baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 消費増税法案の行方

 民主党が分裂の危機に瀕している。大分以前に、小沢一郎は分離独立を目論んでいると思った時期があったが、小沢自身に一時の求心力がなくなり、加えて政治資金規正法違反で告訴されてしまい分離独立どころではなくなった。しかし最近の反消費増税で自分に尻尾を振って来る議員へのアジ演説を仄分すれば、今こそ党を割る好機と思っているのか、あるいは政権を倒して次期代表を狙っているものか、民主党元代表とは思えない昨今の言動である。
 取り捲きは離党や政務三役、党の役職を辞任するなど、民主党執行部に揺さぶりを掛けている。小沢自身も昨日は「今大増税をすれば、民主党政権に対する人心は離れていってしまう」と執行部批判をぶち上げたらしい。しかし一般的に、民主党政権に対する国民の失望は既に明らかであろう。今更人心が離れるなどと言う事が、そもそもこの人の政治勘がブレ始めている証拠ではなかろうか。今迄民主党には散々マニフェストを反故にされ、加えて普天間迷走に端を発した鳩山政権は対米関係に亀裂を入れ、朝令暮改の菅政権はTPPにしても消費増税にしても言いっ放しで何一つフォローはなく、翻って小沢自身はと言えば幹事長になるやいきなり陳情を全て幹事長室に一元化し、政府の予算配分を実質一手に握って金権政治の面目躍如であったから、国民は誰もが呆れ返ってしまった。しかも全く外交にはセンスがないから、新米議員を大挙引き連れて中国への得意満面の朝貢外交に及び、あろう事か内規を無視して習近平天皇に無理矢理謁見させるという乱暴をした。こんな時代錯誤で自の権力志向しか頭にない男に、今更人心について語って欲しくない。
 亀井静香の本心は分からない。以前は国会中継を見る度に、閣僚席で短い脚を無理に組んで天井を向いて座っている下品な姿を見せられて不快な思いをしたものだが、最近また急に露出度が上がっている。「ねっ、ねっ」と何だか他人を小馬鹿にした話振りが相変わらず耳触りである。こちらは新党結成に向けて、本気で国民新党を割るつもりであろうか。例え娘と二人になろうとも、自分が代表なのだから新党結成の時は国民新党の名前を土産にしようという魂胆なのであろうか。そこに小沢が民主党の新米議員を引き連れて馳せ参じると言う話もあるが、本当であろうか。
 実際、誰が如何心配しようが、今の民主党では総選挙に勝てる見込みはあるまい。鳩山、菅が酷過ぎた。野田になって最近やっと内閣支持率の低下傾向に歯止めが掛ったに過ぎない。人心が離れるのではなく、最近になってやっと人心離れが止まったと言う事である。何れにしても消費増税は国中を揺るがす一大事であるからすんなりとは行くまいが、反対派は、景気が低迷する、民主党から人心が離れる、今は増税の時期ではない、行政改革で原資は捻出可能、などと言う姑息で短視眼的で裏付けのない反論ではなく、もっと大所高所からこれからの日本をどう経営するかの議論を尽くして欲しいものである。現状は政府と反対派の議論が全く噛み合っておらず、方や日本の将来に対する一つの責任ある態度であるのに対し、方や与党内のみならず野党を含め政局レベルの、目先の反論ばかりなのが情けない。
 折からインドネシアでは、ここの処連日反対デモが続いていた今日からの燃料油の値上げが土壇場で見送られた。歴史的に政府が補助金を出している燃料油を値上げして、国庫負担を楽にしようとしたユドヨノ政権であったのだが、結局今回は政権側が妥協したようである。インドネシアでは燃料油の値上げは常に政権を揺るがす大事件となる。1998年にスハルト政権が倒れたのも、直接の引き金は燃料油の値上げであった。都市ガス網が未発達なインドネシアでは多くの庶民は煮焚きに灯油を使うので、特に低所得層にとっては燃料油の値上げは死活問題である。加えて最近は中産階級が増えて来て、特にバイクが爆発的に増えているので、ガソリンの値上げも以前に比べて遥かに庶民の懐を圧迫するようになって来ている。他方、この補助金が政府の財政負担として重く圧し掛かって来るので、歴代の大統領はここ15年程、少しづつ補助金をへらす努力を続けており、多少は成功しているが中々全廃とまではいかないのが現実である。さて、日本の消費増税はどうなるものか。