baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 遅きに失した自民党

 ここ数日の政局は慌ただしいが、原因は偏に自民党の後手々々の対応に起因すると思う。勿論大元には、最早全く党の体を成していない民主党と、そのバラバラな民主党を纏めきれない野田佳彦、纏めるどころか成算も無きまま自党を益々窮地に追い込む輿石東、まるで評論家のように政権を外から批判する前原誠司等に一義的な責任があることは明らかである。民主党が一刻も早く国民に信を問い、政権を再編する必要がある事には議論の余地はない。
 しかし、自民党が内閣不信任案や問責決議案を言い出すなら、小沢一郎が党を割って飛び出した時が絶好のチャンスであった。あの時点であれば三党合意を反古にしても、与党が割れるようでは三党合意も水泡に帰したと言う理屈が立った。しかしそのチャンスを逃し、自公を除く野党7党が内閣不信任案を提出してからではもう遅い。単なる二番煎じになるだけではなく、多くの国民の反対を押し切ってまで国の将来の為にと合意した三党合意を廃案にすると言う、なんとも中途半端な結果を招いてしまう。しかもこのタイミングであれば、森喜朗が言う通り一番喜ぶのは小沢一郎に他ならない。
 かと言って優柔不断な谷垣禎一は、このまま社会保障・消費増税一体改革法案を通してしまえばまた衆院解散が何時になるか分からなくなる、と言う党内の強硬論を抑えられない。事実、野田佳彦はこのまま政権を運営する所存であるかの如き発言をしているから、今こそ総選挙のチャンスと見る自民党議員達から見れば谷垣は何をしている、と言う事になる。そこで小沢一郎がほくそ笑むのは承知で、衆院解散の確約が為されなければ三党合意は反古にして、内閣不信任案と首相の問責決議案を衆参で同時に提出すると恫喝した。三党合意に対する自民党の原則が大きく揺らぐ方針転換で、自民党は実は一体改革法案などはどうでも良くて、偏に総選挙を有利に戦う事しか頭に無いと思われても仕方が無い拙いやり口であった。だから公明党はしきりに自民を諫めた。山口那津男にしてみれば、こんな拙いやり口に連座する不利だけは避けたかったであろう。
 一体改革法案に政治生命を賭けると大見得を切った野田佳彦は、この法案だけはどうしても通さなければならない。そして、自民の恫喝が単なる口先だけでは無い事は重々承知している。かと言って、今衆院解散を確約してしまえば、再選が覚束ない成り上がり議員で溢れている民主党々内は蜂の巣を突いた大騒ぎになり益々纏まりが付かなくなるのみならず、更なる造反者も出かねない。そこで極秘の党首会談となった事は想像に難くない。当初は幹部も同席したが、直きに幹部は席を外し、更には山口那津男が加わった三党々首会談になった。密談だから、会談後に幾らメディアがコメントを迫っても誰も口を割らない。同席者がいないから、直ぐにリークされる事は期待薄である。しかし、誰が考えても具体的な解散時期の合意が為されたと思われる。民主党内対策で、三党々首が口を閉ざしているに過ぎないのであろう。これで一応の筋書きが固まったのだと思われるが、返す返すも谷垣禎一石原伸晃は政局の判断が甘く、対応が後手に回っていると言う誹りは免れない。
 この合意は強かな菅直人が無能な鳩山由紀夫をまんまと騙した時の二の舞にはなるまいから、解散総選挙は遠からず現実になったと考えて良かろう。今度は三年前には未だなかった、「国民の生活が第一」と言うポピュリズムの権化のような名称の政党が現れている。有権者は以前にも増して心して、三年前の愚を繰り返してはなるまい。そして政権を再編して、国内外に山積する懸案を次々に処理出来る、「決められる」政治が可能な、足下が強固で政策のブレない政権が出来る事を切望するのだが。