baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 都知事選と総選挙

 東京では都知事選と衆院総選挙が同日となった。都知事選では石原慎太郎の後を受けた猪瀬直樹が圧倒的な勝利を収めた。得票数は史上最高だと言う。しかし調子に乗って貰っては困る。石原慎太郎が余りにも突然知事の責を放り出してしまったのであっけに取られていたら、時を同じくして迷走続きの国会がやっと解散し、今度は小党乱立、離合集散の繰り返しで都知事選の事など誰も考える暇がなかっただけのことである。加えて対立候補も準備不足で、他にもポスト石原を狙っていた有力な人物がいたかもしれないが立候補するタイミングもあらばこそのドサクサ選挙だったのである。余りにも対立陣営には突然の選挙だったのだから、都民の圧倒的な支持が得られたなどとは夢勘違いしないで欲しい。一介の物書きに勤まる程都知事が簡単な職であるとは思わないのだが、猪瀬直樹には偶々有力な対立候補がいないままに都知事になってしまったのだから、今後は身の丈にあった地道な都政に徹してくれれば良しとしたい。
 肝心の衆院選は自公の圧倒的な勝利であった。僕は、民主党政権は、長引けば長引くだけ日本の為にはならないから、早く解散総選挙をして欲しいと願ってい。そして、日本の為に是非落選してほしかった仙石由人と田中真紀子が落選したのは良かったと思う。菅直人が後一歩のところで比例代表で復活当選したのがなんとも残念ではあるが、これは致し方がない。日本未来の党が選挙前の61議席から9議席へと大幅に凋落したのも結構なことだと思っている。未来はそもそもスローガンばかりで政策ははっきりしないし、党首は地方自治体の長と言う職を顧みずに小沢一郎に踊らされている、目立ちたがり屋の婆様に過ぎないのだからこんな党が躍進する様では困るのである。しかも当選した9人の中に小沢一郎亀井静香と言うガラパゴス属の議員が二人もいるのだから、国政には殆ど影響のない小党に成り下がってほっとした。僕が目の敵にしている共産と、特に社民が議席を失ったのも結構な事であった。これは、今は本当に国民に余裕がない事の表れだと思う。
 一方で、民主党が自己崩壊を続ける中で、しかも小党乱立で反民主、反自公票が割れてしまったのだから、自公の圧勝は当然の帰結であった。とは言え、前回の衆院選と言い今回の総選挙と言い、余りにも数字が極端に振れ過ぎて本当の国民の声を反映しているとは思えない。今回の選挙ではその低い投票率からも分かるように、民主党政権には見切りをつけたもののさりとてどの党へ投票したら良いものか迷った有権者が相当多かったと想像するのだが、その実態が自民党獲得議席294に反映しているとはどうしても思えない。これは偏に小選挙区制の弊害である。前回も民主党が余りにも地滑り的な圧勝を果たしてしまったが為に、鳩山由紀夫が暴走した面は否めないと思う。同様に今回は、3年余の政治の迷走で民主から民意が離れたのは当然だとは言え、ここまで自公を圧勝させて安倍晋三に調子に乗られるのもまた怖い。安倍自民党をそこまで国民が信頼しているとは到底思えないのである。小選挙区制は議席数が余りにも極端に振れるという点で、やはり好ましい選挙制度ではないと思う。分かり難い比例代表制との併用などよりも、選挙区をもっと広げて一選挙区当たりに得票数順に4-5人の議席を割り振るとか、逆に比例代表制だけにするとかで、もっと国民の声の実態に近い政党別議員構成に落ち着くと思う。今のような極端な数字の振れは、総理大臣が頻繁に交代するのに負けず劣らず、国政の継続性を損なうと思う。肌理の細かい制度設計は必要だが、現在の選挙制度は変えるべきである。
 安倍晋三は選挙期間中は、躁であると言われていた。世論調査で自民の勝利が鮮明になるにつれ、言う事がどんどん大きくなり、はしゃいでいたと言われる。ストレスが溜まれば引き籠り、調子が良い時にははしゃぎまくると言うのである。傍で見ていた訳ではないから実態は知らないが、そう言われても致し方のない舞い上がり振りであったのは事実であろう。それだけに安倍晋三には、294議席は決して真の民意ではなく単なる小選挙区制の悪戯である事を重々認識し、自重して政局を運営して欲しいものである。その上で、民主政権時代に積み残されている数多の懸案を着実に、且つ速やかに片付けて欲しい。例えば尖閣諸島問題で主張すべきを主張するのは大事な事だが、徒に勇ましい掛け声と共に中国を刺激すれば、遠からず財政が従いてゆけなくなるのは目に見えている。戦後60年、自国の安全保障を他国に頼り、その代わりにひたすら経済発展に努めて来たものを突然方針転換しようとしても所詮無理なのだから、我が国の安全保障に関しては特に慎重を期して欲しい。自国の安全保障を本来のあるべき姿に戻すには、国民の意識改革も含め、時間を掛けて少しずつ改善して行くしかない。インフレにしても、物価を押し上げるだけでは景気は良くならない。しかもインフレが昂進すれば、多数の年金生活者の生活は直ぐに破綻する。積極果敢は大いに結構だし、安住淳の様な素人には手も足も出なかった財政運営を、経験のある自民党政権で立て直してくれる事は大いに期待したい処ではあるが、猪突猛進やバランスを欠いた政策運営は是非とも謹んで欲しいものである。原発問題にしても、脱原発を謳った政党が必ずしも伸びていない事からも分かるように、声が大きいからと言ってそれが必ずしも真の民意であるとは限らない。もう選挙は終わったのだから、これからは大向こう受けを狙う必要は全くない。地道に、且つ決める政治を実行して、日本を改めて魅力のある国にして欲しいのみである。