baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 TPPと、それに反対する医療界

 連日TPP関連のニュースが賑やかである。資源のない日本の将来を考えれば、世界の流れに棹差すほどのバカはないから自ずと行くべき道は決まっている。確かに農畜産業は未だ戦後60年、やっと小作制度から解放されたばかりで現実には色々問題があり、その結果国際競争力に欠けるのは分かる。しかし、何時までも関税障壁や輸入制限という露骨な保護に頼っていては、何れは時間の問題で立ち行かなくなる。早いか遅いかの違いだけなので、ここは死に物狂いでこの10年で向こう数十年間は生きて行ける姿にしなければならない。震災復興と同じく、国を挙げて、国民の総力を挙げて、農畜産業の競争力を高めなければならない。
 それは良いのだが、まるで理解出来ないのが医療界の反対である。何を心配してTPPに反対しているのだか、僕にはまるで分からない。米国の資本が入ってくる、米国から混合診療が入って来て通常診療が立ち行かなくなる、など僕の理解に誤りがあるかもしれないが、訳の分からない理由を羅列している。しかしTPPがそれ程日本の医療制度に影響を与えるとはとても思えない。医療界は単に幻影に怯えて反対しているだけで、実体はそれ程の問題はないのではないか。具体的にこれと言った理由もなく、訳も分からずにただ単に不安に陥っているだけなのではなかろうか。それとも今迄は、余程市場原理に反するあくどい商売をして来たのであろうか。
 農業は、食料問題という国の根幹をなす問題と密接に絡まっているから、TPP推進派の僕にでも複雑な問題である事は容易に理解出来る。しかし医療となると、何をそんなに惧れているのかが全く分からない。大体医療の世界では、先ず言葉の問題があり、そんなに簡単に海外から侵略してくるとは思えない。あるとすれば安い医薬品や資本であろう。医薬品は安いに越した事はない。どんどん安い医薬品が入ってくれば医療保険だって多少なりとも助かるであろうから、むしろ歓迎すべきである。そして、そんな海外の医薬品に簡単に負けるようでは、日本のメーカーのだらしが無さ過ぎるだけである。また、海外から資本が入ってくるのも別に悪い事ではあるまい。今の形態で立ち行かない病院は、もし本当に海外から資本が入ってくるのなら、さっさと売ってしまえば良い。患者の側から言えば、誰がオーナーでも構わない。無駄を省いた経営で、病院がしっかり立ち行く経営をして貰えるなら、これもむしろ大歓迎である。我々は、しっかりした診療が受けられればそれで十分である。
 日本の国益を考えるなら、何となく不安だから反対すると言う様な無責任は許されざる事である。医療界ももう一度冷静に考えて、自れの否は率直に正して−何を怯えているのか分からないから、何処に否があるのかも知らないが−これからの日本の為になる途を選ばなければならない。そして、徒に反対する事は慎む事だ。