日本像をしっかり描かなければならないポストに、重箱の隅をつつく様な発想しか出来ない男が就いてしまった。今や野田内閣の最大のミスキャストは、枝野幸男であると確信する。