baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 消費税増税

 来年4月からの消費税増税の可否を10月に自分が見極めると言っている安倍晋三が、しきりに景気の現況や消費増税後の見通しを気にして関係閣僚に色々指示を出している様である。これは単なる政治家のパーフォーマンスに過ぎず、色々なプロセスやパーフォーマンスをを通じて国民を納得させようとしているだけで、政策にブレは無いと信じたい。
 日本の財政赤字は既に1000兆円を超えたと言う。そして今年度末には1100兆円をも突破する見込みだそうである。これだけ赤字が膨らむと、例えば消費税を3%や5%引き上げたところで焼け石に水である事は明らかである。しかし少しづつでも出来る事から手を付けなければ、遠からずギリシャやイタリーの如く財政危機が日本でも炎上してしまう。
 IMFも本気で心配して、手を変え品を変え、しきりに予定通りの増税実施を日本に呼びかけている。今ここで日本政府の財政再建への国際社会へのコミットが揺らいでしまうと、足元の欧州経済が極めて不安定なだけに、世界経済が再び混乱の坩堝へ陥ってしまう事への危惧が滲み出ている。実際、消費税増税は既に日本政府が世界にコミットした財政再建への第一歩である。1000兆円超の財政赤字を抱えたまま先進国の中では最も安い範疇の税率を何時までも維持する道理はない。今ここで世界へのコミットを反故にすれば、良し悪しは別として日本に大量に流れ込んで来ている投機資金もあっという間に引き上げるであろう。そうすれば折角アベノミクスと言う謳い文句に釣られて明るくなりつつある金融市場も、また元の木阿弥に帰してしまう公算大である。
 日銀総裁黒田東彦も、消費増税の予定通りの実施を主張しているが、これは安倍晋三と既に政策が確認出来ているが為の援護射撃だと思いたい。黒田は、野党はもとより政府内にも燻るポピュリズムに毒された議員が主張する景気の腰折れを明快に否定し、デフレ脱却は目論見通りに前進すると言う。そして、もし世界にコミットしている予定を今変更する様な事があれば、投機資金が流出して長期金利の上昇を招き、異次元の金融緩和の効果が減殺されるとの危惧を表明している。
 実際には消費税が上がれば、家に代表される大きな消費は必ず一時的に落ち込むであろうし、増税前の駆け込み消費があるから暫くは消費も低迷する時期があるのは否めない。しかしそれも一過性の事であるし、万が一にも長引くようであれば更なる財政出動を通じて消費の底上げを図るしかない。消費税は消費に応じて払う、極めて公平な税である。毎月5万2500円であった食費が再来年の10月から5万5000円に上がる。家計に痛いと言えば痛いが、負担に耐え切れぬ金額とは言えない。大きな買い物をする人には増税相当分の絶対額もそれなりに大きい金額となろうが、そう言う大きな買い物が出来る懐の温かい人は文句を言わずに税金を払えば良い。
 消費税が10%になったところで、日本の財政再建の道は未だ未だ遠い。消費税の5%増税程度で躓いている様では、到底財政再建は覚束ない。22世紀の健全な日本を願って、皆が多少の負担は担わなければならない。何も臥薪嘗胆を強いられている訳ではない。自分だけは楽をしたい、後の事は自分には関係ない、と言う非国民は無用の長物である。