baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 金環食に備えて

 もう後1週間ほどで金環食である。東京で見られるのは173年ぶり、そしてこの次に見られるのは300年先だと言うから、要は一生に一度もない幸運が巡って来ている訳である。冷静に考えれば、金環食が見られたからといって何がどうと言う事でもない筈なのだが、それでもこんなに珍しい天体ショーが肉眼で見られると聞けばなんだかワクワクしてしまう。
 こういう時は目で見て、感慨と共に胸に納めるのが普通だと思うが、やっぱり写真も撮ってインドネシア人などにも見せて自慢したい。と言う訳でどうやって写真を撮ろうかと考えた。金環食ぐらいで一眼レフの撮像素子を壊してしまっては元も子もない。黒い下敷きを買ってきてレンズに貼ろうか、などとも考えたが銀塩写真機と違ってデジタルカメラは何だか直ぐに壊れそうで怖い。考えあぐねて、余りケチをせずに取り敢えずカメラ屋に行ってフィルターを買おうと考えた。
 フィルターは元々決して安いものではない。物により4000円とか6000円とかする。僕は写真をデジタル処理で後加工するのは主義に反するので、今では時代遅れになってしまったフィルターを、レンズの大きさに合わせて何枚づつか持っている。そのコレクションに1枚か、場合によっては2枚重ね出来るように2枚足す程度の事だ、などと甘く考えていた。ところがレンズに直接被せる丸形フィルターで太陽が撮せるものは既に売り切れで、メーカーにも全く在庫がないと言う。
 そこでゼラチンフィルター用のフレームを買い、そこに四角いフィルターを入れようと考えて、やはり太陽が撮せる正規のフィルターを買おうとしたら、何と1枚18000円もすると言う。これにフレームやアダプターを足したら2万2000円にもなってしまう。いくら何でも予算超過だし、他に使い道のないものにこんなに投資した挙げ句に当日曇ったりしたら悔やんでも悔やみ切れない。と言う事でその時は珍しく、衝動買いする事無く何とか踏みとどまった。
 それからまた色々考えた。やっぱり下敷きが良い。フィルター用のフレームとアダプターだけ買って、そこに自分で下敷きを切って嵌める事にした。明後日の月曜日から丸々一週間出張で、帰国は金環日食の前日になるので出発前に準備を整えておいた方が良い。早速東急ハンズに黒いアクリルボードを買いに出掛けた。ところがプラスチックボードの売り場の一角で、金環日食を肉眼で観察しましょうと、正にアクリル下敷きを眼の幅にカットしたものが500円ほどで売られていた。早速これを2枚買い求め、カメラ屋でフレームとアダプターを買ってきた。
 家に戻ったら、それまで曇っていた空に幸いにも陽が顔を出した。直ぐに下敷きをカットして、それでもカメラが壊れると困るので最初は2枚重ねてカメラに取り付け、こわごわと太陽を覗いてみた。ところが視界は真っ暗で何にも見えない。そこでISOを一番鈍くしてから下敷きを1枚外して、前より一層こわごわともう一度覗いてみた。そうしたら、何とも程良く太陽が見えているではないか。今日はそこまでで店じまいした。とにかく18000円も倹約出来たから大満足である。後は当日を待つだけである。とは言いながらも、未だ写真の出来には自信がない。