baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 中国の頭痛

 中国の艦船が頻繁に尖閣諸島沖で日本の領海を侵している。昨年10月から既に30回、ここの処は連日である。海上保安庁もご苦労な事である。日米首脳会談がひとまず成功裏に終わり、中国が締め出されるTPPにも弾みが付きそうだし、対中アライアンスが日米間で再確認された事が無関係とは思われない。現に米国はまた、尖閣諸島日米安保条約の対象と繰り返している。もっとも日米安保条約の対象とは言っても、万が一日中間で武力衝突が起きたとしても米軍の介入はまずないと思っていた方が良い。武力衝突に米軍が介入するには議会の承認が必要で、日中間の領土問題などに議会が米軍介入を認める可能性は限りなくゼロに近いであろう。
 それにしても中国の異常なまでの挑発行為は、どう考えても尋常ではない。今は多少日米関係強化に反応している部分もあろうが、大元は恐らくは国内の反政府マグマが活発に動いているからであろう。そうでもなければ、ここまで執拗な挑発が理解できない。僕は20年以上前から中国は2050年までに瓦解すると言い続けているが、その流れで見ると分かり易い。中国の沿海部と内陸部の格差が益々拡大し、共産党幹部の汚職と贅沢振りは目を覆うばかりなので、犠牲になっている貧困層が何時までも黙っていられる訳がない。昨年も僕は本ブログで、中国では1500万人の富裕層が個人資産の4割を握っていると書いたが、実際にはその格差はもっと酷いと言う人もいる。しかもインターネットの発達で、幾ら政府が必死に取り締まっても、反政府発言を100%ブロックする事は不可能になっている。そんな状況であれば、反政府のエネルギーを少しでも逸らさなければならず、それが日本なら歴史的にも実力的にもうってつけなのだと思わざるを得ない。
 そんな中国々内の事情が背景だとすれば尚の事、絶対に日本は挑発に乗ってはならない。中国のお家の事情に手を貸すなど、バカバカしいにも程がある。しかも、仮に不測の事態に陥っても頼りの米軍は出て来ない。今日現在の実力比較であれば、装備でも練度でも日本が負ける事はないらしいが、だからと言って万が一にも手を挙げるような事があれば、結局は日華事変の時と同じで終わりが見えなくなる。しかも今の中国は核兵器まで持っている。今の処政府は断固としながらも、冷静に対応しているので心配はないけれど、しかし中国側が業を煮やして空からの侵犯を常態化させ、自衛隊を引っ張り出すような事にでもなると一層神経を遣わざるを得なくなる。
 一方で、中国側にも問題はある筈である。幾らGDPが世界二位とは言え、抱える人口が違うから実はそれ程懐が潤沢な訳でもあるまい。そもそも連日何隻もの大型船を派遣するコストは馬鹿にはなるまい。それ以上に、こうして日中間の不和を強調する事により蒙る経済的損失は日本よりも遥かに大きい筈である。先ず日本からの投資が逃げる。すると中国々内でのハイテク製品の生産が頭打ちとなり、対欧米輸出の陰りが加速する。一方で汎用品を中心にした日本向けの輸出も鈍化する。日本が中国から輸入する物は、数量さえ確保できれば第三国からでも輸入できる物が大半であるから、中国が不穏なら、当然他の国、主にアセアンに仕入れ先を変えるのは当然の成り行きである。結果は明白で、中国の方が遥かに損をする。そんな事を考えると、国内の反政府エネルギーの昂ぶり回避と経済的損失を如何バランスさせるか、中国政府は実は相当頭を痛めているのではなかろうか。