baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 日本語の敬語の乱れ

 大分以前から良く言われるようになった敬語の乱れが、偶々なのだがここのところいたく目に付いた。タレントが、それも若いアイドルなどが日本語を正しく使えないのはもう当たり前の現実であり、「ら」抜き言葉も、今更文句を言ってみたところでここまで普及してしまえば文句は年寄りのごまめの歯ぎしりにしかならない。しかしNHKのアナウンサーまでが出鱈目の言葉遣いをするのを聞くと、やはり漠とした淋しさを覚えるのである。
 普段はニュースが終われば直ぐにテレビを消すのだが、数日前は調度パソコンを打っていてテレビを消す手間を省いたので、無知なアナウンサーの声が耳に飛び込んで来てしまった。その番組にはインタビューで登場する職人気質の男性がいた。その男性には伴侶がいた。その夫妻をアナウンサーが紹介する際に、男の紹介は何とか普通に終わったが、奥方を紹介する段になって「こちらは妻の○○さんです」と来た。御主人が紹介するならともかく、アナウンサーが他人の奥さんを捕まえて「妻」はない。一瞬耳を疑った。
 これは敬語を使わなかった例だが、最近は敬語を不適切に過剰に使う誤りの方が遥かに多い。その代表例の筆頭が「・・・・・させて頂きます」である。民主党の元グラビアアイドルも直ぐにこれを口にするが、頻繁に不適切な使い方をしている。何でも自分がする時には「・・・・・させて頂きます」と言えば間違いないと思っているのであろうが、余りにバカバカしい誤りが氾濫していて耳を覆いたくなる。「・・・・・させて頂きます」と言うのは相手が自分よりも相当目上の人に対して自分が謙って言う言葉である。ところが昨今はなんでもかでも自分がやる時には「・・・・・させて頂きます」と来る。所謂馬鹿の一つ覚えである。これはアナウンサーではなかったが、ある番組で某タレントはペットについて「・・・・・させて頂いています」と宣った。お犬様か。
 次によく間違えた使い方を聞くのが「存じ上げる」である。これも相手が非常に目上の場合に、自分を謙って言う言葉である。「御病気とは露存じ上げませず、大変失礼を申し上げました」と言った使い方である。単に謙って言うのなら「存ずる」で充分な訳である。ところが、例えば「存じませんでした」と言うべき処を「存じ上げませんでした」と言う誤りを頻繁に聞く。何でも丁寧に言っていれば良い訳ではなく、TPOをしっかりと弁えて欲しいのである。数日前には「この町にこんなお店があったのをご存じでしたか?」と訊かれたタレントが「いえ、全く存じ上げませんでした」と言ったから昼飯が口から噴き出した。少しは格調の高い文学を読んで、皆もっと日本語を勉強して欲しい。