baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 米国のイラン制裁

 米国の強硬なイラン制裁が、新たな緊張を生み出している。米国は、イランが世界の懸念を他所に核兵器開発を続けていると思われる事から、経済制裁を強めて現政権を締め上げようとしている訳である。確かにイランのアハマディネジャド大統領はエクセントリックとも言える対米強硬路線を堅持しており、ベネズエラチャベス大統領と並び称せられる反米首魁である。今週も南米を行脚して対米アライアンスを作ろうとしており、ベネズエラを始め、グァテマラやニカラグァからも賛同を引き出し、今後キューバの同調も見込まれるなど、ある程度の成果は上げているようである。しかしパワーバランスから見れば、大勢に影響を与える程にはなるまい。一方で、日本は西側の中ではイランとかなり良好な関係を維持して来た。イランも西側では日本は友好国としており、イラン産石油の輸入量は全体の10%を占めるまでになっていると言う。その日本にも今米国の圧力が加えられており、今後日本のエネルギー事情に大きな影響が出る事が懸念される。
 イランではウラン濃縮に携わる技術者が数日前に暗殺された。技術者の乗る車に、二人乗りのバイクからマグネット付きの爆弾を投げられ、爆死したと言う。走行中の車に外側から爆弾を仕掛けられたら、逃げようがない。この暗殺方法はイスラエルモサドが好む方法だそうで、イランはモサドが関与していると断定しているようである。当然そこには米CIAのバックアップもあり得、CIAとモサドの共同作戦である可能性が高いと見られている。しかもこの1〜2年の間にイラン人ウラン濃縮技術者5人のうち4人までもが暗殺されたというニュースを見た。外国の法律を無視して暗殺を実行するのは、最近ではオサマ・ビン=ラーデンがパキスタンで暗殺されたように、またパレスティナで要人が頻繁にイスラエルに爆殺されるように、米国やイスラエルお家芸である。証拠はなくとも、昨今の情勢からは誰の目にもCIAとモサドの関与はこの上なく怪しい。
 勿論核兵器が拡散するのは穏やかではない。ましてやイランや北朝鮮の如く、首領が多分にエクセントリックでしかも国の技術力レベルが相当低い場合には尚の事、世界中が枕を高くして寝られないと言うのは事実である。しかし北朝鮮は別として、中東においてはイスラエル核武装を是認しながらそれ以外のイスラム国の核武装を一方的に非難する米国流では、何時まで経っても軋轢は消え去るまい。この世から全ての核兵器が無くなるのが理想だが、少なくとも独自の勝手な理屈で一方的に特定の国の核武装を非難する米国は片手落ちである。一方でイスラエルの如きテロ国家の核武装を認めながら、他方でイランの核開発を非難し、同盟国に制裁への同調を強要すると言うのはどう考えても米国の横暴である。米欧の流れに日本が単独で棹を差すのは難しいとしても、日本には出来る得る限り従来からの対イラン柔軟外交を堅持する努力が求められよう。