baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 野党のような民主党内反主流派

 民主党の中の反主流派は、もはや野党の如き存在に成り下がっている。小沢一郎鳩山由紀夫を中心に、執行部が当初から標榜している税・社会保障一体改革の衆院採決の引き延ばしに躍起である。そこにあるのは採決を引き延ばす事により実質廃案にしようという姑息な目論見だけで、具体的な代案がある訳ではない。小沢一郎増税の前にやるべき事があると繰り返し訴えているが、その訴えは一般論ばかりで少しも具体論がないから説得力も何もあったものではない。単なる反対の為の反対、保身の為の反対でしかない。
 増税が嬉しい人間はいない。しかし、日本の財政立て直しは待ったなしである。増税の前に先ずやるべき事がある、ではなくやるべき事は端から何でもやらねばならないのである。ギリシャやイタリーやスペインは決して対岸の火事では無く、日本も一刻を争って対策を講じなければならないのである。消費税を5%増税して増える税収は年間僅かに13兆5000億円、政府の財政赤字は210兆円である。しかも急速な高齢化で社会保障費はこれから益々財政を圧迫する。
 民主党政策調査会合同会議では、21日までの衆院採決反対の声ばかりで、具体的な政策論争が為されたという話は一向に聞かない。自分には具体的な政策は何も無いがとにかく与党のやる事には何でも反対、と言うのは野党の十八番であって、社民党のような泡沫野党ならそれも許されよう。しかし卑しくも与党を張っている民主党の議員が、所詮は野党根性が抜け切れておらずに、反対の為の反対をするしか能が無いようでは余りにお粗末である。今や国際公約のようになっている21日までの衆院採決が為されなければ、日本の国債格付けは間違いなく下げられ、日本を取り巻く金融情勢は格段に厳しくなるが、国際センス皆無の民主党議員にはそんな事は思い付きもしないのであろう。消費増税による景気後退よりも、金融情勢が厳しくなる事による企業の業績悪化の方が、日本経済に対するネガティブインパクトは遙かに大きい筈である。どうしてそんな事にも気付かないのかと、日本の政治家のレベルの低さが嘆かわしい。
 小沢一郎が拘るマニフェスト違反、国民を騙す事になる、などと言うお題目はもう聞くのも空しい、空虚な建前である。民主党が政権を奪取した時に、無駄を省けば16兆円の財源が出てくると国民を騙した挙げ句に、出て来たのは一時金に過ぎない埋蔵金を主体に3兆円程度しかなかったという事実は未だ誰も忘れていない。これだけ大ボラを吹いて国民を騙しておきながら、又しても今更ながらの小沢発言である。選挙前にその大ボラを一番声を大にして吹きまくっていたのが鳩山由紀夫である。小沢は増税の前にやるべき事があると言うが、それで一体幾ら恒常的な財源が出てくるのかの具体的な数字も上げないのだから、最早誰もそんな空念仏を信じる人はおるまい。一連の発言は偏に、近づく総選挙に向けて増税反対のポーズを取って有権者を引きつけようとする選挙対策に過ぎない事はもう明白で、そこには国を思う心は欠片も感じられない。そして国を思わない政治家は、特にその人間が政権与党であれば尚の事、百害あって一利も無い。
 消費税の二段階引き上げにしても、一般消費者にすれば増税が少しでも先送りになるのは喜ばしいが、企業や国税庁にとっては会計ソフトの入れ替えの手続きなどで費用と手間が二倍になってしまう。21世紀を迎える時にコンピューターが暴走すると大騒ぎになり、莫大な費用を掛けて各省庁、企業がコンピューター対策を施したが、消費税増税もそれ程の大騒ぎではないにせよかなりのコストを伴う事は間違いない。党内融和に腐心せざるを得なかった分裂寸前の民主党のお家事情に加え、実務に疎い無能な政治家の単なる辻褄合わせのお陰で、全く無意味な経費が余計に発生するのだから馬鹿馬鹿しい。
 小田原評定は幾ら続けても時間とエネルギーの無駄である。そこには政策論議が皆無なのだから、単なる国会議員の歳費のタダ取りとしか言い様がない。民主党は与党の責任を自覚し、無意味な党内議論はもういい加減にして、さっさと21日までの衆院採決で覚悟を決めるべきである。繰り返しになるが、21日までに衆院を通らなかった時の我が国に対する世界の厳しい反応に、一体誰が責任を取れると言うのか。