baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 超小型車

 テレビニュースで、超小型車と言う新しいジャンルの車を紹介していた。国交省は今年の夏にもこの車が公道を走れるようにしたい意向だそうで、羽田雄一郎国交大臣は試乗してご満悦の体である。電気自動車が主流となるらしい。僕は超小型車も、それはそれで良いと思う。普通の車に比べて小回りも効き死角も少なそうであるから、運転は大分楽になり高齢者にも馴染み易かろう。特に公共交通機関が廃れている地方の高齢者の足代わりに、頗る便利そうである。
 一方で僕は現在の、車とそれ以外と言う区別だけの道交法の中で、新たな車のジャンルが増える事には無条件には賛成し難い。僕の危惧は、既に自転車、原チャリ、電動カートで現実化している。自転車は軽車両でありながら、歩道を走る事が黙認されるようになってから歩行者感覚で自転車に乗る者が増え過ぎた。道路の右側を逆走したり、携帯や傘を片手に乗ったり、人混みでも止まらずに強引に人を掻き分けたりするから、危なくて仕方が無い。僕は未だ何とか避(よ)けられるが、高齢者には凶器にもなる昨今の自転車である。ようやく自転車の危険性が話題に上り始めたこの頃だが、警察の対応は遅すぎるし取り締まりは無いに等しい。我が物顔の、歩行者感覚の横暴な自転車が跋扈している。原チャリも同様、自転車感覚で車道をノロノロ走っている人がいるかと思うと、速度制限などものかはで60km位で走る人もいる。全ての原チャリライダーがそうだと言う訳では無いが、れっきとした原付というジャンルの車両に乗っていると言う意識がまるでない人が多々いるから困るのである。
 電動カートも高齢者の足代わりに大分普及して来ている。しかし地方でならいざ知らず、東京の人混みにこのカートが入ってくると正直な処些か怖い。スピードは遅いがそれでも車重が100kgはありそうな車両が時速6kmぐらいで人混みを縫って走ってくると、事故が起きないかと不安になる。運転している人が例外なく高齢者で、しかも一人で歩く事がままならない人が運転しているのである。免許がどうなっているのか知らないが、見るからに運転が覚束ない人もいる。
 事程左様に車のジャンルが増えると、それに伴って歩行者や通常の車両の事故リスクが間違いなく増える。しかも新しいジャンルの車は高齢者に照準を合わせた物が多いから尚更である。今度の超小型車も御多分に漏れず高齢者がターゲットの様である。こういう車が車道を車として走るかと思うと、普通の車に乗る者としては余り有り難くない。特に地方では片側一車線で、且つセンターラインが黄色いはみ出し禁止路線が非常に多い。こういう道で超小型車を高齢者が、極端な場合には歩行者感覚で、ノロノロ運転して追い越しが出来ないとなるとあっという間にそこが渋滞する。自転車でも渋滞するが、自転車なら未だ対向車がない時に追い越せるけれど、車だと追い越してセンターラインをはみ出せば交通違反となるからおいそれとは追い越せない。
 新しいジャンルの車を公認するのは高齢化が進む時代の流れだと思う。そして足が不自由で生活に不便を感じている高齢者に、便利な乗り物が増えるのはむしろ結構な事であると思う。しかし自転車ですら道路行政の対応が追いついていないのに、そこに更に車としては如何にも中途半端な車が公道を車として走るようになると、一体どういう事になるのであろうか。どの位普及するかにもよろうが、道路が相当混乱する事は想像に難くない。今は何も決められない政治だから多くは望めないが、取り締まりばかりを考える警察任せにするのではなく、政治が率先して新しい道路交通のルールを早急に作って欲しいものである。そしてそのルールに従った専用の車線整備が望まれるのである。