baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 オリンピック東京招致

 2020年のオリンピックの東京開催が決定した。56年ぶりの東京招致となる。オリンピック招致には賛否両論あろうが、お祭り好きな僕は先ずは良かったと思っている。それに、何でも後ろ向きに考えるよりは、前向きに考えてチャンスを上手く活かした方が良い。未だ現実の根拠は乏しいものの、暗い話の多かったこの20年余のトンネルからやっと抜け出せそうな、そんな雰囲気になりつつある昨今に、一層弾みが付き、56年前がそうであった様に、これをきっかけに日本経済が本格的に活況を呈し、国民が自信回復する事を切に祈りたい。他方で我々都民にはこれから暫く不便や負担もあろうけれど、日本を背負って立っている自覚を持って一緒に克服して行こうではないか。
 今度ばかりは国も東京都も4年前の苦汁をしっかり反省材料として、随分と上手に立ち回ったと思う。前回は水面下の運動に失敗したばかりか、その財源捻出にあろう事か大手広告会社の経費を水増ししたりしたのだから、如何にその遣り方が稚拙であったかは部外者にも丸見えであった。あの無様さでは、通る話も通らないのは当然である。流石に今回はそんなみっともない話は漏れ聞こえて来ぬから、一応は上手に海外のエージェントを活用出来たのであろう。表でのプレゼンテーションも、皇族まで巻き込んだのは聊かやり過ぎであったと思うけれど、メダリストは元より総理大臣まで引っ張り出しての必死のアピールであったから、IOC委員をして東京を推しても傍から不審には思われないと安心させるに足るものだったのだと思う。
 それにしても、昨今のオリンピック招致合戦には聊か辟易する。カトリック教会にも匹敵する巨大集金組織となったIOCは、何れ遠からず内部崩壊・粛清すると思うのだが、今の勢いではどれだけの裏金が動いているのか想像も付かない。それも単に招致問題だけではなく、種目の決定権まで握っているのだから始末が悪い。日本のお家芸であるレスリングが結局は復活する事に決定したが、それもこの半年間で8種目から1種目に絞り込むという、外される理由から復活する理由まで本当の処は何から何まで部外者には訳の分からない選択で、各団体からの贈り物合戦は想像に絶するものであったろう。それでもオリンピック種目に残れれば元が取れる訳だから、アマチュアスポーツが如何に拝金主義に冒されてしまったかが分かろうと言うものである。うなぎ上りのテレビ放映権料や各競技へのスポンサー合戦は、クーベルタン男爵の崇高な理想を完全に吹き飛ばしてしまっていると思うのだが、こんな風潮にも何れ遠からず良識が竿を差すであろうと思いたい。
 更には、昨今のこういう苦々しい風潮を助長しているのが、メディアである。オリンピックの開催場所にしても種目選別にしても、結局の処はIOCの判断基準はどれだけIOCが潤うか、大方の委員の判断基準はどれだけ自分の懐が潤うか、である事は陽を見るよりも明白なのに、一々したり顔で説明を付けてIOCのお先棒を担いでいる。そう言う後付けの説明は耳障りなだけで聞きたくもない。そんな鬱憤を抱えていると、直接招致活動に携わった訳でもないのに東京招致を大喜びしている人々をニュースで見て、そのあどけなさが心底羨ましい。さはさりながらオリンピックを目指して鍛錬を続けている選手候補達には、大人の暗い世界などには目を向けずに、東京で日章旗が一本でも多く揚がる様に、日本中が心から歓喜出来る場を少しでも増やせるように、これからの一層の精進を期待したい。