baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 フランク・ブラレイ〜現代フランスピアニスト

 今日はフランク・ブラレイと言う、アイルランド人のような名前の、しかし生粋のフランス人ピアニストと知り合いになった。東京シティ・フィルの定期演奏会ソリストとして、ジョージ・ガーシュウィンのピアノ・コンチェルトを弾き、更に後半のストラヴィンスキーの「ペトルーシュカ」にもピアノでオーケストラに参加していた。Frank Braleyで検索すれば直ぐに出て来る。
 オーケストラの演奏も熱が入った感動的な演奏であったが、フランクの演奏は何とも洒脱な、人を惹き付ける素晴らしい演奏であったのだ。僕はこの頃は好き嫌いをはっきりさせる事にしているので、世間の評価とは無関係に僕が気に入らなければそれまでなのだが、彼には惹かれるものがあった。それで楽屋を訪ね、これも成り行きで飲みに行く事になった。ところが、未だ僕の子供位の歳の若いアーティストで、顔も良いから女性に物凄く人気があるらしい。楽屋を出たらあっと言う間に老若の女性に取り囲まれてしまい、サインだツーショットだと一向に解放して貰えず、僕はすっかり待ちくたびれてしまった。
 行ったところは近くの居酒屋である。安物のスツールに腰掛けて、大根の煮付けやチキンウィングを頬張りながらビールとワインを飲んだ。本番を終わった演奏家は一般に誰でも饒舌なので、彼の本質が饒舌かどうかはさて置いて、流暢な英語で良く喋る。話も楽しく、決して衒わずに耳触りが良い。明日も武蔵野市でリサイタルをこなし、翌朝にはパリに戻ると言うタイト・スケジュールである。明日の切符は売り切れていると言うのだが、演奏家枠で僕の切符は確保できると言ってくれたので、明日も聴きに行く約束をした。今日のセミ・クラシックのようなガーシュウィンとは趣を変えて、明日はドビュッシーだと言うのでこれも是非聴いてみたくなったのである。若い、溢れる様な才能に触れていると、限りなくエネルギーが充電される気がする。実現するかどうかは分からぬが、これまた成り行きで、明日もまた飲もうなどと言う話になっている。蛇足ながら念の為に付け加えておくと、彼にはれっきとしたスペインはアンダルシア出身のガールフレンドがいる。