baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 一向に収まらない円高

 円高が一向に収まらない。連日の円の高値更新のニュースである。他方では、日本企業の収益悪化のニュースが引きも切らない。80円どころか今や75〜76円に貼り着いてしまったのだから、輸出企業がやってゆける筈がない。僕の持論は、日本にとっての妥当な水準は90〜95円だったのだが、今時そんな数字を口にしたら浦島太郎と言われそうで、とても口にするのは憚られる。精々海外でM&Aに注力したり、海外生産を拡大して活路を見出そうとする企業のニュースが、何とか円高を少しでもプラスにしようとする懸命の努力の証である。しかし海外の企業が幾ら稼いでも法人税はその国で払うし、雇用は現地の人しか恩恵に与らないから、長い目で見れば日本の税収は益々落ち込んでしまい、雇用は一層細ってしまうのである。
 これに対して安住財務相は、「行き過ぎた円高には直接介入も含めて断固とした措置を講じる」と口を開けば同じお題目を唱えているが、今日に到るも何ら具体的には手を打っていない。日銀が追加の資金緩和策を打ち出したが、そんな程度では今の円高は収まる筈がない。何故なら金融危機の続く欧州と、思う様に景気が回復しない上に大統領選を控えた共和党の政略に呻吟している米国とで、行き場を失った投機筋の資金が比較的安全な円に雪崩を打って流れ込んで来ているからである。欧米がこんな体たらくだから、協調介入などは望むべくもない。だからと言って、安住淳の如き口先介入だけではもう今の円高はどうにも止められない。日銀の金融政策では即効力に欠けるし、そもそも金額も高が知れているから効果も大して期待できない。何よりも投機資金は短期で動くから、日銀の金融緩和程度では今の流れは阻止出来ない。
 加えて白川日銀総裁が「これで十分な円高対策と言えるかは自信がない」と言う意味の事を発言したと言うから、何をか況やである。人間、正直である事が常に美徳であるとは限らない。必要な時には「はったり」も必要なのである。前から言い続けているが、白川総裁は、悪い人ではないがとても一国の金融政策を背負って立つ器ではない。これは偏に、未だ野党時代の民主党の責任である。当時を思い出せば思い出すほど、そして今の日銀を目の当たりにすると、腹に据えかねる民主党の横暴であった。
 スイスの例を見るが良い。スイス・フランが高すぎるとして、断固単独介入をすると宣言して連日不退転の決意で介入を続けた。中国の例を見るが良い。誰に後ろ指を指されようが、米国の上院が「中国貨幣法案」を圧倒的多数で可決して元の切り上げを要求しようが、断固として元安に固執している。何時も言うが、外交は最後は自国のエゴを如何に押し通すかでしかない。単独介入が外国に批判されようが、自国の経済が立ち行かない処まで追い詰められているならやるしかない。世界を相手に単独介入では限界があると言う意見があるのは知っている。だからと言って何もせずに口先介入ばかりで、投機筋に既に足元を見透かされてしまっているようでは円高は亢進する事はあっても簡単には収まらない。
 野田佳彦財務相の時も同じ体たらくであったから、安住淳が愚かというよりは、民主党政権全体がどうして良いか分からない素人集団だからと言う方が公平なのだろうが、2年も政権を運営して来ているのだからもう素人だから、頭が悪いから、では済まされない。真剣に為替介入をやって見せて投機筋が警戒するところまで意地を張って欲しいものである。僕の仕事だって、今年は輸出商売は干上がってしまっていて、もうどうにも手の付けようがない。明日は週末の金曜日である。是非、是非、お手並みを見せて欲しいと切望する。日銀が金融の追加緩和に準備した5兆円、明日一気に遣ったらどうか。そして来週も、週明けからガンガンドル買いをして欲しい。