baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 金正日の急逝

 北朝鮮金正日総書記が急逝したとのニュースが、今日の昼に突然流された。数年前に脳梗塞を患って暫くメディアから遠ざかり、その後カムバックした時に、すっかり痩せて、身体の一部に麻痺が残っているのが明らかな映像が流されたのは未だそれ程古い話ではない。しかしそれ以降は健康不安説が流された事はあっても、それ程現実味を帯びたニュースではなかった。その総書記が突然死亡したと言う。誠か演技か、何時も日本のテレビに出て来る北朝鮮テレビの女性アナウンサーが、今日は泣きながらニュースを読み上げる映像が何度も流れていた。
 金正日のような独裁者が急逝したとなれば、遅かれ早かれ謀殺説が出て来るであろう。ましてや死因が心筋梗塞となれば、西側各国の諜報機関が常用する毒薬が正に合致する。インドネシアでも一時期カリマンタン島南東部に、情報部が操業するこの薬の製造工場があったと聞いた。無味無臭で、全く痕跡の残らない、ドイツが発明した毒薬だと言う。北朝鮮のような強権独裁政治体制であれば、体制転覆には独裁者の粛清が一番手っ取り早いから、反主流派や外国の諜報機関が総書記の抹殺を企図する話は至極現実的である。遠からず、まことしやかにそんな記事が週刊誌を賑わせる事であろう。
 それはともかく、何時もこのブログで僕が謳っている世界の二大テロ国家の片翼の総統の急逝である。しかし二大テロ国家と言ってもその内実には国家を挙げてテロを実行する事以外には全く共通点がない。方や国内に民族問題を抱えながらも一応世界に開かれた民主国家であるに対し、方や徹底的な強権政治で情報統制も厳しく、国民は盲目的に総書記に従うだけで世界の動きも知らされていない国家である。北朝鮮の国内の歪みのエネルギーは、一旦統制が緩んでしまえばあっと言う間に国家崩壊を招くであろう程溜まっているであろう事は想像に難くない。従い、ここ当分は北朝鮮の動静からは眼が離せない。残念ながらまともな情報機関がない日本であるから、ロシアと中国には頼れない以上、情報源としては米国と韓国に頼らざるを得ない。何とも頼りない世界第三位の経済大国日本であるが、ともかくもその外交ルートをフルに活用して当分は情報収集に遺漏なきを期して欲しい。そして万が一にも北朝鮮が国内の統卒を目的としたテロに走るような事があれば、何としても未然に防止して欲しいものである。
 後継者には三男の金正恩がなると言うのは既定路線である。しかし未だ29歳と若いし準備期間も不足であるから、彼が直ぐに実権を掌握すると見る人は先ずおるまい。しかも北朝鮮の飢餓は一向に解消されておらず、国内の景気低迷からの脱却も全く道筋が見えていない。金正日金正恩の後見人と頼む実妹金敬姫やその夫の張成沢にしても、腹の中にはどんな野望があるかは分かったものではない。政権内部の権力闘争も遠からず表沙汰になると思っている方が良い。そんな環境での権力継承には、権力基盤が未だ脆弱な金正恩には茨の道と言えよう。更に恐いのは、国内の不満や反発を削ぐ為にまた、韓国に対する挑発行為を行ったり、核実験を行ったり、新たな日本人拉致を再開する事である。とにかく何でもありの国なのである。
 北朝鮮の現体制が何れ崩壊する事は自明である。何れは国民が自由に目覚め、人間的な生活に目覚め、より海外にも開かれた社会が実現するであろう事は論を俟たない。インターネットやテレビ映像が世界を瞬時に駆け巡る現代で、国民を何時までも国外に対して盲目にしておく事が続く筈がない。それが今年なのか、10年先なのか100年先なのかが誰にも分からないだけである。願わくば金正日の急逝を機に、現体制がさっさと崩壊し、世界と同じルールで対話をする国家に脱皮してくれたらと願うのは僕だけではなかろう。そして朝鮮半島が平和裏に統一されればこれ程の慶事はなかろう。