baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 東電の実質国有化論

 枝野幸男経産相が、東電に公的資金を1兆円規模で注入するに当たり、東電を実質国営化する事を執拗に条件にしている。以前の、東電に対する市中銀行の貸付を無条件に棒引きにしようとした暴論は流石に何時の間にか引っ込めたようだが、枝野幸男は本質的に私企業を虐める事に快感を感じ、私企業を国有化する事を良しとしているようである。
 企業が官営化されれば、業績が落ちるのは目に見えている。政府や政治家が企業経営に直接携わったらロクな事にならない。にも拘わらず、官営化を信奉している枝野幸男の腹の中は一体どうなっているのであろうか。菅直人同様、市民運動家出身と言うのは形ばかりで、実体はもっと危険な思想の持ち主だと言う事なのか。勿論、莫大な額の公的資金を投入するのだから、政府としてしっかり監視できるようにして東電が勝手に暴走しないように措置して置く事は肝要である。しかし、それと議決権を3分の2まで取る事とは次元が違う。重要事項の決定権が一存になるまで議決権を押さえると言う事は、正に経営権を握る事であり、人事権を握る事である。と言う事は同時に経営のリスクも背負いこむと言う事である。
 財務省は、そのリスクは負えないとして枝野幸男案に反対していると言う。しかし、その財務省の頭が、為替が幾らになった時に介入を指示し、幾らになった時に止めた、などと得々と説明する世にも間抜けな、信じ難い暗愚な大臣なのだから、何処まで官僚の反対論の本質を理解しているかは知れたものではない。しかも、何時まで持つか分からない民主党に経営者を送り込まれ、次の選挙で当選するかどうかも分からない民主党の政治家に影響力を温存させるなど、とんでもない話である。
 いっそ、東電がそんな世の流れに逆行するような条件が付くのなら公的資金は不要と会社更生法の申請をしたら、枝野幸男はどんな顔をするのであろうか。福島第一原発事故関連の補償も宙に浮いてしまい、政府が丸抱えする事になるのだが、そこまでの腹を括っての経産相の要求なのだろうか、怪しいものである。そもそも原発はエネルギー政策として国も関与して昨日まで引っ張って来た事業である。無責任な放言とは言え、今回の福島の事故には多分に人災の要素がある事は先ず間違いないと思うが、その先頭を切って混乱に拍車を賭けたのが時の総理大臣、菅直人である事には疑いの余地が無い。その証拠に、議事録がないと称される会議が軒並みである。正式な議事録は無くとも、官僚が同席している限り一切記録が無いなど絶対にあり得ない話である。
 にも拘らず、廃炉や賠償の責任は一方的に東電に押し付け政府は一切泥を被らず、更に今般は東電を官営化すると言う。幾ら何でも、これでは政府は無責任に過ぎると言うものではなかろうか。もうこれ以上東電に赤字の上積みをされて公費を更に注ぎ込む事になる官営化はご免である。バブルが弾けた時には大手市中銀行にも軒並み莫大な公的資金を注入したが、りそな銀を例外とすれば、他行では金融再生機構が議決権を握る愚は冒さずとも無事に危機は切り抜けられた。東電には日航のように外部の血を入れて官営体質から脱却させる必要はあろうが、本当の官営化だけは絶対に避けるべきである。話の筋も違う。枝野幸男田中直樹小宮山洋子は、早く辞めさせなければ危なくて仕方が無くなって来た。