baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 やっと軌道に乗り始めた日本外交

 この三年間、日本は外交の舞台で完全に後れを取り、存在感を失っていた。発端は鳩山由紀夫普天間基地移設問題で迷走と妄言を繰り返し、日米関係を毀損してしまった事である。米国の後ろ盾がなければ自分の国の安全保障も自国一国では出来ない日本が、米国との関係がぎくしゃくしたと見て韓国も中国もロシアもこぞって日本を小馬鹿にし始めた。メドベージェフが北方領土を訪問すれば、韓国の李明博も負けじと竹島へ上陸した。中国は尖閣諸島周辺で領海侵犯を繰り返し、漁船と称する軍用船で日本の巡視船に体当たりし、最近は領空侵犯までやってのけた。日本がロシアの様な国であったら、領空侵犯機は瞬く間に撃墜されていたであろう。それぐらいギリギリの挑発を続けている。ところが鳩山由紀夫以降の民主党政権は、党内の異論が纏めきれずに常に分裂含みで、とても外交の事にまで目を配る余裕も実力もなかったから、日本は外交の舞台では空白の三年間を作ってしまった。
 この空白外交も、安倍政権になってやっと少し動き出してきた。政権発足早々、額賀福志郎財務相が首相特使として韓国を訪問し朴次期大統領に面談して来た。竹島問題では日本の国益を毅然として守って欲しいが、さりとて隣国とギクシャクを続けるのは得策ではない。特に中国や北鮮の不穏な動きを目の当たりにしているのだから、是々非々である事は当然ながら、二国間の友好関係は強化して行かなければならない。素早い動きであった。また、岸田文雄外相が今週からフィリピン、シンガポールブルネイ、豪州を歴訪している。フィリピン以外は何れもTPPの交渉参加国である。この機に大いに意見交換をし、TPPに纏わる情報を仕入れて来て欲しいものである。
 最初の訪問地は米国と言って来た安倍晋三も、オバマとの日程調整に手間取っている隙を縫ってベトナム、タイ、インドネシアを来週訪問する。アジアはこれから益々投資先として、市場として、日本にとって重要性を増してくるのだから、こういう気遣いは重要である。しかもこれらの国々は、何れも日本にとってとりわけ重要な国ばかりであるから、今まで緩み放しであった日本との絆を引き締め直して貰いたいものである。更にロシアには森喜朗を派遣すると言う。元総理であるから、特使としての格には問題がない。プーチンも安倍政権の間に北方領土問題を片付けたいという思いがあるようだから、話し合いの場を再構築する絶好のタイミングではある。北方領土問題はどう片を付けるのか予断を許さないが、ロシアと懸案の平和条約を締結出来る様になれば大いに喜ばしい事である。
 中国には高村正彦元外相を首相特使として派遣すると言っていたが、こちらはどうも未だ実現していないようである。中国は習近平体制になってからも貧富の格差拡大や、ここに来て南方週末の記事差し替え問題など、国内の反政府運動民主化運動に梃子摺っており、国民の目を外へ向ける為に尖閣諸島問題で対日強硬手段に必死な時期である。日本からの特使受け入れに、そうすんなりと乗ってくるのは難しいのであろう。
 そんな折に、鳩山由紀夫が15日から4日間の予定で訪中すると言うニュースが走った。当人は対立激しい日中関係改善に尽力すると大張り切りだと言う報道も流れ、僕はもう勘弁して欲しいと天にも祈る思いであった。総理時代の日米関係毀損に始まり、菅時代には総理特使としてメドベージェフと面談し、その直後にメドベージェフが北方四島に飛来した。野田政権の時には核兵器開発疑惑で欧米が神経を逆立てている最中にイランを訪問し、案の定イランの対欧米宣伝に使われてしまった。「Trust me!」でオバマを激怒させた前科者だから、また何を口走るか分かったものではない。そんな無神経でTPOの読めない男のこの時期の訪中には、流石に海江田万里も泡を食ったようである。結局は中国側の都合でこの話は流れたと聞き、何はともあれ心底ホッとした。もう議員バッジも外したのだから、とにかくジッとしていて欲しい宇宙人である。
 外務官僚も政権交代を機に、大分張り切っている様に思える。流石に自民党には人材が豊富だから、外交に使えるカードも沢山ある。このチャンスに思う存分、日本の存在感を高めて欲しいものである。