baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 大飯原発再稼働

 関東甲信越は昨日から梅雨入りだと言うのに、今日は朝から快晴で、絶好のバイク日和見である。昨日は一日中雨で良い休みにはなったけれども、乗りたくて仕方が無いバイクには乗れず、出張に出掛ける今日がこの天気とは何たる皮肉か、恨めしい。
 福島原発事故に当たっては初動の不手際が事故を大きくしてしまったとし、その原因は、無知で素人の官邸の過剰な関与と結論づけられたようである。現場との直接のやりとりなど指揮系統を無視した干渉があり、その際には初歩的で稚拙な質問を浴びせたりして瞬時も無駄に出来ない現場を混乱させたという。海水注入が遅れたり、ベントにまで干渉したり、端から見ていても菅直人は無知なくせに出しゃばり過ぎであった。そんな調査結果が国会の事故調査委員会の報告書として正式に纏まるらしいと聞き、やっと少し溜飲が下がる。
 経験不足の上に危機管理の素人が、自分の権力の強大さを適切に認識せぬままにその権力を濫用するとどういう事になるかという事を、この時の菅直人ほど如実に分からせてくれた政治家は他に思い付かない。これ程酷い総理大臣もいないものだが、その結果は明らかに福島の被害を大きくし、新たな政府の発表では福島県内の11市町村では10年後にも18%の住民が帰還困難だと予想されている。悲惨な数字だが、この数字と雖も初動の対応が誤っていなければ遙かにもっと小さく押さえられた筈である。返す返すも腹立たしい稚拙な官邸の初動であった。
 最終的な野田佳彦の政治判断で大飯原発の再稼働が決定された。それも、原発には直接関係がないのに大向こう受けを狙っていい格好をした橋下徹が拳の下ろし処に困って言い出した、この夏だけの臨時措置、などと言う有権者受けしか考えていない中途半端な結論ではなさそうなので、僕はほっとした。大体この問題では、肝心の大飯町や福井県をさておいて近隣の京都や滋賀の知事が、これも有権者受けを狙い、あるいはおこぼれの補助金狙いもあったろう、無責任に喧しかった。況してや大阪市長まで口角泡を飛ばした。しかしその腹立たしい無責任な彼らも結局腰が砕けて、いつの間にか静かになってくれたのは結構な事であった。
 50年も前から続けてきた原発依存を、たった一度の福島の事故で即全面停止と言うのは余りにも乱暴である。反原発の人達は原発を動かし続ければ国が滅びると言う余りにも悲観的な事を言う同じ口から、代替エネルギーはどうにでもなると言う余りにも楽観的な言葉が飛び出す。そういう人達は日本の天然ガスの輸入価格が国際相場の倍近いと言う現実には目も向けない。物事には常に裏表があるが、大事な事はその裏表のバランスである。代替エネルギーがコスト的にも量的にも安定する見通しが付けば原発の全面停止と言う選択肢もあり得るであろうが、今は未だ余りにも時期尚早である。原発を全面停止すれば国が滅びるかもしれないと言うのが現在の実態なのである。
 そういう重大な政治決断が求められる時の総理大臣が野田佳彦であった事は日本には大変な幸運であった。鳩山由紀夫菅直人がこの決断を求められたら日本はどうなってしまったか、バクや思いつき総理に出来る決断ではないだけに、考えるだけでもおぞましい事になっていたであろう。同時に、これからも原発の安全性向上には常に努力し続けねばならない。これは人類にとって終わりの無いチャレンジであり、決して手を抜く事は許されない。その結果科学技術が今よりも更に進歩すれば、原発も今よりは遙かに安全なエネルギー源になり得る筈である。と同時に、自然の脅威に対してはどんなに科学技術が発展しても決して傲慢になってはいけない、と言う昨年の教訓を瞬時たりとも忘れる事があってはならない。